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第4話

ブクマ、評価ありがとうございます。

本当に励みになります……!




チャイムが鳴り、早急に教室を出ようとした俺だったが、細川に捕まった。


俺の右腕はガチリと、細川に握られている。


「逃げるの?」


「い、いや。ちょっとトイレに……」


「わかる嘘つかないでね。さっきの授業中にトイレに行ったのはどこの誰かしら?」


形勢不利と見た俺はおとなしく連行されることにした。


昇降口でも、細川は電光石火で靴を履き替え、俺を待ち構える。


腕組んで、スタンバイする細川よ。流石にもう逃げないよ……。


「で、細川はこれから、どこに行くつもりなんだ?」


「ど、どこって、あんたが考えなさいよ!」


とりあえず歩いているってことなのか……?


「お前が俺を無理やり連れ出したんだろ?」


「ほんと分からず屋ね」


「仕方ねーな。なら、駅前のカフェに行くか」


「最初っからそう言えばいいのよ」


細川は嬉しそうに笑って、小さなガッツポーズをしていた。




入店した俺と細川は店員に案内され、店の外にあるテラス席に座った。


四角いテーブルには椅子が4つ並んでいるが………


「お前、どうして俺の横の席に来るんだよ。せめて向かいに座れよ!」


「べ、べつにどうでもいいじゃない。それより、早く頼みましょ」


まあ、愛人だから、か……。


「どれにしようかしら……あ、すいません〜。カフェラテお願いします」


店員さんが来てくれて、注文を受けている。


「はい。そちらの彼氏さんは何をご注文なさいますか?」


か、彼氏でも何でもないんだ………ま、横に座られているし、間違うか、普通。


「じゃ、このアールグレイで」


「あ、それとショートケーキ1個お願いします」


女の子は、細川だけじゃなくて、麗亜もそうだけど、甘いもの本当に好きだな。


「ご注文は以上ですか?では、ごゆっくりお過ごし下さい」


店員さんは、注文の確認をして、テーブルから下がっていった。


「ねえ、恋人みたいに振る舞ってみない?」


細川が耳元でこそっと囁いてきたんだが、何なんだ?


不覚にもゾクっとしてしまった。


「いいけど」


「………」


「………」


でもどうすればいいのか全然わかんない。


すると、ナイスタイミングで店員さんが頼んだ物を持って来てくれた。


「お待たせしました。カフェラテにアールグレイ、ショートケーキです」


「じゃあ、食べさせてよ」


細川の、う、上目遣い!


こんなことされたら俺は理性が持たないじゃんか。


いつものあの細川は何処に行った?


俺は彼女の口元にスプーンを持っていった。


「ほら、イチゴ載っけたぞ」


「それじゃあ、今度は私の番ね。食べさせてあげる♪」


細川は、にっこりと笑い、俺が細川に使ったスプーンをそのまま握る。


「あ〜ん」


違和感なくスプーンを使い回しただと!?


間接キスじゃないか!


俺、顔真っ赤だけど……


俺はアールグレイを飲み、店の看板を見上げた。


そうして、少しだけ体の熱を冷まし、飲み物をまた飲もうとした。


………ん?これアールグレイじゃな…っておい、何勝手に飲み物交換してんだよ!


「お前いつのまに………」


「あ、ごめん。なんか飲みたくなってさ。よく考えたらスプーンにストローって間接キス、し過ぎかな。そ、その、そういうのって嫌い、かな?


ああ、もう………精神を正常に保てない!


落ち着けよ、俺。


そういうことストロー咥えながら上目遣いで言うな!



「別にそんなことねーよ。細川が頼んだから、俺も気分的にカフェラテ飲みたいと思ってたところだし」


「達也くんって優しいね」


細川は、また俺の耳元で囁く。


「私たち、まだ連絡先知らないわよね。交換しましょ」


だから耳は弱点なんだってば!


「そうだな」


俺と彼女はスマホを操作した。


「ラインできる?」


IDを互いに交換して登録した。


試しに彼女はかわいいスタンプを送って来た。


なんか、てるてる坊主が親指突き出してるのか?


「届くのは確認できたし、夜にでもメッセージ送るね」


「あんまり遅いと寝てるからな」


「今日ぐらい夜更かししてよ」


「明日に影響するから俺は夜10時には寝る」


「……いいの?」


「へ、返信は必ずします……!」


「分かってるならいいのよ?さあ、出ましょ。次は、達也くんのお家に行くのよ」


「お、俺の家に来るのか……今から?」


「あら、来られて困ることでも。ああいうものが……?」


「ねーよ。ま、家に妹がいるくらいか」


「あら、妹さんいたの。親御さんは?」


「海外行って日本には滅多に帰ってこないな……」


「そうなんだ……じゃあ、二人暮らしなのね」


「ていうか、もう着いたんだけど。ここが俺の家」


おーい……俺の話全然聞いてないし。


細川は、勝手に玄関のドアを開けて中に入る。


「随分勝手なやつだな……」



「あ、お兄ちゃん、お菓……って誰ですか!?……こ、こんにちは……?」


「妹さんかしら……初めまして。細川京佳よ」


「は、初めてまして。神宮寺達也の妹の麗亜ですけど……あ、兄と付き合ってたり……?」


「そうよ、達也くんと付き合ってるの」


「……えええええええええ……!こんな美人なのに、ど、どうされたんですか?血迷ったんですか?それとも兄に脅されたり……」


麗亜よ、脅されてるのは、こっちだっつーの。


「フフ、そんなことはないわよ?達也くん、そうだよねー?」


「ん?あ、ああ」


「こ、恋人同士だなんて……これは一大事……!」


「あら、どうされたのかしら?」


「な。なんでもないですー!あの、お、お茶でも出すので座っといて下さい!」


麗亜は、すったもんだの騒ぎでキッチンに走っていった。


「あなたの妹さん、すごいかわいいじゃないの。本当にご兄妹かしら?」


「いっつもそれ言われんだけど」


「ふーん……そうね。妹さんがこっちに戻ってきたら、私にキスしなさい」


「……あ?……ば、馬鹿かよ、お前。そ、そんなこと、妹の前でできるわけないだろ」


「馬鹿とは失礼ね。いいから、キス、しなさいね?」



それと同時に、麗亜は戻ってくる。


仕方ないので、細川の右頬に軽くキスしたよ……。



「ふ、ふわぁ?お、お兄ちゃん……」


案の定、麗亜はショックだったようで、目を丸くして茫然としている。


恥ずかしい俺は、食卓の角を見ている。


それにしても、細川は、どうして平気なんだよ……でも、すこーし動揺してんじゃないか?


「麗亜ちゃんは免疫ないのね。こ、これくらい付き合っているなら普通よ?」


「そ、そうなんですか?こ、こういうのって、人前ではしない……?」


「したいときにすればいいのよ!キスが挨拶の国も、世界にはあるのよ?」


「は……そうですか」



お茶と、一昨日俺が買ってきたお菓子を出し、麗亜は、俺らのことを根掘り葉掘り聞いてきた。


適当に細川に話を合わせるだけで、俺はおとなしくしていた。



「俺、自分の部屋行くから」


俺がこの場にいても特にすることないしな。


「じゃあ、私もついていくから。部屋、入らせて」


ほ、細川……!


「何か問題でも……あるのかしら?」


細川は、おもむろにスマホを取り出す。


俺はその仕草を目視した。


「……ないけど。それなら入れよ」



俺は、二階に上がりドアを開け、細川を中に入れた。


「あら、男の人の部屋って汚いと思ってたのだけど。案外綺麗ね」


「……それはどーも」


「ああいう場所に行くんだから、やっぱり、持ってるの?」


「あんまり興味ねーし、あれは間違えて入っただけ……!」


「ベッド、座りなさい」


「わかったよ……っておい?」


細川はいきなり俺のベッドに跳び乗り、俺の横で、制服を脱ぎ始めた……!


「お前は何をしてる!?バカか?早く服を着ろ!」


「いや、興味ないから、どういう反応するかなって」


「……興味ないわけねーよ!こんなところ妹に見られたらどうすんだ!」


「あれ。達也くんは私の愛人よ?愛人なら、こういうこともするでしょ?」


「お前、本気で言ってるのか……?」


細川は、俺を押し倒して、両手で体を支えながら俺に覆い被さっている。


細川の、か、顔が、すぐそこに……。


俺、やばくないか……?







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