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とらわれお姫さまのゆるふわ日記  作者: 猫の玉三郎


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38 パピリスはちょりーめ

 昨夜のパーティーは圧巻でした。

 フユ将軍やお連れの部下の方々はみなさん体格が大きく、その場にいらっしゃるだけで迫力がありました。


 会場では特別に大きな大きなお鍋が用意され、料理長の指示のもとおいしそうな煮込み料理が白い湯気を出してしました。料理長いわく、寒い日はみんなで鍋だそうです。


 他にもカナッペやピンチョスなどつまみやすいものもあったのですが、目を引いたのは北の料理です。凍った魚を、まるで木を削るようにナイフでスライスして、塩と胡椒とオイルでいただく。冷たくしゃりしゃりとした食感がとても不思議でおいしかったです。北の地方は息も凍るほどの寒さだそうで、肉も魚も外へ数分放置するだけでカチコチに凍ってしまうと聞きました。スライムでも釘が打てるらしいです。


 料理長が言っていたジャーキーも強いお酒もありませんでしたが、わたしはまた知らない文化に触れられて大満足です。やっぱり世界は広いですね。


 そしてわたしが魔王さまと北についてのお話していた時のことです。突如として広間に大きな声が響き渡りました。


「パピリスさん、好きです! 一緒に北へ来てくれませんか!!」


 見ると、白い毛並みにグレーの斑点模様、太く長いしっぽを持つ獣人の男性が、パピリスの前でひざまずいていたのです。


「毎年毎年こりませんね。私はまだこのお城でなすべきことがありますので、北に行くことはかないません」

「また来年きますから考えておいてください! オレの気持ちは変わりませんから」


 白い獣人の彼は屈託のない笑みを浮かべました。きっとまっすぐな方なのでしょうね。これにはパピリスも心が動いたようです。


「……まあ、そう言ってくださる気持ちは嬉しいです」


 頬がほのかに赤いように思えました。もしかしたら、いつか彼の想いに応える日が来るのかもしれません。うふふ。


「だあああああパピリスさんどらげちょりーめなあ!! もうすんなどごあいとーとばオレ……」

「なんと言っているのかわかりません」

「パピリスさんかわいいもう好きすぎてオレどうしよう、です」

「訳さなくていいです!」

「ちょりーめ……」


 彼のあの言葉は北のしゃべり方だそうです。

 やっぱり、世界は広くておもしろいですね。

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