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第105話 ジルツァークと眼鏡の男神。

「イロドリ様、まだ御座いますか?」

「うん…でもその前に少しだけ話をさせて」


「何の話ですか?」

「私を祝福してくれた女神から頼まれたの。きっとリュウさんがショックを受けてしまうから創出神の話をしてと言っていたの」


「創出神?創り出された神ですか?」

「うん。その男神は復讐の道具として1万人以上の人間を生贄につかわれて悪い神によって生み出されたの。でもね、親が救いようのない酷い神でもね、創出神はね凄く優しくて強くて思慮深いの!家族も居るの!凄く皆を大切にしていてね!お母さんも何人も居てお父さんも何人もいるんだよ」


タカドラには何が何だかわからない話だ。


「ごめん、わからないよね。言いたいのはね。タカドラも生み出した神が変な神でも腐る事は無くていいの。好きに生きていいの。そう伝えて欲しいって言われてきたの」


イロドリの言う祝福をした女神がどれだけ真剣に思ってくれていたのか考える。

きっとイロドリの周りの神々は良い人たちなのだろう。


「イロドリ様、私は神化をしたらその方々に会えますか?」

「うん。私が皆に紹介するよ!私のお父さんやお母さんにも会って!」

イロドリが急に子供の顔で言う。


「はい。やる気が出ました。イロドリ様。ありがとうございます。後は続きをください」

「うん」


そうしてイロドリがタカドラに先ほど、最初に見せた映像の続きを見せる。

エクサイトをジルツァークに渡した眼鏡の男神は聞いても居ない事をベラベラと並べ立てていた。

その姿はまさに承認欲求と損得勘定の塊だった。


「ジルツァークさん!エクサイトの中には私が最初に用意してあるエルフやドワーフなんかが居ますよ。活用してください!エルフやドワーフには「女神ジルツァークの世界創造に付き合うように」と命じてあります。

後はエルフもドワーフたちも有名創造神の世界からセッティングを買い取っておいたので優秀ですよ!」

眼鏡の男の顔には「どうです?凄いでしょ?承認していいんですよ?」と書いてある。

ジルツァークは「うん、どうも」と張り付いた笑顔で答えるが眼鏡の男神は気づかない。


「ジルツァークさん!大地も土壌神からデータを買い取って使いました!いい作物が育ちますよ!」

「ジルツァークさん!海水は海洋神から買いました。きっと魚の進化も捗りますし、綺麗な景色になって皆がいいねって言ってくれますよ」


そう言って眼鏡の創造神は次々と有名どころから仕入れたもので出来上がったエクサイトを説明する。


「やっぱり本物は違いますよね~、ジルツァークさんもそう思いますよね?」

だがその言葉がジルツァークを怒らせたのだが眼鏡の男神は気づかない。


それどころか「この前言っていたお礼のご飯、どこで食べますか?奢りじゃなくても良いですよ。良いお店皆が褒めていたお店を知っていますよ」等と言い始めている。

「ごめんなさい。今はこの世界に集中したいから落ち着いたらでいいかしら?」

ジルツァークの対応は普段タカドラが見ている物とは違っていた。


「あー…、そうですよね。でも大丈夫ですよ。世界の管理には唯一のドラゴンを用意しましたから」

「は?」


「このドラゴンが本能的に世界を管理しますから、もしご飯に行きたくなった日にはドラゴンに任せても平気ですからね。それに500年生きたドラゴンは神化するように設定しましたから長期の不在も問題ないですからね。それにドラゴンの補佐をエルフとドワーフにするようにも言いつけてあります。ちなみにドラゴンは万一死んでしまってもタマゴで残してあるのでそちらを台座に乗せればまた世界は正常になりますからね」


「え?何勝手な事をしているの?」

「え?私とご飯に行く時に世界はもって来れないですよね?」

ジルツァークと眼鏡の男神の会話はとにかくかみ合わない。

だが眼鏡の男神はその事はなにもわからずにとにかく自分の欲求を満たす事ばかりを考えている。


「あああああ、もういい。どうもありがとう!今は集中したいから全部落ち着いたりわからない点が出てきたら連絡するから!またね!!」

そう言ってジルツァークはエクサイトを持って行ってしまった。



「…こんな男の欲求の為に私は生まれたんですか?」

「うん」


そしてその後でイロドリはもう少しだけ話してくれた。

人間界と上層界の土や風、水が違う理由はジルツァークが自力で世界を創造しようとして作り替えた結果だった。


「ジルツァークは創造の力が無いから、見様見真似だとあのくらいが限界なんだ」

「だから上層界と人間界であんなにも違いがあったのですね」


「うん。そして幸か不幸かジルツァークはミスを犯したの。だから私が介入出来ている」

「イロドリ様?」


「神は自分の世界の中に入っている間は何でも見ようと思えば見れるの。でもそのやり方を眼鏡の男神から教わる前にエクサイトを引き上げたの。おかげでジルツァークが居ない間だけはこうしてリュウさん達に会ってもバレないんだよ」

「そうだったんですか…。ありがとうございますイロドリ様」


そしてタカドラはイロドリにジルツァークの真意を聞いた。

「…そんな理由で?」

「うん」


「ありがとうございます。おかげで決心がつきました。私は見事偽装と隠匿の大任を成し遂げます!」

「大変な役目だけどお願いね。リュウさんが助からないとこの世界が滅びるの」


イロドリはタカドラ抜きの場合にこの救済が失敗に終わる事を説明する。

確かにタカドラ抜きでは成し遂げられない事だった。


「お任せください」

「うん。頑張ってね。明日から練習だからね。後、明日以降は気取られないように気を付けてね」


そう言ってイロドリが帰って行った。

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