第20話
神宮寺達也視点に戻ります。
朝、起きると……白羽に俺は抱きついてしまっていたようだ。
白羽よ……?
これくらいでは、驚かないな……小さい頃、一緒に寝てた時もあったからな……。
あれは6歳くらいの時かーー
俺が寝ている布団に潜り込んできた白羽はなにを思ったのか、俺に抱きついてきた。
俺はもうすでに起きていた。
びっくりして声も出せずに、そのまま寝たふりをしていた。
いくら、小さいからといっても、可愛いかった女の子が顔をくっつけてきたらドキドキもする。
じっとしている俺は本当に寝ているものだと思ったのだろう。
白羽は小声で「し、しちゃえ」って言って、俺の頬っぺたに唇を当てたーー
多分白羽はこんなこと忘れてんだろうな。
にしても、高校三年生にもなって、これはないだろう?
……でも、白羽の寝顔を見ているとーー
き、キスくらいしてもいいかな……?こ、これはガチ寝だよな。
出来るだけ偶然を装って、白羽にキスをした。
そして、俺は白羽が朝冷えしないように、布団を掛けてあげ、朝ごはんを作りに1階に降りた。
「ふぁ〜〜おはよ、お兄ちゃん」
「おはよう。まだ白羽、起きてこないか?」
「そうみたい。私起こしてくる」
……ちょ、ちょっと待て!
お、俺の部屋でぐっすり寝ている白羽の姿を目撃されては、や、やばい……!
か、必ず俺が起こしに行かなければ……!
「し、白羽は俺が起こしてくる」
「ど、どうして?いっつも私が起こしているし、男なんかに寝起き見られたくないの!お兄ちゃんはこんなことも分かんないんだから」
「あ、待て……麗亜!」
あわわわ、ど、どうしよう……!
こ、このままじゃ俺は麗亜にとことん説教されちまう!
つ、詰んだな。
俺のベットで寝ている白羽を目撃する麗亜が怖い……!
「彩子姉ちゃん、起き……?あ、もう起きてた……あはは、早く下りてね」
よ、よかったあ……!
ちょっとさっきのことがあるから、白羽とは目を合わせにくいけど。
「あ、神宮寺くんおはよ」
「……おはよう」
「ちょっとお兄ちゃん、目が泳いでいるけど?」
「な、何もないぞ。さ、味噌汁だ。飲んでくれ」
白羽は席を立って俺の耳元に囁くーー
「キス、しちゃって」
俺は、思いっきり体温が上昇した。
キッチンでゴソゴソしている白羽は、他人事のように、鼻歌交じり……!
俺の異変に気が付いた麗亜に話しかけられる。
「2人、なんかあったの?」
「別になにもないからな!?」
「…………あやしいよ、お兄ちゃん」
「うぐっ…………」
朝ごはんの味もぼやけてしまうほど、動揺していた俺は、他の2人より、一足先に学校に行った。