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三分の一の勇者は不死身なので何をしても勝つ。  作者: さんまぐ
人間界の先に着いた復讐者。
73/172

第73話 ヘルケヴィーオ。

「ジェイド、お疲れ様。楽しかった?」

吹き飛ばされたジェイドが穴に戻るとジルツァークがニコニコと聞いてきた。


「ああ。また1つ復讐を成し遂げた。あと4人だ。ジル、この先はどう向かう?」

4人と言うのは、剛力のサシュ。ソシオ。亜人王とモビトゥーイの事だった。


「もう昼は過ぎたわ…安全な場所に拠点を構えないと夜襲の危険があるわね」

「まずはドワーフに会って聖剣と聖鎧を直して貰わないと」

ミリオンとセレストがそれぞれの意見を口にする。

ジルツァークが難しい顔をしている。


「…ジル?」

「うん。ここからエルフとドワーフの住処は5時間くらいだよ。

でもそうすると日没だから…。行ってもいいんだけど、明日私が来るまでは絶対に中に入らないって約束をしてくれる?」

ジルツァークが心配そうにジェイドの顔を覗き込む。


「だが奴らの建物に入らないと亜人の襲撃があるのでは…」

「うん。それは多分まだ平気だよ。今日はあんなに倒したから来ないと思うよ」


ジルツァークが必死になってジェイド達を説得する。

何故そこまでジェイド達の夜行を禁止するのかが分からずにジェイドはつい訝しんでしまう。



「99年前と変わらぬなジルツァーク」

突然ジェイドの背後から女の声が聞こえる。


「何者だ!」

ジェイドが振り返るとそこには金目金髪で長髪にマントを纏った美しい顔立ちの女が立っていた。


「…ヘルケヴィーオ」

ジルツァークがヘルケヴィーオと呼んだ女は足を止めずにジェイド達の元に歩いてくる。


「この3人が勇者だな。私はヘルケヴィーオ、エルフだ」

ヘルケヴィーオは自身をエルフと名乗った。

近くで見ると目鼻立ちがとても整っていて気が強そうな顔なのがわかる。


「エルフ…様?」

「人間と変わらない…。見た目に違いとかは無いんですね?」

ミリオンとセレストがヘルケヴィーオを見て思ったままを告げる。


確かにエルフと名乗ったヘルケヴィーオは何処にも人間との違いがない。

人間と何も変わらないのだ。


「ジル?」

唯一ヘルケヴィーオを知るジルツァークの意見を聞きたくてジェイドが顔を見る。


「…何でここにヘルケヴィーオが居るの?」

ジルツァークが怖い顔でヘルケヴィーオを見る。


「昨日の夜から亜人が夜行をしていれば嫌でも気付く。奴らはガサツだから煩いのよ」

ヘルケヴィーオが事もないといった顔で話す。


「だから何でここに居るの?」

「勇者を迎えに来た」

ヘルケヴィーオが涼しい顔でジルツァークの圧をいなす。


「私が導くから必要ない!」

ジルツァークが声を荒げると大地が震えた。


「ジル?こうして迎えに来たと言う事は何か理由があるのではないか?」

「ジェイドは黙っていて。上層界の奴らは私にもモビトゥーイにも従わない民だから私は信用していないの!」


「何?」

「ジルツァーク様?」

「今のお話は本当ですか?」


「ふぅ…、やはり今回もジルツァークは言っていなかったのね。そうよ。私達は別の神から産まれた存在」

「別の神?」

「この世界は…エクサイトはジルツァーク様とモビトゥーイが作ったと…」

セレストとミリオンが驚きの声を上げる。


「ええ、そうよ。でも私達は別の神がこの世界に産み落として言った存在。

だからこの上層界で好きに暮らしているわ。99年前もジルツァークが居ない間にワイトと話をして上層界に立ち寄らせたのよ。そこであなた達の言う聖剣と聖鎧、そしてその宝珠を授けたわ」


「…あまりベラベラと余計な事を言わないで」

ジルツァークが見せた事のない顔で怒気を放ちながらヘルケヴィーオを睨む。

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