第16話
一話分の文字量が少ないですが、ご了承のほどよろしくお願いします。
あの日から、俺と白羽は特に何も話すことはなくなった。
「おはよう」とか「先、〇〇するから」とか「おやすみ」は言っても、それ以上何もない。
気まずい……ってわけでもないんだが、まあ、幼馴染……がなせるワザか?
ああ、そうそう。
圭介から、「細川と付き合いはじめた」と言われたよ。
「お幸せに」とだけコメントした。
「お前、細川に実は未練が少しあるとか?」とか軽口叩くから、ものすごく腹が立った。
こちとら、幼馴染に完全に嫌われてもうたんじゃ……!
なんとなく勉学もなにもかも調子が乗らない俺は、今月末に開かれる体育祭のクラスの話し合いに参加していた。
体育委員が前に出てきて出場する競技を説明してくれた。
バスケ、サッカー、ソフトボールなんかが球技種目でこれから1つ出場しなければならないらしい。
あとは運動会ど定番の種目、騎馬戦や色別対抗リレーといった目玉種目だ。
俺はもちろん、埋没可能な種目を選択する。
サッカー。
サッカーなんぞ1人で突っ走るヤツがいれば出る幕はない。
俺も運動オンチが目立たなく済みこれでよし。ボールを追うフリをすればいい。
俺は話し合いにはまったく参加せず、中間テストのことを考え始めていた。
周りの声をシャットアウトしていると、圭介が俺に話しかけてきた。
「なあ、残りの競技がアルティメットだけだが、お前、それに決まりそうだぞ」
………お、お?
「それってどんな競技だ?」
「知らん」
体育委員が俺の名前を黒板に書きながら言った。
「神宮寺くんはアルティメットでいいですか?」
「は、はい」
な、なんか決まったけど。
そうすると、すぐにあの女、細川が声をかけてくる。
「あら、神宮寺くんは人の話聞いてなかったのかしら?」
「それはどういう意味だ?」
「アルティメットは花形の競技なのよ」
「は?生きてきて聞いたことねえぞ、そんなこと!」
「私に言われても知らないわよ」
そして、体育祭がやってきた。
おれはずっと応援席にいる。
テキトーに声出しとけばどんどん競技が終わっていく。
斜め前には、白羽が……。
しっかし、白いよな、肌。
はあ。
俺は徐ろに席を立ち、トイレに行った。
途中、圭介に会った。
「智也、少しげっそりしてるけど?」
「全然大丈夫なんだが。てかお疲れ。バスケ、頑張ってたじゃないか」
「ありがとな。ま、京佳の応援のおかげかな?」
「おーっと。見せつけるな〜今日の圭介は」
「圭介おつかれさん〜!はい、ジュース」
「お、京佳、サンキュー」
…………。
じーーーーーーー。
「で、お前は何してんだよ」
「ちょっとトイレで」
「はは、自分の競技の時間に遅れんなよ」
俺はちょっとムカってしたから、アルティメットはサボってやった。
俺は体育祭をまったく楽しむことなく終えた。




