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第100話 ジルツァークの焦燥。

その後の訓練は順調だった。

イロドリは週末だけ現れてジェイドの進捗を嬉しそうに聞き「私達の力が使えるかはわからないけど意識してみて」と言って回復力を傷口に分け与えるだけではなく回復の後押しをして「早く歩けないお婆ちゃんの手を引いてあげるイメージで力を使ってみてね」と教えてくれたりした。


「棒術の防御は何より目が大事なんだよ。相手の手や目、肩なんかを見て驚異的に先読みをしていくの。手が上の時は下から来る可能性は低いからね。でも先読みにばかり頼ると裏をかかれるからね?」


そう言われたジェイドは急に思いがけない進歩を遂げては驚かれて「風呂場で暇だったから考えていた」と言って誤魔化す。

ジルツァークは驚くものの、怪しむのではなくヘルケヴィーオ達が驚くのが気持ちいいのだろう。

「私のジェイドは凄いんだぞ」と鼻息荒く胸を張る。

ジルツァークの胸は豊満で服装は薄着なのでセレストは目のやり場に困る。

ジェイドは以前レドア王に告げた通り情欲が無くなっているのかなんの気もなく聞いているだけだった。


ちなみにジェイドの薬湯治療の方は2週目には悪臭も出なくなった。

セレストは2週目には必殺剣の半分以上をジルツァークの加護なしで撃てるようになり、今度はジルツァークの加護を併用して急に加護を解かれても問題を感じなくなる為の訓練を始めた。


ミリオンも何とか魔法の再現が上手く行き始めたがどうしても発動までのタイムラグが埋めきれずに本人はスランプに陥っていたが最終的にはジェイドの助言とワタゲシとワタブシとの訓練で迷いが晴れて新たな境地にたどり着けた。

一番スタイルの変化が激しいのでジェイドはミリオンの使いどころが難しい事を痛感していた。


そして今は3週目の終わりで、ジェイドは長めの棍棒の訓練をしていた。

短い棒から長い棒まで試した結果、ジェイドに適していたのは長めの棍棒、通常の長さと長い棍棒の真ん中くらいの長さと言うことになった。

長めの棍棒を使ったジェイドはワタゲシとハルカコーヴェの攻撃を完璧に防ぎ切っていた。

それも単純な防御ではなく撃ち返しになっていてワタゲシの練習用の鉄棒は訓練の終わりにはいつも変形してしまう程だった。

まあその鉄棒は新米ドワーフのいい練習台になるらしく毎日「ほら、真っ直ぐに直して見せろ!」とワタブシに言われて新米ドワーフはヒーヒー言いながら鉄棒を直していた。



「そろそろいいよね」

ジルツァークがいい加減先に進みたいと言う顔で昼食後に食休みをしているジェイド達に言う。


「そうか?だが確かに3週間も居るな。

そろそろ亜人共が何をするか心配はある。

後は聖剣と聖鎧だな」

セレストとミリオンも訓練は大事だし嫌ではないが亜人討伐が後に回っている感じが苦手だと言った。


ジルツァークも含めた4人でそう話したのだが翌日の午後に工房に行くと「バカヤロウ、ずっと睡眠不足で夜なべしてやってんだよ。ミリオンの装備がまだだよ。待てって」とワタブシに言われてしまう。


「いつまでだ?」

「今週末には渡せるから待てって」

今日は水曜日なので後2日~3日と言う所だろう。


「あ、ジェイドだけは別な」

「何?」

突然のワタブシの発言にジェイドが驚きながら顔を覗き込む。


「文句ならワタゲシに言えよな。

アイツ、タカドラにとんでもない事を頼み込んでやがった。

タカドラが今は力を溜めこんでいるから最高潮になるのを待てってよ」


「え?何をするの?」

ジルツァークが憎々しい声で聞く。



「タカドラが神通力でナマクラとジェイドの魔法契約をするってよ。ワタゲシの奴がタカドラに相談したらやれるってさ」


「タカドラの魔法契約?まさかね…」

ジルツァークが小さく呟く。

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