表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

元宮廷魔術師の冬休みの話

雪で埋もれた大地を冬晴れが照らす。

ケテル国王都にて、新年と煌王の誕生日を祝う祭りは今年も盛大に行われた。


その夜。ゼクトゥズに在るゾランアルド公邸の一室で、邸宅の主はタイを緩めながら息を吐いた。

「どうだった、新王は」

「ええ。どうやら、公とは相性があまりよろしくないようですね」

それを聞いたゾランアルドは声を立てて笑った。

「そんな返答を寄越すのは君くらいだろうよ」

煌王とゾランアルドの付き合いはそれなりに長い。彼が新王として戴冠してからはまだ日が浅いが、王子だった時代からよく見知っている。そして、本人達以外には悟らせはしないが、ふたりは大変に仲が悪い。

「いやいや、これでも巧くやっているんだがね」

煌王の側近すら気付かぬ機微をあっさり見抜いたこの魔術師を、ゾランアルドは気に入っている。以前宮廷魔術師として傍に置いていたのだが、現在ではケテルを離れ、塔で教鞭を執っているらしい。似合わぬものだと思いつつも、偶に呼び寄せてはこうして話をしたりする。

「先王は概ね賢くあらせられたものの愚直なきらいもありました。此度の王は―…厄介そう、ですね」

「ハッ、私と張る程のひねくれ者だ!なおかつ奔放で読み難い」

「あぁ…」

思い至った、という態で魔術師は視線を上げる。ゾランアルドはそれを面白くなさそうに一瞥した。

「飲み込んでおきたまえ」

「ではそのように」

したりと頷き、別の話題へ切り替える。

「公がご所望だった例の件ですが―…」


こうしてガイの冬期休暇は人脈維持の為に消費されていくのだった。


「いいんですよ。公邸に一室用意して頂けていますし。えぇ。学生の世話に追われるよりはゆっくりできます」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ