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三分の一の勇者は不死身なので何をしても勝つ。  作者: さんまぐ
人間界の先に着いた復讐者。
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第72話 終わらない地獄。

2時間もすると最後の兵は金棒で潰されていた。

金棒は摩耗し破損して曲がりくねりボロボロになっていた。

セウソイは辺り一面を地獄と変えた事で放心していて「あ……あ…………」としか言えていない。

そのセウソイ自身もいくら亜人の能力に恵まれた体躯をもってしても5,000の兵を殺した反動で鎧はほぼ脱げ落ちていて、両腕からは血が流れ続けていた。


「お疲れさん。良くやったな。次だ」

ジェイドはセウソイの肩に手を置くと「次」と言った。


「あ………………」

「聞いてんのか?まあ良いや。「支配の玉」なら放心していても動かすだろうしな。

[次は亜人共の村でも街でも良い。そこまで俺を連れて行け。

そこで非戦闘員をお前が数を数えながら1匹残らず殺すんだ]」

ジェイドが当然と言った顔と声、何の問題も無いように何も変わらない。

道具屋で傷薬を買うように何の事も無いように言ってのけた。


「ぎ!!?」

余りに衝撃的な事だったのだろう。一気に目に光の戻ったセウソイが驚くとジェイドを睨む。


「お、聞いていたな。さあやれよ」

「…き…貴様…それでも…」

目から血の涙を流し、口からは血の泡を吹いたセウソイがジェイドを更に睨む。


「それでもなんだ?俺は人間だよ。お前達が滅ぼしたグリアの王子。

目の前で家臣達をこれでもかと殺されて妹を目の前で無残に殺され、そして4年もの間、あの手この手で拷問をされ続けた人間だ。

心もあるぜ?殆どがお前ら亜人共への復讐心だがな。

さっきも言ったが、今お前にやらせている事はお前達亜人が俺にやらせた事だぜ?

まさかとは思うが人にはやるけど自分はやらないなんて無いよな」

そう言ってセウソイの顔を覗き込むジェイドの真っ黒い目。

その先には何も見えない暗黒の穴のような目でジェイドはセウソイを見る。


恐怖に飲まれそうになるセウソイは必死になって「断る!」と言い。激痛に顔を歪め、首を振り乱しながら拒否をする。


「奴隷の首輪」がもたらす激痛も何もかも知っているジェイドは正直セウソイの頑張りには驚いていた。

だが何の問題もない。


想定内なのだ。

スゥの時もエムソーの時も思った通りの殺し方だった。

不死身の相手ならば心を折って再生速度を上回る攻撃で殺そう。

毒使い、毒が通じるなら自慢の毒で、通じなければ毒が無意味であることを思い知らせてから絶望の中で殺そう。


そして大軍指揮の将が出てくれば、将に大軍を滅ぼさせよう。

人心掌握に優れていて拒むような将なら更に手痛い目に遭わせて殺そうと決めていた。



「おーおー。頑張るな。でも兵は殺せても人は殺せないとか命に差別か?そう言うのはよくないと思うぜ?」

ジェイドは悪い笑顔でセウソイに近づく。


「断る!ごどわる!ごどわる!ごどわる!ごどわる!ごどわる!ごどわる!コトワル!コトワル!コトワル!コトワル!コトワル!断る!!」

苦しみながらうわ言のように言い続けるセウソイ。


「ほらほら、苦しいだろ?奴隷はご主人様の命令に従った方が楽だぜ?」

そう言いながらかつて防人の街でただ亜人の気まぐれで選ばれた女の処刑を命じられて拒んだジェイドに向かって亜人に言われた言葉を真似る。


ジェイドには今もあの女の目が忘れられない。

ジェイド自身も女の顔には覚えがあった。

亜人に気に入られるためにジェイドの顔めがけて石を投げつけた女。

ジェイドが血を流した時に大喜びして亜人に媚びた女。

だが別に恨みも何もない。

ただの人間だ。

だが亜人を滅ぼす障害になるなら躊躇なく殺す相手として記憶した。


その女が急に亜人に連れられて生身で俺の前に立たされた。


亜人共に性欲は無い。

女を凌辱して楽しんだりする事もない。

逆に女の亜人が男をと言うのもない。

獄長のようにわずかに性欲に目覚めた亜人の中には居るのかも知れないがジェイドは知らない。


だが残虐な心はある。

魔物の檻に弱い人間を入れて殺されるのをただ眺める。

そんなショーの魔物がジェイドで弱い人間が女だっただけだ。


ジェイドからすれば何がいいかはわからない。

亜人の悪趣味は見事で人間関係を洗って顔立ちが良く周りから好意を寄せられる娘を捕らえて、娘が一番嫌がる男に凌辱をさせてリアクションを…絶望の表情と悲鳴を見て聞いて楽しんで居た。


そう言ったものを見てきたからこそジェイドは「亜人は人の言葉を話す魔物」だと思っているのだ。



「く…殺せ……殺せぇぇぇぇ!!」

「まだまだ」

笑顔のジェイドが更にセウソイに奴隷の首輪を着ける。


「グォっ!?」

「さあもう一度命令だ。[町や村を目指して非戦闘員を1人ずつ、数を数えながら殺せ]」


「こ…断る!」

そう言って倍になって襲われる激痛にセウソイが耐え忍ぶ。

激痛は2倍になっていてセウソイは全身を震わせて苦しむ。

穴と言う穴から血が噴き出ても拒むセウソイの気概は物凄い。


だがジェイドは顔色一つ変えない。


「頑張るな。だがこれを見ろよ」

そう言ってジェイドが出したのは更に大量の「奴隷の首輪」だった。


「お前が動くまで終わらねえぞ」

ジェイドがニヤッと笑うとセウソイが倒れる。

死んだふりなんかを疑って「[動け]」と言って診たが動かない。

試しにジェイドが殴りつけてみるがセウソイはピクリともしない。


「憤死か?まあ生き残りもいるかも知れないし、こんな奴らをこのままには出来ないからなミリオン!アトミック・ショックウェイブだ!俺ごと辺り一帯を今すぐに吹き飛ばせ!」


その直後、ミリオンは言われた通りアトミック・ショックウェイブでジェイドごと亜人共を蒸発させた。

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