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とらわれお姫さまのゆるふわ日記  作者: 猫の玉三郎


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45 魔王さまへの贈りもの

 パピリスとフロスにいろいろと相談した結果、編みひもで作ったブレスレットを魔王様へプレゼントすることにしました。


 この国では夫となる人へブレスレットを贈る慣習があるそうです。さすがに恐れ多いのではと思うのだけど……でも、もうすぐ婚約式を迎えるんですもの。ここは腹を決めるのです。


 ブレスレットにはいろんな願いを込めながら細いひもを編み込んでいくそうです。使うひもの色にもいろいろ意味があるのでフロスに習いながら作ることにしました。


 もしかしたら魔王さまが迷惑に思われるかもしれないので事前に聞くことにしたのですが、交換日記にそのことを書くと「楽しみにしている」と快い返事をくださいました。よかった。


 婚約式のために仕立てているドレスも完成間近で、わたしのブレスレット作りの完成もそこを目指そうと思いました。渡すのもその日です。あまり時間がありませんが、フロスいわくそんなに時間をかけずとも出来るそうなので精いっぱいがんばりたいです。


「姫さまはどのような願いを込めたいですか?」


 道具や材料がテーブルの上に揃い、さあ作ろうというところでフロスがわたしに聞きます。わたしは、魔王さまにはずっと健やかに過ごしてほしいです。きっと重責をになう日々でしょうから、少しでも心安らかに、ご病気やケガなどをせず健康的に過ごしてほしい。そうフロスに伝えると、彼女は心得たと言わんばかりにいくつかの細いひもと小ぶりな金細工や貴石をもってきました。これらはブレスレットの中に組み込むそうです。


 せっかくなのでパピルスと三人でブレスレット作りを始めました。テーブルを三人で囲んで、お話をしながら作業をして……なんだか、とても幸せな空間でした。わたしはずっと友だちという存在にあこがれていたのです。ユニちゃんのことはもちろんお友だちだし大好きなのですが、なんというんでしょう。歳が近い同性の友だちって、わたしにはずっとご縁がないものだと思っていたのです。フロスもパピリスもとても素敵でかわいらしい女性です。そんな彼女たちと他愛ない言葉を交わしながらああやって手作業をする空間が……すごく友だちのように思えて。


 明日もまた三人でブレスレットの続きをやります。

 すごく楽しみです。

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