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第8話 夜を拒否する勇者。

ジェイドを救出して2日が過ぎた。ジェイドは途中の村で宿屋に泊まる事を拒否して野宿を選んでいた。


「ここに亜人は居ないわよ?」

村の入り口でミリオンにそう言われても「気にするな。泊まりたければお前たちは泊まるといい。日の出後には迎えに来る」と言って村から少し離れた場所で野宿をする。


そして夜通し歩く事を拒否もする。


「今は新月だからそう危険もない。

ジェイドが望めば僕たちは夜行も気にしない」


そうセレストが提案をしても「進むのは日の出から日の入りギリギリまでにしてくれ」とだけ言う。


宿屋で同室にしているセレストとミリオンはジェイドについて思案していた。


「何があるのかしら?」

「わからない。だが長い牢獄暮らしで人が信じられなくなっているのかもしれない」

セレストとミリオンはお茶を飲みながらジェイドの話をしていた、


「別にジェイドなら寝込みを襲われても死なないのに…」

「それに毒殺はあまり気にしていないのか宿の食事は受け取っている」


2人は二階の窓から外に見える小さな焚き火を見てため息をつく。

その焚き火はジェイドのモノでジェイドが1人で夜を明かして行くのが見えているのだ。


「日の入りから日の出まではジルツァーク様も居なくなるからジェイドにバレないように理由は聞けないな」

「ええ。でももう後1日でブルアに着くから出来たら理由は知りたいわね」


そんな事をこの2日話しながら旅をしていた。

そして旅路は決して楽なモノではない。

この世界には人間、亜人、それにドワーフやエルフと言った上位種、そして魔物が居る。



魔物は自然発生して人や亜人をお構い無しに襲いかかってくる。


ブルア方面には牛と猪を合わせた「イノギュウ」と呼ばれる魔物やスライム等が現れる。

勇者の3人には苦ではないが人々には脅威で見かけたら倒さざるを得ない。


どうしても足止めを食らう。

そして遅くなると付近の村に滞在することになる。


「…これでポイズン・ウォールが必要だったのね…」

「そもそもその魔法は何なんだい?」


「1人で大軍を相手にした勇者ワイトが使った大魔法の一つ。目の前に毒の壁を作るの。

その壁は、後ろ側は何も無いけど前側は強い毒性を持つの。

近付けば亜人もひとたまりも無い毒の壁。

仮に毒に耐性があっても破壊するのは至難の業。

そして術者が死ぬか解除を命じるまで壁は消えない。

多分この旅路が長引く事を想像して穴を塞いでおきたかったのよ」


ミリオンが合点の行った顔をしてセレストに説明をする。

セレストはジェイドの先を見据えた考えに驚いたが同時に亜人を倒す事ばかりを考えている事に悲しくなった。



翌朝、日の出と同時に宿を出てジェイドと合流をする。

「おはようジェイド。宿の人が無理して作ってくれたよ」

セレストが朝食を渡すとジェイドは嬉しそうな顔をして「感謝しかないな」と言う。

そのジェイドの横にはジルツァークが居た。


「みんなおはよう!今日頑張って歩けば夜までにブルアに着くね!」

「ジル、日暮れが近ければ俺だけでも外で夜を明かしたい」

ジルツァークの発言に困った顔をするジェイドはジルツァークの発言でも頑として譲らない。


「もう、大丈夫だよ。気にしすぎじゃないかな?なんなら夜の間はセレストに誰も近寄れない部屋を用意して貰えばいいんだよ」


「そうだ。その事なんだがブルアの人間は信用できるのではないかい?

ジェイドの負った心の傷は深くてもブルアならば…」

セレストが良かれと思って提案をする。


「そう言う事ではない!」

突然豹変したジェイドが怒鳴り声を上げる。

それには2人は驚いた。


「ジェイド…」

「…済まない。だが亜人共を倒す為には必要な事なんだ。

受け入れてくれ。

穴に入るまでには説明する。

だが今はまだ気持ちを整理する時間をくれ…」


ジェイドが泣きそうな顔、辛そうな顔でそう言うとセレストに「先に進もう」と言う。

ミリオンもセレストもその顔の前では何も言えなくなっていた。

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