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第104話 怠惰と損得勘定と承認欲求。

映像の中でエクサイトを作った男神が先輩の男神と話した所まで見た。


「この日、ここでこの男神と会った事がいけなかったのかもしれない。

そして眼鏡の男神が怠惰と損得勘定と承認欲求の神になりつつあった事、創造の力が殆ど残されていない事が問題だったんだ」

そう言うイロドリの顔には怒りがあった。

幼女の姿をして居ても心は大人とかわらない。


「イロドリ様?何を?」

「…ごめんリュウさん。私が冷静にならなきゃいけないのにごめんね」


「いえ、何があったのでしょうか?教えてください」

「うん。順を追うね。

怠惰の神だから、大変な作業が嫌だったの。

だから最初はヘルケヴィーオ達、エルフを産み出した時には「ジルツァークさんに認められるような名前にしよう」って張り切ったの。でもヘルタヴォーグと数名のエルフの名前まで付けた所で…」


「ダルい。やめた」


「そう言って今度はドワーフのワタブシを創造しようとして「姿変えるのダルいな。いいやこのままで」と言ってエルフ同様姿を変えなかった。その後で数名のドワーフの名前を付けた所でまたやめてしまう。

そしてリュウさんを産み出した。

リュウさんの時には名づけも簡単なものになっていた」

イロドリは簡単という言葉を使ったが実際には面倒だった。

面倒だから、高い場所に鎮座するためのドラゴンでタカドラとなったのだ。


リュウさんが生まれた理由は…この前も話したけど世界の管理。

木々が生い茂るのも水が流れて風が吹くのもリュウさんが神殿に居てくれて無意識で世界を気にかけてくれているからだよ」


「…そんな理由で我らの名前が?」

「…うん。承認欲求の神として満たされなかったの。崇拝する先輩に創造を否定された事。その事が損得勘定を優先する眼鏡の男神に創造を投げ出させたの」


「…」

「ごめんねリュウさん。やめる?」

タカドラの気分を察したイロドリが慌てて話をやめようとする。


「いえ、進めてください。何故ジルツァークはこの男神に創造を頼んだのですか?」

「うん、簡単な話。戦神も酒神でもそれこそ他の神でも世界は作れるの。でも創造神じゃないと深みのある世界は作れない。かつてジルツァークは神として世界を作ったの。

でも駄目だった。彼女の本質は繁栄と平和じゃないから、彼女の臨んだ世界にならなかったの。

そしてエクサイトの男神は創造の力を失いかけていたの」


「失いかけていたんですか?」

「うん、ドワーフなんかと一緒だよ。剣作りから離れていたドワーフは剣が上手に作れなくなるよね?

眼鏡の男神は怠惰に身を任せて、他人の創造を否定する事で創造神としてのプライドなんかを保とうとしていたけどそれでもあっという間に限界を迎える。徐々に自身が承認欲求、損得勘定、怠惰の力しかもたない神になりつつある事にショックだったの。

そこをジルツァークに見抜かれて使われた。

眼鏡の男神は承認欲求の神。ジルツァークって顔つきもなんか子供の私でもわかるくらい色っぽいし、すっごくエッチな身体で薄着でしょ?神の世界でも目立つんだよ。あのジルツァークと仲良く出来て一緒にご飯に行けたら物凄い数の承認、私達の世界では「いいね」とか言うんだけど、それが集まるんだよ」


「イロドリ様?それが集まると何になるんでしょうか?」

「私にはわかんないよ。でもその為に眼鏡の男神はエクサイトを作ってジルツァークに渡したんだよ。これがこの世界の始まり」



イロドリの話が本当であればエクサイトを創造した神は、面倒くさい、周りに認められないかもしれない、すなわち損をすると言う考えで自分の為に世界が作れない男神なのに、創造の力を失いたくない気持ちと承認欲求の下心からジルツァークの口車に乗って世界を創造したことになる。


呆れて何も言えないとはこういう状況をさすのではないか?

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