46 ユニちゃんからのプレゼントと呪文
ブレスレット作りは順調です。
ところで、今日はユニちゃんから不思議なプレゼントをいただきました。わたしたちがブレスレット作りをしているところへ遊びにきてくれたのですが、そのときに小さな包みをくれたのです。柔らかな葉で包まれていて中に入っていたのは乳白色の石粒でした。
「ありがとうございますユニちゃん。きれいな石ですね」
「きゅわっ」
誇らしげに胸をはるユニちゃん。どういう石かはわからなかったのですが、ユニちゃんがプレゼントをくれたことが嬉しかったです。
それにユニちゃんはあいかわらずキュートです。あわい色合いのたてがみはフワフワ、こぶりなツノ、きゅるんとした瞳。しばらく一緒に遊んでいましたが、そのうち専用のカゴの中ですやすやと眠ってしまいました。その姿もかわいくて、ブレスレットを作る手をとめてつい三人で見入ってしまいました。
それから手を動かしながら他愛もない話をしていたのですが、次第に話題は婚約式後のパーティーへと移りました。
婚約式自体は作法にのっとり厳かにすすめていけばよいのですが(とは言っても緊張します)、そのあとに予定されているパーティーではいろんな方とあいさつをしなければいけません。
わたしがいた国でもいろんな貴族がいましたが、魔王さまの国でもそれは同じです。
以前魔王さまから聞いたお話では、この国はいろんな文化を持つ種族が多く暮らしているいわゆる多種族国家というものです。放っておけば争いをはじめてしまう各種族をとても強い魔神族がまとめ上げたのが国のはじまりだとか。
そして各地に住む種族の代表が貴族にあたります。彼らがパーティー会場に集まりそのひとりひとりとご挨拶をするとなると……
「失敗をしないか不安です」
つい弱音がぽろり。
あらためて魔王さまの婚約者という立場の重さを感じます。
それでも、パピリスとフロスは味方をしてくれるのです。
「後ろに控えておりますからもしもの時はサポートいたしますわ」
「緊張なさるでしょうけど、大丈夫ですよ」
ふたりがいてくれて心強いです。
お礼を言えば、また笑みを浮かべてくれました。
ふたりが応援してくれるのですから何としても乗り切らないと。ごあいさつする方の中にはお名前がとても長い方がいらっしゃるので、とにもかくにも覚えることですね。特にヴァンパイアのルゲム様はご自分のお名前を言えるかどうかを試すお茶目な方だそうで、確か……
ルゲム・ルゲム・ロコーノフィリキレ・ヤイヤイフイジョノ・シュイコーアツ・ウィンコーアツ・フーリャイアツ……えーっと……ポンピーポンナー……ベイノビッチ……チョルシュタイン……?
だめです、むずかしいです……




