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第66話 不死の倒し方。

「皆、穴から先は人間界じゃないからこれだけは従ってね」

穴とミリオンが置いたポイズン・ウォールが見えてきた所でジルツァークが言い出した。


「ジル?」

「上層界と亜人界でもある程度なら私は皆を見守れるから。何かあった時に手遅れになって欲しくないから必ず行動するのは日が出ている間だけにしてね」

ジルツァークが3人に向かって言う。


「何?」

「干渉値の事があるから今は言えないけどドワーフの所に聖剣と聖鎧を持っていくのも夜に着いても中には入らないで野宿をして朝まで待ってね!」


「ジルツァーク様…」

「はい。わかりました」

セレストとミリオンはジルツァークの真剣な表情に感謝の気持ちで返事をする。



「ジル、ワイトの時はどうしていたんだ?」

「ワイトは亜人界に入ってからは約束を守ってくれたよ。上層界は夜も動いていたみたいで朝になると疲れていた日とかあって心配したんだよね」


「そうか。だが問題は食料に限りがある事だな」

「うん。最悪は干渉値を使ってでも制圧した所に拠点を構えて、拠点までブルアやレドアから物資を持ってきてもらうのが正解かも」


「わかった。もう日没だから焦らずに今日はここで待てと言う事だな」

「うん。じゃあ私行くね」

ジルツァークはそう言うと日没に合わせて消えて行った。



「ジェイド?あなた何か変よ?」

「そうか?遂に穴の向こうに行けるから昂っているのかもしれない。

それにジルが夜何をしているのか、モビトゥーイが日中何をしているのかが分かれば奴を追い詰めて殺せると思ってな。ここの所ずっと考えていたんだ」


「何だ、そんな先のことまで考えていたのか?」

「まずは一歩ずつ。まだ五将軍だって残っているのよ?」

呆れたセレストとミリオンに言われるジェイド。



「そうだな」

そう言いながら野宿の用意を始めるジェイド。

レドアでテントを貰ったので気軽に野宿が出来るようになった。

テントの有用性で言えば荷物の重さなんか気にならない程だ。


その時、何かを気にした感じのセレストがジェイドに質問をする。

「そういえば、何でスゥを殺せたんだ?奴は不死身だろ?」

「ああ、その事か…」


ジェイドが説明していなかったなと話し始める。


「俺と奴の不死身は限定的なんだよ」

「は?」


「別に不老不死でも何でもない。ただ死ねないだけで死ねるんだ」

その説明で余計わからなくなるセレストとミリオン。


「まあ聞かれて困る事でもないからな。簡単に言えば生きる希望…生きる意味、そんな物を絶ってやればいいんだ」


「生きる希望…」

「生きる意味…」


「俺はグリアで奴に永遠とも思える苦痛をこれでもかと与えた。

不死身対不死身。

一見果てない不毛な戦いに見えるだろ?

だが俺は奴より苦痛に慣れているし不眠不休なんて散々味わった。

だから俺は折れない。

しかし奴は戦闘経験も未熟。痛みへの耐性も低い。

そうなればどちらの心が折れる?」

ジェイドがニヤりと笑うとセレストを見る。


「…スゥだ」



「ああ。だから奴には死以外の救いがない事を思い知らせてやったんだ。

モビトゥーイも助けに来ない。

俺は攻撃を止めない。

楽になるには死ぬしかない。

死は悪い物ではない。

死ねる奴らが羨ましい。

そんな事を言い続けながら痛めつけて心をへし折ったんだ」

そう言ったジェイドの顔は復讐者の顔だった。

仲間であるセレストとミリオンですら寒気のする顔。


「心が折れれば初めに再生能力が低下する。そして高威力の攻撃で再生能力を無視してやれば…」

「殺せる…」


「そう言う事だ」

「じゃあ…ジェイドも?」

そうなるとセレスト達が心配なのはジェイドの事になる。

ジェイドも心が折れてしまったら復讐者でなくなったら死んでしまうのかと聞いた。


「俺か?生憎そうはならなかったよ。一度として再生能力が落ちた事はない。

俺が死ぬのは亜人とモビトゥーイを殺して生きる意味や目標を失った時だ」

焚火に向かって笑ったジェイドの顔は少し悲し気でそして怖かった。

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