表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とらわれお姫さまのゆるふわ日記  作者: 猫の玉三郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/51

22 市場はすごいです

 紅蓮地獄を抜けると、背後に火山が見える大きな町に着きました。行き交う魔族の方に怪しまれないように勇者さんはフードで深く顔を隠し、ものすごい勢いで町を通り過ぎていきます。


 わたしはその流れる景色に見入っていました。

 道の両脇に人がいてたくさんのものが並んでいます。これはきっと市場です。魔王さまと行った城下町とはまた違った雰囲気で驚きました。


 あの袋に入っているのは何?

 おじさんが食べているパンみたいなものは?

 さっき逃げ出したスープの具は?


 色鮮やかなフルーツが台に並んでいて、店主がその場でジュースにしてくれています。その中に鬼レモンを見つけてなんだか嬉しくなりました。


 湯気を上げる箱にならんだ野菜やたまご。軒に下げられたたくさんの腸詰め肉。人の背丈ほどはある大きな魚は吊るされ、かたわらにはスープを売るおじいさん。謎の火柱をあげるお兄さんもいました。


 反対側にはランプやナイフ、大小さまざまなガラス瓶が並んでいてとてもキレイです。山のように積まれた布や、木の皿や、いろんな形をした木彫りの像。こんなふうに売られているなんて初めて知りました。


 黄色の小鳥は高らかに歌い、赤い鳥は口から火を吹き、青い大きな鳥は羽を広げた瞬間にふっと姿を消しました。


「ナイフ研ぎ〼」の看板をかかげているのはドワーフの鍛冶屋さんでしょうか。少し奥をのぞくと、ウロコ磨きを受けているリザードマンや、欠けたツノの補修を受けるオーガもいました。


 周辺では小さな子どもたちが遊んでいます。

 少し離れたところでおしゃべりに興じているのはきっとそにお母さまたちです。


 その近くで「換毛期の方大歓迎」と書いてある看板を見つけたのですが、いったい何を歓迎されているんでしょう。市場は不思議なことがいっぱいです。



 わたしは興奮で胸がずっとドキドキしていました。人々の営みというのはこうも情熱的でエネルギーに満ちているのですね。


 城の中で育ちましたから、このような町の暮らしは見ていて新鮮です。もしわたしが町娘として生まれていたらどういう人生になったでしょう。


 ぽんぽんと浮かぶ想像に思わず笑ってしまいます。



 ユニちゃんは今日も楽しそうですが、たまにぼーっとしているような感じがします。やはりお母さまと会えないのはつらいですよね。


 勇者さんは話をすればわかってくれる方のような気がしますので、ユニちゃんだけでも外に出してあげられないか交渉してみようと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ