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第23話



とうとう修学旅行当日を迎えた。


今、俺は東京駅から新幹線に乗り込もうとしている。


だがな。問題が発生した。


席順をどうするかだ。


みんな知ってるかい?新幹線の座席は2列と3列なんだ。


瀬戸と俺で2列の席に座れば問題ないが、なんかいい案はないか?


瀬戸は絶対に細川と離れたくないはず。


どうせなら、誰だって彼女さんの横がいいだろう?


俺は(自分のためとは悟らせないように)気を遣っている風を装い、勇気を出して発言した…!


「なあ、圭介と細川さんで席座ったらどうかい?」


「あ、そうだな、って本当に俺たちの為か、達也?」


「ソ、ソウデスヨ。ヤマシイコトハナイデス」


「お前、情状酌量の余地なしな」


「う、そんな、お代官様、どうかご慈悲を」


瀬戸は俺に冷たい一瞥をくれた。


「じゃあ、京佳、2人で座るか?」


「うん。なんかいいの?松木さんと白羽さん」


「いいよ。楽しんでね。いいよね、白羽さん」


「まあいいわ。で、神宮寺くん、私たちのこと、卑猥な目で見つめないでよね。もしかして私たちの横に座って痴漢行為を働こうと企んでいるのかしら」


「俺を変態扱いすんな。そんなこと1ミリも考えてない。そして俺は今お前を見てすらいない」


「それじゃ、神宮寺くんの胡乱な目から私たちの身を守るために神宮寺くんは通路側、私窓側、松木さんが真ん中の席で決まりね」


ん?今なんて?


「いや、お前何勝手に決めてんだよ。俺は窓際がいい」


「え、いや、白羽さん、私酔いやすいから通路側がいいよ。神宮寺くんは真ん中の席に座ってくれないかな?」


「お、おう。もちろんいいぞ」


「松木さんがそういうから神宮寺くんの横に座ってあげるけど、し、仕方なくよっ。べ、別にあんたの横に座りたいって、これっぽっちも思ってないから」


うーむ。繰り返されるとな……。


俺、気にもしてなかったが、ツンデレはなんかグッとくるものが………。


ま、とにかく松木さんグッジョブ!


女の子、両手に華!


「ボケっとしないで早く乗ってよね、蟻さんより早く動けるよね?神宮寺くん」


「あ、はい」


そう言われている俺を見て瀬戸は温かい眼差しを送ってきた。


「果報は寝て待て」




そんな瀬戸の言葉通り、俺は新幹線に乗り込むとすぐさま寝る体制に入った。


どうせ京都までの2時間だ。


俺は無事眠りについて、名古屋に停車した時、目が覚めたのだが……?


………ん?


俺の左腕、こんなに重かったっけ?


白羽っー、俺に、もたれかかんな!


にしても、お、女の子の肌って柔らかいんだな。


ストレートの艶やかな黒髪、そして、バサーっと、髪の毛が俺の腕の触感を極限まで刺激している。


極め付けは、ティ◯ァニーのダイヤより美しいその寝顔。


っておい、何見惚れてんだ、俺。


けどよ、どうする?


この状態で白羽が目を覚ますと喚き倒すだろうし…。


まあ、あと30分くらいの我慢だ。京都に到着して松木さんに声掛けてもらって白羽を起こしてもらえばいいか。


………こんなにこの区間長かっったか?まだ米原すぎねーし。


コイツ起きる気配ゼロ。


左に目をやると、あ、察し。


お二人さんで桃色空間築いてますよ。


「圭介ったら、もう。お口の周りにお菓子の屑がついてる。取ってあげるね」


「おい、わかったからその手どけろって」


「恥ずかしがらないで………ん、これでオッケー」


「ありがとな」


「んふう♪」


爆ぜろ爆ぜろ爆ぜろ〜!


こちとらこの頭重女のせいで腕痛いんじゃ!


そりゃ、ちょっと………嬉しくてたまんないけど。


白羽って、お淑やかな美少女だから……。


好きな女の子が横にいるのに、最近、これだけいつも拒否反応示されるとな…どうしようもなく、つらい。




あー、俺、もう一回睡魔に襲われている。


もう寝てしまうぞこのまま。


………zzz。……ん?


おや?


松木さんが、思いっきり通路に飛び出して寝ている。


か、かわいいなあ……頬っぺた、指で突っつきたいな……っていかん!


松木さんが気になって仕方がないけど……う、浮気しないからね!?


なんで松木さん、そんなに、無防備すぎるんだよ……!




もう一度、俺が寝ついた途端、思いっきり耳元で白羽に叫ばれた。


「何あんた私の体抱き寄せてるのよ‼︎」


「いや、違えし。てか絶対言うと思ったわ」


「この変態っ!」


「お前さ、美人なんだから、顔を他人に見られないように、寝る時はアイマスクぐらいしろよ」


「………あ、そうかしら?まあ、今回は許して上げるわ」


白羽は顔をポッと赤らめて、俯いた。


新幹線、温度調節できてないよな。


いっつも乗ってて暑いんだよな……。




京都駅に到着することを告げる放送が流れ、俺はそそくさと下車準備を始めた。






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