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第99話 回復魔法の実践。

ジェイドとヘルケヴィーオがタカドラの神殿に着くと剣のぶつかり合う音が中から聞こえる。


「ここまでだ。中に入ると加護の無効空間でジェイドは死にかける。セレストはキリを見て呼んでくる」


ヘルケヴィーオが神殿に入って行くと入れ替わりでジルツァークが現れる。


「ジェイド~」

「ジル、セレストはどうだ?」


「まだまだだよ。今も必死になっている」

「そうか」


「ジェイドは?」

「ヘルケヴィーオに回復魔法と解毒魔法を教えて貰っている。だが俺は治す前に治るから…」


「それでセレストの所に来たんだね」

「ああ」


ここまでは明るく話すジルツァークだったが急に暗い顔になる。

「ごめんね」

「どうした?」


「私の加護が破られたせいでジェイド達には大変な思いをさせちゃっているよ」

「そんな事はない。聖剣と聖鎧が出来るまで時間がかかるらしいからその間の訓練は大事だろ?」


「うん」

「だがタカドラのおかげでなんとかなって良かったな」


「うん。モビトゥーイがそんな攻撃をして来るとは思えないけどね」

「ジル?」

ジルツァークの口から出てきた言葉はまさかの言葉だった。


「私は世界を作った時からモビトゥーイを知っているから、もっとこう直線的な…真っ直ぐ向かって来るような攻撃をする気がするんだよね」

「そうか。たが何故モビトゥーイは、こんな事をするんだろうな?」

ジェイドはジルツァークの話を聞きながら自分の話をしてしまう。


「え?」

「だってそうだろう?ジルは亜人と相容れなくて亜人が攻め込むから戦っていて、人間に勝ち目がないからワイトを生み出した」


「うん」

「なら何故モビトゥーイはわざわざ亜人界を飛び出して人間界を滅ぼすんだ?亜人界で細々と生きればいいじゃないか」



「…何故?」

ジルツァークが考えるように言葉を口にする。


「聞いた事ないのか?」

「うん、ない」


「そうか」

「昔、やめてよって止めた事があったけどモビトゥーイは「人間は要らないから亜人で人間界を滅ぼす」って言っていたよ」


「わからんな。まあ今更亜人共の気持ちなんてわかっても無駄だしな。奴らは滅ぼす」

「うん」


「そうして皆で世界をより良くする」

「うん」


丁度そこにセレストが現れる。

「ジェイド」

「セレスト、さすがだな」


「はぁ?」

「いい感じに傷だらけだ。俺の回復魔法の練習になる」


そう、セレストは痣だらけで痛々しい。

これを治せれば回復魔法の有用性がハッキリするとジェイドは思っていた。


「回復魔法!?存在するのか?」

「ああ、教わっている」


「…ジェイドはそんな事をしているのか?」

「そうだ、行くぞセレスト!」


そしてジェイドが回復魔法をセレストに向かって使う。

ヘルケヴィーオに言わせると最初の一歩としては十分過ぎたと言うほどに回復魔法はうまくいった。


「治りが悪い。赤い傷は消えたが青や黄色の痣が消え切らない」

「何を言う。初日としては完璧だ。

この先はただ力を使うのではなく緩急を付けたり効果的なポイントを見つけたりしていくんだ」

ヘルケヴィーオがジェイドを褒める。

ジェイドは結果には不満だったが悪い気はしていなかった。


「わかった。ではセレスト、もう一度傷だらけになって来い」

ジェイドが言うと後ろで笑うハルカコーヴェがセレストを手招きする。

それは「もっと傷だらけになるまで練習をしようね」と言うものだった。


「覚えておけよジェイドぉぉぉっ!」

セレストが剣を振り回しながらハルカコーヴェに切り掛かっていた。


「ジェイドは風呂の時間だ」

「わかった」


そして神殿を後にすると後ろから重たい「ボゴ」っという音がした後「ぐぉぉぉぉ…」と言うセレストの悶絶する声が聞こえてきた。

ジェイドは風呂上りに回復魔法を試そうと思いながら下山をしていた。

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