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第58話 毒のエムソー。

魔物達をかき分けてセレストに向けて剣を振るう大柄な男。

しかし動きを見抜いていたジェイドがエア・ウォールで攻撃を防ぐ。


「はぁっ…はぁっ…、ぐっ…、卑怯だぞ人間」

「待ち伏せして魔物を配置した亜人に言われたかないね。聞いてやるから名を名乗れよ」


「我は五将軍が1人!毒使いのエムソー!」

エムソーは名乗りながら標的をセレストからジェイドに変えて斬りかかる。


「もう、四…いや…じきに三将軍か?」

ジェイドが挑発をしながら棍棒で細身の剣と鍔迫り合いをする。


「ははははは!笑わせるわ人間が!たまたまスゥを退けたからと言ってもうこのエムソーに勝てる気でおるか!」

エムソーがそう言って剣を振りかざした時、ジェイドは胸からとあるものを出して投げつけていた。


「3…2…1、エア・ウォール!」

ジェイドはミリオンとセレストの前にエア・ウォールを発動するとエムソーに投げつけた爆薬が大爆発を起こす。

爆発はエムソーとジェイドを巻き込んで爆発をするが爆発を意識していた人間と意識していない人間ではダメージが違う。


「ぐあっ!?」と言って衝撃で吹き飛んだまま地面を転がるエムソーを見ながら「こんなに威力あったのかよ…」と呟くと「まだまだあるぞ」と言いながら更に爆薬を投げつける。

全ての爆薬を投げつけ終わるとエムソーの身体はボロボロになっていた。


「亜人は頑丈だな。まあいい。勝った」

ジェイドが何事もなかった顔でエムソーを見下ろす。


「…良いのかな?」

「なんだ?斬りつけたかったのかセレスト?」


「いや…正々堂々とか…」

「何言ってんだ?待ち伏せをする毒使いに正々堂々なんてあるかよ」

ジェイドは馬鹿かお前はと言う顔でセレストを見る。


「まあ…モヤモヤするわよね」

「ミリオンもバカなのか?どうせコイツは今も辛うじて動く身体で毒霧とか起こして俺達を道連れにしようとするぞ?」


そう言うとエムソーはギクりと言う顔をしてから「バレてしまっては仕方ない!死ねぇ!」と言って毒霧を発生させる。


だがその攻撃も一切通用せずにジェイドがエア・ウォールで毒霧を抑え込む。


「ほらな?初めて会った日も言ったよな?亜人は人語を話す魔物だって。忘れるなよ」

その会話の中でエムソーが大きく咳き込んで苦しむ。


「なんだコイツ?まさか…」

ジェイドは毒霧が消えた後でエア・ウォールを解除すると真っ青な顔で弱々しく息をするエムソーの胸ぐらを持つと「お前、まさか毒使いのクセに毒に耐性がないのか?」と聞く。


慌てた顔のエムソーがジェイドから目を逸らす。


「ほぅ。愉快な奴だ」

ジェイドはエムソーが逃げられないようにボロボロの手足を折って更に動けなくするとエムソーの持っていた細身の剣で自分の腕を切りつける。


「…くっ…、毒カエルの麻痺毒と毒トカゲの傷口を腐らせる腐食毒のミックスだな…良くやる。防人の街で食らった毒の倍は効くな」

そう言ってエムソーの腕に剣を刺す。


「ぎひぃいぃぃっ!?」

エムソーは悲鳴を上げると顔が紫色になって痙攣をする。

そして震える体から沢山の小瓶が出てくる。


「これは?毒か?」

ジェイドは丁寧に出てきた小瓶の毒を一つ一つ舐めては悶絶をする。


「毒耐性が備わった俺を苦しめるとはお前は中々だ」

そう言って感動をするジェイドが最後の小瓶に手を伸ばすとエムソーは涙を流しながら「そ…それ…」と弱々しく言う。


「なんだこれは?」

「げ…解毒…」


「解毒薬か…、欲しいのか?」

「く…ください…」

弱々しい声で必死に解毒薬を求めるエムソー。



「製法を言え。そうすればくれてやる」

ジェイドの発言でエムソーは必死になって製法を伝える。

ミリオンとセレストはジェイドの指示でそれをメモしていく。


「よし…一口だけ飲ませてやる。上を向いて口を開けろ」

ジェイドがそう言った時、セレスト達は毒を飲ませると思ったのだがジェイドは宣言通りに解毒薬を飲ませる。

横で見ていたミリオンも驚きの声をあげる。


「え?」

「本当に飲ませた?」


「何を驚く?約束しただろう?」

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