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とらわれお姫さまのゆるふわ日記  作者: 猫の玉三郎


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42 将軍とのおわかれ

 フユ将軍が帰還される日が来ました。

 お会いするといろんなお話を聞かせてくださった将軍。とても楽しくて素敵な方でした。北の地はここから遠いと聞きますので、道中の安全を祈るばかりです。


「いつか姫も北へおいでなさい。主上が一緒ならば恐れるものもないでしょう」


 別れ際の将軍の言葉に好奇心むくむくとがわき、わたしは魔王さまをチラリと見てしまいました。と言っても魔王さまは背が高いので見上げる形になるのですけれど。


「行ってみたいか?」

「はい。雪と氷のなかで人々がどうやって暮らしているのか、とても興味があります」


 魔王さまは仕方がないとでも言いたげに目を細めて笑い、いつか連れて行く約束してくださいました。定期的な視察があるのでそれに同行させてもらえるようです。今さらながらご迷惑だったかもしれないと不安になったとき、魔王さまは少しかがみ、わたしの耳元でささやかれます。


「まずは結婚式が先だ」


 艶のあるお声もあいまって、わたしはぼっと頬が熱くなりました。結婚式。恐れ多いと思うと同時に嬉しさがこみ上げてきます。「楽しみだな」とつぶやきながら、魔王さまはわたしの頬を指先でそっとなでました。


「おやおや、見せつけてくれますな」と将軍がからからと笑っておられました。




「パピリスさん、また会いに来ますから!」


 最後に白い獣人の方が大きな声で別れを告げ、一団は北の地を目指して出発なさいました。彼らのあとを追うように雪雲や寒風も少しずつなくなっていきます。


「北の視察は一緒に行きましょうね、パピリス」

「姫さま……」


 ちょっとだけ寂しそうな表情で彼らを見送るパピリスにわたしは声をかけました。


 彼のことを憎からず思っているのはなんとなく感じます。いつもは鉄壁のパピリスですが、この時ばかりは恥ずかしそうにはにかみ、うぶな少女のように「はい」と返す姿を見せてくれました。


「きゅ、きゅわっ」

「ユニちゃんも一緒に行きますか?」

「きゅ!」


 そばにいたユニコーンのユニちゃんもぴょんぴょん跳ねて同行を快諾してくれます。そういえばユニちゃんはちょくちょく将軍のところへ行ってはおやつをもらっていたようです。きっと北の食べものが大好きになったのですね。


「まだ先のことですけど、楽しみですね」

「きゅわ」


 まだまだわたしには知らない土地や文化があります。わたしのわくわくが尽きることはなさそうです。

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