最初の目覚め4
「何だか少し落ち着いてきました。貴方のお陰です、ありがとう。」
彼女から差し出された右手が握手を求めている。
震えが止まってる。知らずに俺も励まされていたのか。
か細く白い手を握ると、ほんのり温もりが伝わってくる。
「いえ、此方こそ。ここから移動しましょう。何処か休める場所があるかも。」
「そう、ですね。」
「じゃあ取り敢えず向こうの大きな木の方へ行ってみましょう。」
痛ッ、不意に彼女の手が強く握られ驚いて振り返ると、瞳に強い意志を持ちつつも不安そうに唇を噛み締める彼女の顔は大きくけむくじゃらな顔になっていた。
「ぅ…え?!」
しまったと思ったがもう遅い。
声に気づいた大きな毛玉からオレンジ色の大きな瞳と血で真っ赤に染まった長い鼻が現れ、その傍らに皮1枚で辛うじて繋がった彼女の頭が見え隠れしている。
逃げろ!早く!早く!
頭の中は危険換気のブザーが鳴り響いているのに、身体が飾り物の様に動かない。
そうした間にもその獣は獲物をくわえたまま鋭い眼光で此方を睨みつけ、今にも襲いかかる勢いを見せている。
喰われる、死ぬ、死
血の気が下がり寒い、冷たい。
「おい!お前!」
何だ?人間は死ぬ前に幻聴でも聞こえるのか?
「何やってんだ!早く掴まれ!」
スッと眼前を何かが通り過ぎた。固く編まれたツタだ!
咄嗟にそれを強く掴んで身体の中心に引き寄せた途端、身体がグワッと浮き上がる感覚がした。




