表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

第2話

ブクマありがとうございます……!

更新はゆっくりめですが、頑張って書き上げていきます。

よろしくお願いします。




朝、俺は起きて、1階のリビングに行って、パンとインスタントコーヒーを用意した後、妹の部屋に行き、寝起きの悪い麗美を起こす。


「起きろ、麗美!学校だぞ」



ったく。同じ高校だから、一緒に行こうって言うのは嬉しいけど、毎朝毎朝起こすのはすごい気力がいる。


すーはーすーはー寝息が聞こえるけど……ここまできたら最終手段。


「麗美、朝ごはん抜きだぞ」


「イヤだ!起きるから……」


「おい。そう言いながら二度寝するのはやめろ」


渋々といった表情を浮かべて、目をこすりながら一階に降りてきた。


こじんまりとした食卓に2人向かい合って席に着く。


「いただきます」


麗美は、いただきますも言わずに、パンを食らう。


俺の両親は子育て失敗確定だな……。


「ごちそうさま」


麗美は黙って席を立ち、どこかにいった。俺は麗美の分の食器まで、すべて下げ、洗い終わり次第、学校の準備を始める。ここまでくれば、時間がなくなる。


まったく余裕のないまま、家を飛び出すと、なぜか俺の家を覗き込む隣人の姿があった。


「どうかされました……?」


白羽が……どうして俺の家を見ているんだ?


こんなこと、今までなかったんだけど……なんか怖い。


俺が声をかけた瞬間、彼女は何も言わずにその場から立ち去って行った。


「なんだったんだよ、今の」


「お兄ちゃん、行くよ!」


おいおい、お前そんな威勢張っても、方向オンチだから、道間違う……っておい!


「お前、右じゃない、左だ。俺をおいて速く歩くな!」


「……分かってんだったら早く言ってよ」


なんてワガママな妹だ、俺の苦労が少しでも報われる日は来るのだろうか?




互いに何も話すことなく歩くこと20分、通う高校の校門に着くと、麗美は、走ってどっかに行った。


まあ、年頃だし、俺と一緒に学校来てるなんて知られたくはないからな。


「おーす。おはよう、達也!まーた妹さんに逃げられたのか?」


後ろから俺の親友、瀬戸圭介だ。こいつは俺よりも身長も高く、顔立ちもスッキリしている。紛れもなきイケメンだ。


く、悔しい……俺は、勉強以外のことでこいつに勝てる気がしない……スポーツ万能で愛想もいい、人気もある。


「逃げられたんじゃねーよ」


「でもお前、この間も追いかけっこしてたよな」


「圭介よ、あれは違う。あいつが、俺の部屋に炭酸をペットボトルのフタを開けてぶち込みやがったからだ」


「……なんか苦労してんな」


他愛ない会話を交わし、昇降口で靴を履き替えて教室に行くまでの階段を昇る。



俺はちょっとだけ扉の前で、あいつがいないかどうか確かめるけど……やっぱり今日も元気に登校なさっているし……!


「おい、どうした達也」


「ん、ああ」


「今日も頑張ってテキトーに相手しとくんだな」


教室に入んのは嫌なんだよな……。


だってーー



「うわぁ、神宮寺くんだ。何その人を小馬鹿にしたような目。こっち見ないで」


「ああ?俺はお前の方を1回も向いていないが」


「神宮寺くんって、本当に乱暴だよね。私、傷ついたから謝ってよ」


「はいはい、悪うござんした」


俺は荷物を置いて、席に着く。


「ねえ、そっぽ向かないでよ」


「……」


「ねえ!返事しなさいよ」


「……はーい」


「そんな態度とっていいわけ?私、親に言いつけてやるんだから」


「あーそれはやめろ。俺が悪かったから」


「分かってるならいいのよ」



このやりとりで大体分かってくれ。


この忌々しい女は、細川京佳という。まあ、こんなに横柄なのも、親がすごいからな……この学校の理事長を務めている上に、後援会の会長、同窓会会長も兼任している。


あの学校人気ナンバーワンの白羽彩子に次いで、男子に人気がある。




ま、権力者ってやつだ。1年からこいつに付き纏われてここまできた。いい加減やめろ。


毎日こんな調子がずっと続くんだぞ?


そうこうしているうちに、担任がドアを開けて入ってきて朝礼を始めた。


細川は、俺の席の隣……だからこいつから逃げられない。


はあ、やってられない。


おまけに俺の家の隣人の、白羽は、斜め前、そして細川の前の席。


「おはよう」


「……」


白羽の、俺の方を一度も見ないその執念だけはすごいと思う。


まあ、隠キャの俺と幼馴……隣に住んでいるだけでも嫌なんだろうけどさ。


朝の挨拶くらい、してくれてもいいだろ……。


「あら、神宮寺くん、白羽さんに嫌がられているみたいだけど?」


「るっせーよ、細川」


こいつ……俺を小馬鹿にしやがって。


白羽は、俺を引き合いに出されて、気持ち悪いって思ったのか、首をブルブル振っている。



「おい、神宮寺。朝からうるさいぞ!」


「すいません」


くそっ、また細川のせいで俺だけが怒られんじゃねーかよ。


いいよな、細川は。お前に手出しするやつなんかいないもんな。


俺だったら、一日中誰とも関わらないで、静かに過ごすんだけどな。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ