第12話
神宮寺麗亜視点です。
行動パターンが意味不明な兄をもつ私は色んな苦労をしてきた。
もう、思い込みが激しくて……。
「間違えて、ICカードに1万円そのままチャージしちゃった……」
「……バカ!スーパーに行ってどうやって買い物するの。お財布にもう、お札入ってないのに」
「スーパーでコンビニみたいに電子マネー使えると思ったんだよ」
「なんでも調べないで出かけたからでしょ……!」
「分かってんだったら、先言えよ」
「そんなこと言ってたら女の子にモテないよ!」
「うっせーよ」
「惣菜くらい、コンビニで買ってこようとか思わなかったの?」
「だから、家まで帰ってきたんだよ」
「もう夜9時回ってんだけど!……バッカじゃないの」
仕方なく私は、コンビニのATMに行って、お金を下ろす……。
スーパーはもう閉まっているから、コンビニの弁当を食べる。
だから、妹の私がお金の管理を親から任されている。
そうよ、家計を握っているのよ!
お菓子買ってきてもらうのも、ボケ防止よ、もう!
自分の小遣いを減らしたくないのよ!
兄は、人と全然話さないんだから……自分では喋っているつもりでも、相手に伝わってないのよ。
そんな兄に、彼女ができたみたいなんだけど……?
おかしいわね……これは一癖も二癖もあるに違いない。
なーんか兄が、よそよそしい。
警戒心の強い兄が、他人を家に連れてくるって有り得ないしね。
とってもきれいな人だけど、兄のどこを好きになったのかな……?
探りを入れてみたけど、変わったエピソードもないみたいで、当たり障りのないものばかり。
クラスメイトっていうだけで好きになるはずない!
細川とかいう女に会う前。
しばらく付き合いの途絶えていた、彩子姉ちゃんと久しぶりに話をしたの。
兄のこと、好きなんだなーって予感はしてた……そんなことないはずだって……?
女の勘よ、勘!
とにかく!2人には付き合って……そのまま?
すっごい優しくて奥ゆかしい、彩子姉ちゃんが困っているって聞いた時、真っ先に浮かんだのは、同居。
双方の両親の承諾も貰えたし、今日から一緒に暮らすの!
学校が終わって、家に帰ってくる途中、彩子姉ちゃんと出くわした。
ーーえ、彩子姉ちゃん……今なんて……?
うちのバカが、嫌いって言ったのね……覚えておきなさい、家に帰って来たら思いっきり引っ叩いてやるんだから!
彩子姉ちゃん、もう泣き止んでよ……あ、でも帰ってくるときに、泣き顔で出迎えするのも効果あるわ。
家に帰ってから、3時間くらい経った。
あのバカ帰ってくるの遅いわね……。
あ、ドアの鍵、ガチャって音した!
「行くよ、彩子姉ちゃん!」
ちょっとここらではっきりさせないと、彩子姉ちゃんが可哀想……!




