第103話 眼鏡の男神。
エクサイトを作った神の事を知りたいとタカドラが言う。
難しい顔をしたイロドリがタカドラに警告をする。
「絶望…しないでね?でもきっとリュウさんは言うと思っていたから私も覚悟をしていたんだよね。
先に私の願いを言うね。知った後で自暴自棄にはならないで、エクサイトの皆を唯一竜タカドラとして、竜神タカドラとして導いて欲しいの」
「御意。イロドリ様の御心のままに」
「ありがとう。じゃあ見せるね」
「見せる?」
「うん、私を祝福してくれた女神と偽装と隠匿を教えてくれた男神は映像化を教えてくれたんだよ。リュウさんの為に教えてくれたの。ちゃんと見せてあげて、それで前に進む力で生きようと思ってって言っていたよ」
そう言ってタカドラの脳内に500年前のエクサイトが映し出された。
「今、目の前に見えている男の人がエクサイトの神だよ」
目の前には中肉中背、背は低め、眼鏡をかけた男神が手を光らせていた。
「手の中身がエクサイトだよ」
眼鏡の男神が前に進むとジルツァークが居る。
ジルツァークは眼鏡の男神に気付くと嬉しそうに手を振る。
男神は嬉しそうにヘラヘラしたが慌てて表情を無表情にする。
「ジルツァークさん、作りましたよ。私はこの世界をエクサイトと言う名前にしました。意味ですか?実験場の【エクスペリメンタル】から取りました。いえ、そんなに喜んで貰えて嬉しいです」
眼鏡の男神はまんざらではない顔で手の中にあったエクサイトを渡す仕草をする。
ここで映像が止まる。
「かつて、この男は創造神だったの。神はね色々な神が居るんだよ。想像力を形にしたい人は創造神になったりするの。お酒が好きな人は酒神。戦う事が好きな人、やめられない人は戦神になるの、想いの数だけ神が居ると思って」
「創造神様ですか…」
「うん。でもこの神は創造をほとんどしなかった。
元々は損得勘定の神になりかけていた創造神なの」
「…そこは以前少しだけ聞きましたね」
「うん。そして同時に承認欲求の神でもあったの」
「承認欲求…」
「うん、周りに認められたい、褒められたいって気持ちが強い神様。
だから創造が出来なかったの。人に褒められない創造は損でしかない。そんな気持ちで居たから他の創造神に独創的と評されても創造をしなかった」
イロドリの不快感をあらわにした言い方。
タカドラはイロドリとこの男神には何か因縁があるのかも知れないと思っていた。
そして場面が切り替わる。
「これはエクサイトを作り始めた時、ジルツァークに渡す前の確認をしている時。これは神の世界で見てきた神に貰ってきたんだ。まだこの時の私はエクサイトを知らなかったから…」
映像の中では中肉中背の男がエクサイトの神と一緒に居た。
「この男は?」
「この男神も創造神。ううん、創造神だったの」
そう言うと映像が動き出す。
「あれ?お前なにやってんの?」
「あ、先輩。今ちょっと世界を作ってんですよ」
「まだお前は創造なんてやってんのか?暇だな」
「え?そうですか?」
「まあ、せいぜい頑張れよ。俺がやればお前よりいいものが作れるけど今はやらないだけだからな」
ここでまた映像が止まる。