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とらわれお姫さまのゆるふわ日記  作者: 猫の玉三郎


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17 ただいま森の中です

 まず、あの男性は『勇者』というらしいです。


 勇者さんのお話によると、わたしは特別なクリスタルの中に閉じ込められているそうです。本来ならあの場ですぐに帰還の術を使って国へ戻る予定だったのに、上手くいかず命からがらお城から逃げ出したとのこと。おそらく追手をかけられていると勇者さんは悔しそうにしていました。


 クリスタルの中は快適で、暑くも寒くもありません。すみっこのでこぼこした場所が机やベッドにするのにちょうどよくて活用しています。それ以外は平坦なスペースがあるのでユニコーンのユニちゃんと遊ぶこともできます。


 クリスタルの一角から外を眺めることができるのも知りました。勇者さんと意思疎通ができたのも、その場所からでした。どうやら勇者さんはわたしを閉じ込めたクリスタルを飾りとして首から下げているようです。


 今のところユニちゃんに異変は見られません。楽しそうにわたしと遊んでくれます。しかし母親と離された事実に気付き、急に不安になるかもしれません。その時はわたしがしっかりとサポートをしてあげないと。


 悲観せずやれることをやりましょう。

 これからどうなるかはわかりませんが、帰還の術が使えない以上、勇者さんは地道に移動されるはずです。


 情報を集めつつ、逃げる機会をうかがっていきましょう。


 パピリスとフロスは大丈夫でしょうか。

 魔王さまはこの事態をどう思ってらっしゃるでしょうか。



 まずは状況観察です。

 クリスタルの窓から確認したところ、ここは魔王さまのお城からほど近い黒の森ではないかと思われます。特徴的な植物がいくつか見えて、以前見せてもらった図鑑の絵にそっくりですもの。


 神官長は「危険極まりないので姫さまは決して近づかないように」とおっしゃっていました。外の様子を見るにそれは正しいのでしょう。


 今、人の背丈ほどもある大きなキノコが勇者さんを追いかけ回しています。マタンゴと言ったでしょうか。水玉模様のカラフルな頭がかわいく思えますが、こんなにたくさんのマタンゴから追いかけられるとやはり恐ろしいのでしょう。


 確かマタンゴは大変なさみしがりで、人型の生きものを見ると仲間にしようと寄ってくるらしいのです。


 さいわい、このクリスタルの中は揺れたりもしていません。ユニちゃんも楽しそうに流れる風景を見ています。


『もうイヤだこんな森ーー!』


 勇者さんの叫びが森に轟きました。


 今のところ、わたしとユニちゃんは無事です。

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