第15話
彼女がどういう人生を送っていくのか予想もつかない。
高校生活が終わると俺は彼女と接点が持てるのか?
ただ、変わらず自分が持ち続けているのはーー
彼女に幸せになってもらいたい、その一心で。
お金の面は、親にきちんと相談した……あ、麗亜がな。
どうやら俺の父親曰く、彼女の母親がエスカレートで大学に行ってもらいたいらしく……
白羽もバイトなんかしないで、勉強してほしいって俺の父親が、白羽母からのお小遣いってことにしてお金を振り込んであげた。
「お前、あやちゃんが好きなのか?2人でどう呼び合ってるんだ?婚姻届は出さなくていいのか?両方18歳だろ?早く手をつけて……」
「酒飲んでるのか……?しっかりしろよ」
「せいぜい愛想尽かされないようにしないとな……俺みたいになっちゃうからよ、この鬼嫁が……ぐはっ!」
「切るから」
……振られたも同然で、まだこっから5年くらい一緒に住むのか……?
私はーー気づいている。
彼は私とは違う世界に住んでいる人間で、私は彼にとってただの幼馴染の女の子なだけ。
彼には私以上に相応しい女性がいっぱい周りにいるだろうし、彼の理想の女性像はきっと私じゃ到底及ばないくらいすばらしいものなんだろうって。
細川さんでもなかったみたいだけど……。
私は達也くんをーー
諦めきれなくって。
なんで涙が溢れて止まらないの?
キュって胸が痛くなり、自分の、不甲斐ない彼への態度を悔やむ。
ずっと前から、お母さんに言われてきた。
「あなたは高校出たら、お父さんの実家の工場で働いてね」
今住んでいる場所から、ずっとずっと遠くで就職する。
大学に達也くんは行くって言ってたって友達から聞いた。
一緒にいられるのもあと少し……。
あんな拒絶までして……神宮寺くん、だなんて言ってしまって……。
このまま彼に本当のこと言えないまま時が過ぎ去ってしまうのだけはどうしても嫌。
待っててね……ううん、待たなくてもいいから……。
ーーワガママだけど、それまではどうか私のこと嫌いにならないで。
また、大人になって、どこかで会えればいいね……。