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第67話 赤い髪の女神。

その晩、ジェイドは夢を見た。

フランと会った真っ暗な世界。

その夢の中で小さな幼女が笑っていた。


真っ赤な髪の幼女は「はじめましてジェイド!」と声をかけてきた。

「君が…フランの言った女神かい?」

ジェイドは嫌な気配のしない幼女に優しく問いかける。


「そうだよ。私は祝福された神。名前とか名乗ると不利になるからあだ名でいいよね?」

「祝福された神?」

変な神だと思ったがそのまま話していく。


「うん。あだ名はね「彩る者」でイロドリって呼んで。あ!鳥も入ってる!いい名前だ!」

イロドリと名乗った幼女は嬉しそうに笑っている。

パッと見はまだ十歳にも満たないフランよりも幼い幼女なのだが言葉遣いは年不相応でかなりハッキリとしている。


「イロドリ、教えてくれないか?俺達の旅が失敗に終わるとはどう言う事だ?ジルにも言えないとは?」

ジェイドは不安げな顔でイロドリに説明を求める。


「あー、そうなるよね。慌てちゃうよね。うん。一つずつ教えてあげるよ!

でもこれだけは約束して。

私は少しの事と大事な事しか言わないからそれは守って!」

「わかった」


「ジェイドは偉いねぇ。私を信じてくれたんだね!」

イロドリは自分の言う事を素直に聞くジェイドに好感を持った。


「いや、可能性を無視したくないんだ」

だがジェイドは単純にイロドリを疑うのも間違っていると言う気持ちからだった。



「いいよ!それでもいいの。私が言うのは夜見る夢にしか私は来ないからね!昼の夢には出ないから必ず夜は寝て。この先は1日1日が大事なの。おかしくなったら軌道修正をしてあげるからね」

「夜のみか?何故だ?」

夢に出られるのなら昼間でもいいはずなのだがイロドリは夜にしか来ない事を宣言する。

それは何か理由があるのだろうか?


「それは明日以降に話すよ。最初に信じてもらうためにも言うけど亜人界でも上層界でも人間界と違う食べ物でも食べ物は食べられるからジルツァークが止めても無視して食べてみてね」

「…本当なのか?」


「うん。食べられたら信じてくれるかな?」

「そうだな」

ジェイドは少し笑う。


「後はフランにも頼んだけど絶対に夢の話はしないでね」

「わかった」


「じゃあとりあえず今日はこの先に大事な事を言うね。ジェイドが気にしているワイトの事はまた今度で良いよね?」


「何!?ワイトの事がわかるのか?イロドリは子供じゃないか!?」

ジェイドはこの幼女がワイトの何を知っているのかと驚いた。


「ふふふ。そこは神様だからね〜」

イロドリが自慢げに微笑む。


「だがイロドリが真実を言うとは限らない」

冷静になったジェイドが心からではないがイロドリを怪しむ言葉を言う。


「そうだね。ジェイドはそう言うと思ったよ。それが正解だよ。

私を怪しんで良い。

疑っても良い。

でもカナリーの約束を守ってフランを助けるためでもお婆さん達との約束を守るためでも良い。

何も知らないまま破滅に突き進むのではなく私と話して別の目線で世界を見てジェイドが判断して。私はジェイド達を助けたくてお節介で居るだけだからさ」


「イロドリ…」

イロドリはそう言ってジェイドに明日以降の説明をした。

それはジェイドには信じられない事だったが「まあ良い。罠だとしても俺は死なないからな。全部喰らってやる」と言って笑う。


「格好いいね。応援してるよ!また今晩ね!ちゃんと夜寝てよね!まずは明日を攻略するの。その先はその先で話すからね」

イロドリがそう言って手を振るとジェイドは目が覚めていた。

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