第13話
数話、短めで申し訳ありません。よろしくお願いします。
俺と圭介は、流れで近くのファストフード店に入った。
適当に、ドリンクとポテトを注文して、店内の奥の席に座った。
「お前、この2日どうしたんだ」
「ああ、愛人になれって言われるし、幼馴染は俺のこと好きだって言ってくれたら突然倒れるし」
「やばいな」
「俺はどうすりゃいいんだ……!」
「お前はどうしたい」
「そりゃ……まずこの八方塞りを打破したい」
「まずは細川だろ……そうか、訳の分からない動画で達也を脅してるみたいだけど、お前の顔、映ってたのか?」
「ど、どういいことだ?」
「いやほら、後ろ姿が映っているだけなんだろ、その動画。お前って確証ないだろ」
「あれはどう考えても……ていうか、俺ってレンタル屋に行ったか……?」
「ププっ、お前マヌケかよ……!自分がしたことも分かってないのかよ!」
「あー、じゃあ、あそこに映ってたのは誰なんだよ」
「ふははは、どっかの他人だろ」
「……」
細川、俺を騙したな……!
「とりあえず、細川に言って愛人関係解消だな」
「……ああ」
「一件落着、だな」
「まだ早いけどな……ところで、圭介はさ、好きな女の子とかいるのか……?」
「ぶっ……!お前いきなり何言ってんだよ」
「俺と圭介は一蓮托生だろ?俺だけこんな話ばっかりしてお前だけしないってずるいだろ?」
「いーや俺はそんなの興味な……」
「お前ほどのイケメンは派手にやってるだろ」
けい
「……俺、細川がちょっと好きかもしんない」
「はあ?」
「本気かもしんない」
「圭介、俺が付き合ってんじゃないかって時、どういう心境だったんだ?」
「モヤってしてたさ」
「どうぞどうぞ、細川さんを持っていって下さい!」
「その言い方はやめろ……とりあえずはお前からだ。白黒つけてこい」
「ああ、愛人なんて馬鹿らしいこと、辞めてやるよ」
「そうだ、その勢いだ!」
「ちょっと最後にいいか」
「ん?」
「細川はなんで俺なんかと愛人になれって言ったんだ?……さっぱり目的が分かんねんだよな」
「さあ、お前のこと好きってわけでもなさそうだし」
そっから、残っているポテトを指でつまんで食べ、席を立とうとした時。
いきなり圭介の背後に細川が現れた。
「あれ?瀬戸くんに……達也くん?」
俺は腰を抜かしたかもしれない。
放心状態で、身動きが取れない。
「細川がなんでここに……!?」
細川はさらっと圭介の横の席に座る。
「いいの。ちょっとポテト頂戴」
細川が残った圭介のポテトを食べる間も、俺と圭介は静かに黙っているだけ。
そして、一言。
「話、聞いたわ」
俺もかなり動揺していたものの、一番滑稽だったのは、圭介。
トラに睨まれている小動物みたい。
圭介は、細川にバッチリ目を見られながら、言われた。
「瀬戸くん、私のこと、好きなの……?」
「あ、ああ……」
「おもしろいね。瀬戸くんって」
そして、細川は俺の方に座り直してーー
「神宮寺には、少しだけ興味あったくらい……1ミクロンくらい?」
「……そうか」
「愛人なんて、なーんで私もあんなこと言ったんだろう」
「……お前にしかわからないだろ。じゃあな、俺、帰るから。後はお二人でどうぞ……」
俺はそのまま走って家に帰った。
細川のことは、どうでもよかった。
どんなことがあってもーー
俺は白羽彩子が好きだ。
ましてや、俺のことを少しでも好きでいてくれているなら、正真正銘付き合いたいってもんだろ、男なら。
こんな機会は二度とない。
白羽は俺の家に住むとか言ってるからーー
今日の夜にでも、はっきりと伝えたい。
いつものように玄関のドアを開けると、腕を組んだ麗亜が立っている。
「た、ただいま……?」
「おかえりなさい」
麗亜の目が笑っていない。
これは俺は大変な目に遭うかもしれない……!