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第84話 ヘルタヴォーグ。

ヘルケヴィーオに連れられたジェイド達は一段高い山の手に作られた館に向かう。


「ここに長、エルフの女王がいる」

ヘルケヴィーオが館を指さして言う。


「長期滞在の許可を貰わねばな」

ジェイドがヘルケヴィーオの横で話に乗っている。

その横をジルツァークが無言で飛んでいる。


「ジルツァーク様」

「あまりご気分が優れないようですが…」

セレストとミリオンが心配そうにジルツァークに話しかける。


「あんまり好きじゃないの」

そう言ってむくれるジルツァークにヘルケヴィーオが「なら席を外しても良いのだぞ?」と言う。


「出来るわけないでしょ!私のジェイド達に何かされたら困るの!」

ジルツァークがジェイドの周りを飛びながら怒る。


「なら我慢するんだな」

「してるよ!」

ジルツァークは、この2日ずっと声を荒げているなとジェイドは思っていた。



到着した館は人間界の何処を見ても無いような美しさで3人は息を飲む。


「よく来たね」

そう言って降りてきたのはヘルケヴィーオによく似た金髪の美女。

ヘルケヴィーオが長髪でこちらの美女はセミロングだ。


「お連れしました。姉上」

「ええ、青い髪色の男の髪色は違うけど顔立ちがワイトによく似ている。

赤い髪の貴方からは宝珠の気配がします。

そして緑色の貴方……罪深い魂をしている」

3人を見た美女は最後にジェイドを見ると罪深い魂と呼んだ。

それはジェイドには何のことかわからなかった。


思わず「え?」と聞き返したジェイドだったが、ジルツァークが「ヘルタヴォーグ!」と怒鳴って前に出る。


「ジルツァーク?久しぶり。何を怒るの?本当のことでしょ?」

「ジル?」

ジェイドは罪深い魂と言われた事が気になってしまう。

だがヘルタヴォーグは止まらずに話を進める。


「まあ自己紹介からだ。私の名はジルツァークも言っていたがヘルタヴォーグ。

ヘルケヴィーオの姉になる。

まあ姉と言っても突然目が覚めた時お互いが姉妹と認識していて話し合いで私が姉になっただけだがな」

ヘルタヴォーグが自嘲気味に笑う。


「エルフの長、エルフの女王…」

「それも話し合いでな。我々が気づいた時に我々を生み出した神は居なかった。

だがまとめ役が必要だと言うことは遺されていたので話し合って姉の私が長になった。

長でも女王でも好きに呼ぶと良い」


「では女王、俺の魂が罪深いとは何だ?」

「ふむ。それは見えるだけで説明はタカドラに任せようと思う」


「タカドラ?」

また聞き覚えの無い名前が出てくる。


「なんで!?必要ない!」

「ジルツァーク、何を慌てる?我々もタカドラも勇者を助けようとしているのだぞ?」

また声を荒げるジルツァークをヘルタヴォーグが不思議がる。


「…」

「お前はワイトの時も過度の接近を嫌がっていたが何故だ?」


「…言えない」

そう言って口を尖らせたジルツァークが下を見る。


「ジル。心配かけてすまないな。そのタカドラと言う奴に会った先の事は会った先で決めるのはどうだ?」

「ジェイド…」


「女王、とりあえずタカドラとは何者だ?」

「この世界唯一のドラゴンだ」


「ドラゴン…。それは古い物語にあった。

上層界に住む全身ウロコに覆われた高次元の魔物…」


「魔物ではない。我々エルフやドワーフと共に神様がご用意くださった高次元の存在。

今最も神に近い存在だ」

そう言って家の裏手を見ながら話すヘルタヴォーグ。


「神?」

「そうだ。我々を生み出した神様はタカドラに500年を生きたドラゴンは神格を得て神になると定められた。

そのおかげでタカドラはここ数年で神に通じる力、神通力に目覚められた。

まだ神ではないが神と近い存在になっている」


「神…。もうそんな時間か…」

ジルツァークが小さく呟く。


「そのタカドラがなんだと言うんだ?」

「神に通じる力で自身がモビトゥーイだった時に勇者達にどう言う攻撃をするかを考えたと言っていた。

そしてその方法を聞いた。

お前達はタカドラの攻撃で何もできずに死ぬ」

ヘルタヴォーグの目が冷たく光った気がした。



「…死」

突然の宣告でジェイド達の背中に冷たいものが走る。


「ああ。ジルツァークに頼り切った戦いをしている以上、お前達に待つのは死だ」

「そんな…」

「まさか…」

セレストとミリオンの顔色が悪くなる。

もう真っ青だ。


「ふむ。とりあえず我らはお前達の滞在を認める。

剣と鎧が出来上がるまでは気兼ねなく暮らすと良い。

魔物と戦って力を養いたければヘルケヴィーオに付き添ってもらって街の外に出れば良い」

「助かる」

ジェイドは気分を立て直すとヘルタヴォーグに感謝を告げる。


「礼はいらん。早くくだらない戦いを終わらせてエクサイトを共に幸せに導くのだ。

亜人共は会話こそ成立するが何か違う。

エクサイトの行く末など興味が無い感じだ。

さあ幸せの為にもタカドラに会いに行くぞ」


ジェイド達はヘルタヴォーグとヘルケヴィーオに連れられて後方にそびえる山を目指した。

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