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第31話 グリアへの道のり。

ジェイド達は聖女の監視塔から2日程歩いた。

本来ならば1日は防人の街で宿泊するのが良いのだが防人の街はもう無いので野宿になる。


カナリーのおかげで夜になっても見た目が変わらなくなったジェイドは気さくにセレスト達と夜を共にした。



「カナリーがな…、俺に沢山笑ったり泣いたりしろと言っていたんだ」

そう言って感慨深い顔をしたジェイドは川で汗を拭う時には「セレスト、セレストのモノがお粗末かどうかをミリオンに確認してもらうか?」と軽口まで叩く。


「ぼ…僕は普通だ!ジェイドが異常なんだ!」

「わ…私は見ません!」

顔を赤くしたセレストとミリオンが必死になって反応をする。


「冗談だ」

ジェイドはそう言って笑っていた。


そのジェイドの心を癒してくれたカナリーだったが、初めは抱きかかえていたのだがいくら涼しい季節とは言えグリアまでの道のりでカナリーの亡骸が痛む恐れがあったのでジェイドがエア・ウォールで棺を作り抱えて歩いた。空気がなければ痛まないのではないかと思うと言う発言だった。

ミリオンが「魔法なら私よ」と言ってアイスブロックの魔法で出した氷の塊をウインドカッターの魔法で斬ろうとしたのでセレストが森の木から棺を切り出してくれた。


なのでカナリーは今、花に埋め尽くされた棺の中でミリオンの氷を抱いて眠っている。



グリアまではまだ2日はかかるのでどうしても村等に寄るべきなのだがジェイドの顔がすぐれない。

その顔に気付いたセレストが心配そうに声をかける。


「ジェイド?」

「ああ…、そろそろ村で一度体制を整えなければな」


その言い方にピンときたミリオンがジェイドの顔を見て心配をしてくる。


「何か問題?」

「恐らくな。村でミリオンはフードを被れ。俺も鉄兜を被る」


「僕は?」

「セレストはむしろ今のままがいい。

あくまで俺とミリオンは身バレするまでは勇者ではなくセレストのお付きとして行動をする」

詳しくは説明しないジェイドだったがとりあえずセレスト達は言う事を聞くことにする。

そして日が傾いた頃に着いた村で宿を取る事になった。




村に着いた第一印象は寒村。

村は寂れていて壊れた家なんかもそのままになっていた。


「これって…」

「あまり話すな。そして髪色は決して見られるな」

驚くミリオンをジェイドが制止する。


その時村人の1人がセレストに気付いて駆け寄ってきた。

「もしや…その青色の御髪はブルアの…?」

セレストが返答に困って横を向くとジェイドが頷く。

これは身分を明かしていいと言う事だろう。


「ああ…僕はブルアの人間だ」

あくまで王子セレストということは言わない。

それが良かったようでジェイドももう一度頷く。


「遂に助けが来た!視察でございますか?」

横のジェイドが頷くとセレストが「ああ」とだけ言う。


「ありがとうございます。それで本日の御用は?」

セレストが宿を求めると村人が宿屋まで案内をしながらこの村の惨状を話してきた。


この村はグリアの城と穴のほぼ中間に位置している関係で亜人達が何度も訪れては無理矢理泊まったり食料を奪って行くと言う。


「では先ほどの壊れた家も…」

「はい。食うに困った村民が金を払えと口ごたえをしたら見せしめで家に投げつけられて…その時に破壊されました」


その先の話でグリアの城は今も亜人が駐留していて一向に立ち退かないと言う。


「…これが真っ当な商いなら宿代に食事代で他所に買い出しに行けるものの行商人が来ても払うモノがなければ買う事もままなりません」

そう言って村人が目元を抑える。

余程悔しい様子だ。


「わかった。では今晩はこの宿を貸し切るから相場の倍を払う」

「本当ですか!?」

宿屋の店主と村人が泣きそうな顔で喜ぶ。


「後は食料も分けて欲しい。無論こちらも倍の値段を払う」

「助かります!これで食料や家畜を買いに行けます!」


セレストは王子なので金に余裕はあるがそれ以外にも野良の魔物は倒すと何故か硬貨になるので治安の為に魔物を狩る事がそのまま収入に繋がるのだ。

だからお金には余裕があるので多少の大盤振る舞いも可能だ。

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