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第50話 レドア王との謁見。

ジェイド達の前にようやくレドアの街が見えた。

あの崖に出来た村からレドアまでの道のりは決して簡単な物ではなかった。


やはり老婆とポゥがジェイド達と行動を共にするのはリスクが高かったし、移動速度の問題も出て2日の予定が3日になった。


だがそれ以上の収穫もあった。

ジェイドは甲斐甲斐しく老婆の世話をしていて大変な中に穏やかな時間を見つけ出した形になっていたし、セレストは守るべき老婆やポゥのおかげで聖剣が無い事への不満は何処かに行っていた。


なので簡単な道のりでは無いが実りある旅路ではあった。

今も老婆はジェイドにおぶさっている。


「ばあや、レドアだ。着いたよ」

「坊ちゃん、すみません」

老婆が申し訳なさそうにジェイドに謝る。


「何を謝る?

ばあやはエルムが眠たがるとおぶってくれたじゃないか?ポゥも怪我をしているから俺が適任だ」

ジェイドは何も気にせずに老婆をおぶっている。

この姿は孫が祖母に孝行をしている風に見える。


「城へ行きましょう」

ミリオンに連れられてジェイド達は城に行く。


城下町でも城でもミリオンは沢山の人から声をかけられて帰還を喜ばれていた。


「皆さん。ありがとう」

そう言って優しい笑みを浮かべて歩くミリオンは姫そのもので先日老婆とポゥを土下座させたとは誰も思わないだろう。


城に着くと真っ先に王の前に通される。

「ミリオン…約1ヶ月の長旅、ご苦労であった」

そう言ったのはレドアの王。

ミリオンの父親だった。


「その青い髪、君がブルアの王子…」

「セレストと申します」


セレストが挨拶をして次はジェイド。

挨拶が済むと悔やんだ表情のレドア王がジェイドの前に出ると真剣な表情で話し始める。


「グリアは残念だった。

せめて不便のないように取り計らう。

レドアに居る間は自身の家と思ってくれ」

「ありがとうございます」


そして老婆とポゥの説明をすると王が家臣を呼びつけて職と住居の手配を済ます。


「ありがとうございます」

「気にする事はない。ジェイドが大切に思う人間ならばレドアも大切に思う」

家臣が迎えに来て老婆とポゥが連れて行かれる。


「坊ちゃん、ありがとうございました」

「この御恩は忘れません」


「後で家の場所を聞いて顔を出すよ。レドアで幸せになって!」

ジェイドが手を振って2人を見送るとジルツァークが現れる。


「ジェイド良かったね」

「ああ」

ジルツァークがコロコロと笑いながら言う。


「こんにちはレドア王」

「ご無沙汰しておりますジルツァーク様」

王がジルツァークに膝をつく。


「さあ、ミリオンはここまでの道のりを王に説明して」

「はい」


そしてミリオンが話し始めてジェイドは自身が知らなかった防人の街での救出前の出来事を知った。そこに質問を重ねる事で経緯を聞いて納得をした。


4年前、グリアが陥落した報はジルツァークが勇者として覚醒の始まっていたミリオンとセレストに入れていた。


「ミリオン、体の勇者が亜人に捕まったの。

でもまだ助けに行けない。

貴方の魔法が完成するのはまだ先だから…お願い!研鑽だけは怠らないで」


ジルツァークがそう話した理由…。

魔の勇者は覚醒から成長が始まって数年で魔法の量にピークを迎える。

その時まで魔法を使わないでいる事が求められる。


「初めて魔法を使うとそこで魔法量が固定されるの。だから使わずにピークまで待ったのよ」

ミリオンが申し訳なさそうにジェイドに説明をする。


「うん。ミリオンの成長が終わったからジェイドを助けに行くように言ったんだよ」


「そうなるとミリオンが魔法を使ったのは防人の街が初めてなのか?」

「流石にそれは無いわよ。お父様と修行を行ったのよ。

レドアの魔の勇者は次世代に継承をしても多少なら勇者の魔法を使えるから、それにお父様の魔法陣の中でなら威力と使う魔法量が100分の1になって魔法量もお父様が肩代わりしてくれる中で練習を積んだわ」



逆にセレストは成長の条件なんてものは無かったのでひたすらに剣の腕を磨いていた。


「でもそのせいで助けに行くのが遅れてごめんなさい」

「本当だ、随分とジェイドには辛い思いをさせてしまった」

「いや、俺もあの地獄が俺を叩き上げたと思っている。

毒も多種多様に使われて最早効く毒は無いだろう。痛みにも慣れた。

戦いは戦奴としての経験がある」

ジェイドが「だから問題ない」と言う。

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