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1 日記を書こうと思います

 魔王さまが日記帳をくださったので、これから日々の出来ごとをつづっていこうと思います。魔法を利用したコーカン日記というものらしいです。つたない文章になるでしょうけれど、頑張りたいと思います。


 暮らしていたお城から連れ出されたのが今朝のこと。目の前に突然あらわれた魔王さまは、わたしと部屋の様子を見るなり眉をひそめました。わたしが見苦しかったのかもしれません。


 あのたくましい腕に持ち上げられ……抱き上げられたという表現の方が正しいでしょうか。小さな子どもを抱き上げるようにわたしを抱えた魔王さま。そこから景色が揺れて、気付いたらこのお城についていました。


 わたしはきっと人質です。

 でも人質としての価値があるかは疑問なので、ご足労頂いた魔王さまに申し訳ない気持ちです。


「姫、あなたには相応しい服を着てもらう」


 到着してひと呼吸おくなり、魔王さまはそうおっしゃいました。人質にはそれらしい服を。どんなボロ着が出てくるのかとドキドキしていたのですが、くださったのはとても素敵なドレスでした。


 お城で着ていたものよりうんと高級で贅沢な作りに、わたしは驚いて声も出ませんでした。だって、お姉さまやお兄さまが着るような品物だったんですもの。


 黒いお仕着せをきた角のある侍女がお風呂に入れてくれて、着替えも手伝ってくれます。とても優しそうな二人です。


「わたしがこのような素敵なドレスを着てよろしいのでしょうか」


 意を決して口を開きました。わたしなんかに、このドレスはもったいなさすぎます。でも魔王さまは眩しいものを見るように目を細め、穏やかな表情を浮かべました。


「着ておきなさい。あなたによく似合う」


 とてもお優しい声音。ボロ服を送られるなんて意地がわるい考えをしてしまった自分が恥ずかしいです。


 清潔で柔らかい生地のドレス。

 とても着心地がよく、それでいて華やか。

 わたしはこのドレスが大好きになりました。


 さて、文字は書き慣れないので、今日はこの辺にしておきましょう。コーカン日記はこんな感じで大丈夫かしら。間違っていないか心配です。

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