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第30話 アップデート。

ジェイドはもう寝ると言うアプリを見送ったのだがアプリはキョトンとしてジェイドを見る。


「あれ?今日は普通に寝るんだとかそう言う下世話な質問はしないんですか?」

「する訳が無い。俺はセレストのようなムッツリスケベではない」


「あら、失礼しました。セレストって青い髪の美形さんですよね?あの人ってそんな感じなんですね~」

「気にするからわざわざ言うなよ?」


「はぁい」と怪しく笑うアプリ。

「あ、一応言うと本当は約束もあったんですが喪中と言う事でやめてもらいました」

「聞いていない。折角なんだからゆっくり寝ると良い」


「あら、寂しいならとか言って一緒に寝てくれたりはしないんですね」

「バカを言うな。今日の俺はカナリーと一緒に夜を明かすんだ」

ジェイドは顔色一つ変えずにアプリを見る。


「失礼しました。じゃあ、今度こそおやすみなさい」

そう言ってアプリが去っていく。



「ジルツァーク様にもしもの時は慰めてあげてねなんて言われたけど必要ないじゃない」そう独り言を言いながら家に入る。

丁度トイレから戻ってきたセレストを見たアプリが悪い顔をして「今日は早く眠れるので寝ますねおやすみなさい」と言うとセレストは真っ赤な顔で「あ…え…おやすみなさい」と言う。


「なんだ、ムッツリと言うよりウブなだけじゃない」と笑いながらアプリは子供達を抱きしめながら眠りについた。



夜明け、日の光と共にジルツァークが現れる。

眠るように横たわるカナリーの頬を撫でて「頑張ったね。偉かったよ」と声をかける。


「ジル…」

「カナリーの願い、ちゃんと受け止めてね。ジェイドは復讐をしても周りを見失っちゃダメだよ?

必ずそこを亜人に突かれてしまうからね」

ジルツァークの珍しい真顔。


「ああ…。カナリーはその為に…俺の傷を…」

「うん。最後の命を使いたいって言ってたよ」


そこにセレストとミリオンがやってくる。


「ジルツァーク様」

「私とセレストも賛成です」


いきなり賛成と言う話を聞いて何のことかわからないジェイドが困惑をする。


「うん。2人ともありがとう」

「セレスト?ミリオン?」


「昨日、ジェイドがカナリーさんを見送る間にジルツァーク様からお話を貰ったんだ」

「もうジェイドが傷付かない為に体の力を強化してもらうの」


「は?何を言っている?そんな事をしたらモビトゥーイの干渉値が!」

寝耳に水だし、そもそもこの状況でジルツァークが力を使えばどんな事が起きるか予測もつかない。


「勝てるさ」

「私達なら勝てる」

そう言って笑うセレストとミリオン。

その笑顔は意志の強さがにじみ出ていた。


「一晩考えてってちゃんと言ったよ。

それで2人はジェイドの為に考えたから平気だよ」

そう言ってジルツァークの体が光り、その光がジェイドを覆う。


「うん。これで人間の殺意や悪意で付いた傷も残らず消えるよ」

「ジル…」


「何?モビトゥーイが干渉してくるならその分頑張ってよね!」

そう言ってコロコロと笑うジルツァーク。


そのあと、朝食を食べてからカドに挨拶をして旅立つ事にする。


「娘の事を頼みます」

そう言うカドの手にはカナリーの遺髪が握られていた。


「グリアの地に眠ってもらって…?」

本当に良いのかとジェイドが聞く。


「村から出られなかった娘の願いです。妻達には遺髪を捧げますから…」

カドは右手を見て言い聞かせるように言う。

「わかった。行ってくる」と言ってカナリーの元にジェイドが1人で行く。

朝日を浴びたカナリーは神々しく思えた。


「カナリー、少し寝苦しいかもしれないが我慢をしてくれ」ジェイドがカナリーの亡骸を抱きかかえて歩き始めるとセレスト達が付いてくる。

村を出て塔を見る。

塔の窓にフランが見えた気がしてジェイドは手を振った。

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