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第98話 回復魔法の基礎。

「相当やられたみたいだな」

昼食後。ヘルケヴィーオが館の一室でジェイドと向き合うと笑っていた。

「ああ、だがワタゲシの言う事は間違いではない」

ジェイドは一番攻撃を撃ち込まれた左腕を見ながら言う。


「そうだな。ならば頑張れ」

「ああ」


「それでは午後の訓練を始めよう。

ジェイドはこの後薬湯もあるから集中してくれよ?」

「任せろ。だが俺は何をする?」

ワタゲシからは何も聞いていなかったので疑問を口にする。


「簡単だ。

ジルツァークの加護が解けた時、お前自身が生き残る為でもある。

ワタゲシが頼み込んできた時には驚いたが理にはかなっている。

ジェイドには回復魔法と解毒魔法を覚えてもらう」


ジェイドは…、この場合、セレストもミリオンも存在を知らなかったのだ驚くほかない。


「…そんなものが?」

「ある。ジルツァークの魔法に無いだけでこの世界にはそう言う力も存在する」


ヘルケヴィーオは一息つくとジェイドの腕を見ながら話し始める。


「仮にだがジェイドが腕に切り傷を作ったとする。

それは誰がどのようにして治す?」

「え?」


「よく聞け。腕の切り傷は誰が治す?」

「俺が…」


「どうするのだ?お前がその場で傷薬を塗っていちいち縫い合わせるか?」

「いや…」


「では誰がどのようにして治す?」

「わからない」


「それが正しい認識だ。わからない。だがわからなければ回復魔法も解毒魔法も使えない」

「そうか…」

そう言ってジェイドが俯いた所でヘルケヴィーオが話を始める。


「身体には自己回復力や再生力と言うものがある。

ジェイドは怪我の度に実感しているな?ジルツァークの加護によって超再生を得ている」

「ああ」


「別の視点の話をしよう。

ジェイドではなくセレストを思い浮かべろ。

セレストに一昼夜走らせるとどうなる?」

「途中でバテる」


「そうだ。ではそうならない為にはどうする?」

「適度な休憩と食事が必要だ」


「わかっているな。そう補給が必要だ。身体の回復や再生もセレストの身体から力を分けてもらって実現する」

「それが?」


「それが回復魔法や解毒魔法の元になる。

解毒も内臓が時間をかけて体内から毒を追い出すのに力が必要だ。

それを補うのが回復魔法、解毒魔法だ。

ジェイドにはそれを覚えてもらう。

ジェイドは魔法を使うから問題なく覚えられる」

そう言って回復魔法の訓練が始まる。


ジェイドはエア・ウォールの魔法が使えるので同じ要領で魔法そのものを体内から手に出す。


「よし、悪くない。

それを患部に当てるんだ。

背中などの届かない所は傷に魔法が当たる事を意識すれば行く」

そう言われたもののジェイドには傷がない。


「…届いた気はするが実感がない」

「ふむ、それも確かにそうだな。

それではタカドラの所に行こう。

セレストがハルカコーヴェから訓練を受けている」


そうして館を後にすると中庭でミリオンがワタゲシからしごかれて居るのだろう「そうじゃねぇって!手で剣を振るんじゃなくて足と腰で振るんだって、わかるまで素振り追加!」という声が聞こえてきた。


その声を聞いていてヘルケヴィーオが申し訳なさそうに言う。

「あまり言いたくないがどうしてもミリオンはジルツァークの加護を使うクセが抜けない。

いざと言う時は魔法抜きで剣士2人に防御のジェイドの組み合わせになる事も意識しておいてくれ」

「了解だ。問題ない」

戦闘の流れが変わると言う事はジェイドの役どころが変わる。

前衛が2人のパターンや自分だけのパターンも考えながら歩く。


「まあ魔法の効かない亜人が出てくる可能性もあったんだ。これはこれで僥倖だ。ミリオンの細腕で斬り刻まれる亜人と言うのも復讐にはもってこいだな」

ジェイドはそんな事を呟きながら歩いた。

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