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第11話 妹。

「死ねぇ魔女!」

ミリオンはまさか襲われると思っていないので動けずに居たがジェイドは即時に反応をしてミリオンの前に出ると凶刃に胸を突かれる。

そのナイフはジェイドの心臓を捉えたが命を捉えたわけではない。


即座にジェイドに殴り返されて男は尻餅をつく。


「ぐっ…、不死の化物め…」

そう言った男は昼間スライムから助けた男だった。


「あなた!?」

「昼間の?」

まさか助けた相手に殺されかけると思っていなかったセレストとミリオンが驚いた声を出す。


「やはりな…」

「ジェイド?」


ジェイドは外套を被ったまま片手で男を持ち上げると「お前、俺達の先回りをしていたな…」と言う。



「くっ…」

「言わなくても大体わかる。防人の街の生き残り…、恐らく騒ぎになった時点で逃げていたんだろう」


「そうだ!騒ぎが収まったら街に戻ろうと弟と離れた場所から見ていた!

そうしたらそこの魔女が全てを消し去ったんだ!」

男たちはミリオンがアトミック・ショックウェイブを発動する所を見ていた様子だった。


「復讐か…」

「そうだ!」

男は持ち上げられて苦しそうにしながら必死になってジェイドに言葉をぶつける。


「弟?」

「仲間がいるの?」

日中も男はもう1人居たと言っていた。

それは男の弟でここには居ない…。


「ちっ、そう言うことか!」

ジェイドは男を地面に転がすと走り出す。


「ジェイド!?」

「そいつの目的はミリオンの殺害、弟の目的は別だ!」

走り出したジェイドは止まらない。


「そいつは兵士に言って拘束させろ!多分弟は手薄になった城を襲うぞ!」

その言葉通り、走り出してすぐに城から火の手が上がる。


「間に合うものか!城には街以上によく燃える油を使ったんだ!」

兵士に拘束された男の捨て台詞の声が聞こえたが3人は止まらずに城に向かって進む。


「セレスト!前を走れ!俺では兵士に止められる!」

確かに外套を深々と被って走るジェイドでは兵士たちが不審がる。

セレストは前に出ながら不思議に思う。


防人の街で見せたジェイドと今のジェイドはまったくの別物でこちらが本来のジェイドなのではないかと思っていた。



城に戻ると燃えていたのは離れに建てられていた妹の屋敷だった。


「あれはリアンの…妹の屋敷が燃えているのか!?」

セレストが真っ青な顔で火の手の上がる屋敷を見る。


「妹!?」

妹と聞いてジェイドの声が強張った。


「リアン!」

セレストが屋敷の前まで走って声を張ると近くの兵士が「王子!王女様がまだ中に!」と言う。


「くっ…」

セレストが燃え盛る屋敷の中に入ろうとするのをジェイドが止める。


「お前は来るな!俺が行く!妹の寝所は?」

「に…二階の…向かって右端の部屋」


「わかった!俺が助けてくるからお前は犯人を探せ!」

ジェイドが燃え盛る火を無視して屋敷に入ろうとする。

ドアノブは焼けて熱くなっていたがジェイドは気にせずに扉をこじ開ける、


新鮮な空気が入った事で火は余計に燃え盛る。

ジェイドの顔や髪を焼くがジェイドは気にせずに突き進む。


焼け落ちかける階段を駆け上がって二階に着いたジェイドが火の中で声を張る。

「セレストの妹!何処だ!済まない!返事をしてくれ!」


そう言いながら右の部屋を目指すと「助けて」と確かに聞こえた。


「わかった!もう喋る必要はない!煙を吸い込むから口に布を当てて俺を待て!」

ジェイドが扉を蹴破るとベッドの端で小さくなっている少女がいた。


「君がセレストの妹だな!」

「はい!」

少女は火事に怯えながら助けに来たジェイドを見る。


「よし、2階に他の人間は?」

「居ません」


「よし、それなら逃げられるな」

「でも火が!」

この火は素人目にも脱出不可能に見える。


「安心しろ。

君は布団に身を包め。俺が抱きかかえて逃げる。そこの窓から飛び降りるだけだ。なんの心配もいらない」


そう言ってジェイドは窓を蹴破ると外に向かって「セレスト!妹は無事だ!今から脱出する!」と言ってリアンを見る。

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