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第95話 タカドラの死期。

「2人とも、今日もありがとう。

おかげでジェイド達の滞在が決まって助かったよ」


イロドリの挨拶に2人が頭を下げる。

「リュウさん、リュウさんの感覚で後何日?」


「恐らく1ヶ月です」

「うん。わかったよ。遅くても私の1日、こっちの3週間があれば間に合うからやり方はこっちで皆に聞いてくるね。そうしたら練習をしよう」


「はい」


「タカドラ?」

「私とイロドリ様の話だ。だが少し話すのならイロドリ様の見立て、私の直感で私の命は長くて1ヶ月だ」


「何!?」

「それも自死や寿命、病ではない」

タカドラは淡々と自分の命に関して言う。

それを聞くとジェイドは心配になってしまう。

神に通じる力、神通力を使う唯一の竜が死ぬと言う事が信じられなかった。


「まずはそこを食い止めるの。本来なら私のルールに反するけどリュウさんが助からないと皆が助けられなくなるの」


「ヘルケヴィーオ、私の死後はジェイド達を頼むぞ?」

「任せてくれ」

ヘルケヴィーオは死に関して聞き返す事もなく話を進めて行く。

ジェイドが何かを言いたそうに2人を見るとイロドリがジェイドに向かって話しかける。


「ごめんね。まだジェイドには話せないの。でも代わりに上層界と人間界の違いを話すよ」

「イロドリ?何故話せないんだ?それも話せないのか?」


「…まだ早いの。ジェイド達の修行は皆に頼んで4週間にして貰うの。

どんなに熱心に取り組んでも課題を増やしてなんとか長引かせる。最後の数日に話すね。

これが話せない理由なの」

イロドリが八の字眉毛で申し訳なさそうに言う。


「ジルか?」

「え?」


「これだけ早いとジルに察知されるのか?」

「…」


「いい。助かる」

ジェイドがスッキリした顔で助かると言う。


「ジェイド…」

「お前はジルツァークを疑っているのか?」

ヘルケヴィーオが驚いた顔でジェイドに聞く。


「いや、俺はジルを信用しているし同時に疑っている。

イロドリとヘルケ、タカドラのことも信用をしていながら疑っている

そしてイロドリの口からは言えない別の外敵がこの世界を滅ぼそうとしている可能性も疑っている」


「うん。それが正解だよ。

ジェイドがジェイドで良かったよ〜」


イロドリが嬉しそうにジェイドを見る。


「疑っておいてなんだが、失礼ではないのか?」

「うん。今はジェイドの考え方が大事。

私達を疑って信用しないのも、私達を信用してジルツァークを疑うのも、全員を信じるのも疑うのも困るの」


そう言ったジルツァークがジェイドに人間界と上層界の違いを話す。


「神の差?」

「うん。上層界を作った神は腐っても鯛、この世界に鯛は居ないんだっけ?

今はダメでも元はちゃんとしていたから。でもジルツァークはこの力が弱いの」


「イロドリ様?ですがジルツァークは繁栄と平和の…」

「うん。この部分も今度リュウさんの用意が出来たら話すよ」


「その違いが…」

「うん。食事にしても水すら違うよね?だから聖剣の話だけど採れる鉄も違うんだよ」


「だとしたら俺たちはどうすれば…」

「それは旅の終わりに私とリュウさんで話すよ」

イロドリが遠くを見てそう言う。

イロドリは女神だからジェイド達には見えない未来が見えているのかもしれない。

そう思える程に遠くを見据えていた。


この日はこんな話で終わって行く。

ジェイドは世界の成り立ち、どうして人間界と上層界でこんなにも違いがあるのか、そう言ったものをイロドリから教えられた。


「イロドリ様、最後に聞いても良いですか?」

「何?」


「エルフの名前、ドワーフの名前、そしてタカドラの件です。

ジルツァークの機嫌が悪くなって聞けませんでした」

「それはそのうちジルツァークが話すと思うけどエルフとドワーフの見た目が違わないのも、リュウさんが1人きりのドラゴンなのも全部同じ理由だよ」


「…そんな理由なのですか?」

「うん。この世界を作るに至った理由と根幹は一緒。全てはその神の問題点が引き起こした事」


「それでは我が神は何も変わらないではないですか!」

「うん…。厳しい言い方だけどそうなんだよ。でもね、その先は腐らないで進む事ならヘルケヴィーオ達は選べるよね?」


「はい」

「ありがとう。

私は彩る者、イロドリとしてエクサイトを助ける。リュウさんを助けるから頑張って」


その声でジェイドは夢から覚める。

朝日が登るところで目の前にはジルツァークが現れた。

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