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第6話

沢山の、ブクマ、評価をありがとうございます……!

感激の極みです……これほどまで皆様の応援をいただけて嬉しいです。

これからも、よろしくお願いします。




予想通り、麗亜は俺が帰ってくると、お菓子を、心待ちにしていた。


「買ってきたぞ。今日は悪かったな」


俺は、いつものように麗亜にお菓子を渡そうとしたのだがーー


ちらりとコンビニの袋を見た気がするんだが……?


俺が靴箱に手をかけると、麗亜は無言で、俺の手から、お菓子を奪い取った。


「泣き目だけど……どうしたんだ。何かあったのか?」




「……お兄ちゃんのバカ!」


パーンという音が玄関で響く。


俺……今、麗亜に平手打ちされた……?


い、痛い……!




「お前、なんで俺を叩いたんだ……?」


「バカはバカでも大馬鹿よ!」


「せ、説明してくれ。ど、どうしたんだ、一体?」


「……あ、彩子姉ちゃんはどうしたのよ!……なんで細川さんっていう人と付き合っているのよ!」


「ど、どうして、ここで白羽の名前が出るんだよ」


「サイテーよ!女の子一人の気持ちを弄んで……」


「……ほ、細川を弄んでるってことか?」


「ねえ、話聞いてた……ふざけるのも、いい加減にしてよ……?」



麗亜は、まっすぐ俺を見据えながら言った。


「このアホ兄……もう知らないから!」


麗亜は、俺を突き飛ばし、玄関のドアを力まかせに開け、外に飛び出した。


くそっ……麗亜の奴、唸るほど方向音痴のくせに……!


「ちょ、ちょっと待て!お前いきなりどこに行くんだよ」


家の前の道路に出て、麗亜が走っていった方向を見るものの、姿は見えない。


麗亜のやつ……スマホも、何もかも、持たずに走って行きやがって……。



俺は心当たりのある場所はすべてまわった。


いつも行くスーパーも、麗亜の通っているピアノ教室も。


高校までの通学路も、駅までの道も。


なんで俺が、こんなに走りまわってるんだよ……!


麗亜になんかあったらどうするんだよ……!


さっき行ったコンビニも外から覗いたが、麗亜はいない。


レジを見てみると……あ、白羽はバイト上がったみたいだな……って、そんなことはどうでもいい。



もう一度、周辺を見渡す。


俺の頭の中にたくさんの人が入り込んでくる。


帰宅を急ぐ、幼稚園生の女の子と、仕事終わりのお母さん。そのお母さんの空いた手には、コンビニの袋。


鞄を体に引き寄せて早足で目の前を通り過ぎる女子高生。その女子高生は、バッグを左から右に持ち替える。


ママチャリで、イヤホンを聴きながら猛スピードで駆けてゆくおっちゃん。前のカゴには、スポーツ新聞が放りこまれている。



とりあえず、家に戻るか……。


歩く間は、あたりをキョロキョロしていたが……淡い期待を抱くものの……


家に、麗亜はいない。


どうしよう……ちくしょう……再度、外に探しに行くか。





「こっちは通ったな……」


さっきとは違う道を中心に歩いて行くと、昔、よく遊んだ公園。


入り口には、古い水飲み場がある。


俺は、蛇口にそっと手を置く。


「そういえば……あいつと、よく遊んでいたな……」



3個重なった土管。4台並んだ、ブランコ。無駄に高い、滑り台。


パッと、ただ、目線を左から右に振るだけで……


あの、普通だった日々が鮮明に思い返される。



「もう、あやちゃんは、ぼくにいじわるしかしないんだから!」


「えへへ。まだ、かおにどろついてる……!きゃはは」


「……この……つぎはこっちのばんだ!」



楽しかったな……あの頃は。



「……よし。もう夜も遅くなるし、もういっちょ探しに行くか!って見つかんなきゃ、やばいよな……」







俺は、公園の入り口を出ようとした時ーー


公園の奥から、声がした。


「待って!」



大きな声に一瞬、立ち止まるも、俺は、自分に話しかけられているとは思わなかった。


カップルが、別れ話でも繰り広げてんだろ。


俺が、また歩き始めるとーー



その声の主は、今度は至近距離で、俺に話しかけてきた。



「なんで……なんで私だったら……ダメなのよ!……う、うっ……」



俺はびっくりして、体ごと後ろに向けた。


そこにはーー俺の幼馴染だった、隣人の白羽彩子がいた。


白羽は、学校の制服を着ていて、あのコンビニの袋を左手に持っている。




それよりも……な、なんで、ここに、白羽がいるんだ。


コンビニから家に帰るには、逆方向なんだが……?









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