26 ドライアドの町です
遺跡の見える丘で一夜を明かし、勇者さんは再び街道にでて南を目指されました。
神官長に教えてもらった通りなら、確かこの辺りにはドライアドたちが暮らす町があったと思います。
彼らは人型の植物のような見た目をしていて、この時期は結婚相手を見つけるためのパーティーをよくやっているそうです。
そんなことを勇者さんへ話していると、まさにドライアドの町を通りかかることになりました。ドライアドたちは大変美意識が強く、男女ともにとても優雅で華やかな種族です。
勇者さんが町の大通りを歩いていると、彫刻と見間違えそうなドライアドたちが各々ポーズを決めていました。
彼らは日光からエネルギーを吸収するので、日中はああやって決めポーズをとってじっとしている事がよくあるそうです。しかも今はお見合いの時期なので、男性たちはきっといつも以上に張り切ってポーズをとっているのでしょうね。
通りの両サイドにならぶ美しい彫像。もとい、ドライアドたち。その光景はまるで美術館か神殿のようでした。日の光で輝きを増す彼らは、最高級の美術品のように気高く、美しかったです。
町には絵描きさんも数名いらっしゃって、ポーズをとるドライアドたちをキャンバスにおさめています。そういえば魔王さまのお城にもドライアドたちが戯れている絵画がありました。
ところが広場に差しかかるとまた雰囲気が変わってきました。広場の中央にはなんと、花を集めて作った魔王さまの像があり、それをたくさんの女性ドライアドたちがうっとりと見つめているのです。しかもよく見るとドライアドたちは手に大きな扇子のようなものを持っていて、「魔王さま♡」「大好き」「お仕事がんば」といろんな言葉が書いてあるのです。わたしはびっくりしてしまいました。
「魔王モテモテじゃねえか」
勇者さんのひとり言に、周囲でポージングしていた男性のドライアドたちが泣きながらウンウンと頷いていました。
やはり魔王さまは女性に人気なのですね。
その様子を絵描きさんが「天国と地獄」というタイトルでスケッチをしてらっしゃいました。
ドライアドの町には『願いの木」というものがありました。手のひらサイズの木の板に願いごとを書き、願いの木へつるすと成就するというものです。見ると「美しくなりたい」「プロポーズが成功しますように」「魔王さま最高」といろんな願いごとがつるされていました。
勇者さんは「世界平和とモテの平等」と大きく書き、いちばん目立つ場所につるしてしまいました。
勇者さんはおもしろい方です。
ね、ユニちゃん。




