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第二話  始動

 今回から異世界です。

 目が覚める。

 青年は、仰向けに倒れていた。

(空が青いなー・・・)

 そんな事を考えながら、流れる雲を目で追っていた。

 


 ザバーン



「ブワッ!!・・・ゲホッ・・・ゴホッ!」

 突然、水が全身を覆った。

 油断し切っていた青年は、鼻から入る大量の水のせいで咽せ返ってしまう。

「ゲホッ・・・何なんだ急に・・・ゲホッ・・・!」

 よく見れば、そこは海岸であった。

 海岸で寝そべっていた結果、波に襲われてしまったのである。

「あのクソジジィ・・・!」

 青年は、恨みがましく呟く。

 暫く咳き込んでから辺りを見回すと、岩の上に置かれているタブレットが目に入った。

(多分、能力に関係する道具だろうな。)

 そう判断し、拾い上げて操作しようとする。

 すると、そのタブレットの画面が突然光り出し、‘自称‘神からのメッセージが流された。

『少年よ、このメッセージを聞いていると言う事は、無事にそちらの世界に着いたと言う事だろう 今だから言える事だが、転移に失敗してお前の存在そのものが無かった事になる危険もあった』


 「・・・先に言えやー!!」


 今更ながらに公開された理不尽な事実に、青年は叫ばずにはいられなかった。

(そう言えばあの‘自称‘女神も、あの空間に俺を引きずり込んだ時に「良かった」とか言って安堵してたな・・・)

 神と名乗る輩に対する不信感が深まった青年であった。

『さて、既に分かっていると思うが、このタブレットがお前の能力の全てだ これを操作する事で必要な物を召喚出来る 確認すれば分かるが、兵器や軍事施設以外にも各種インフラや技術者等も召喚出来る様になっている 軍事関連だけでは生活出来んからなぁ』

「何ていい方なんだ!」

 神と名乗る輩の気遣いに、評価を改めようと思った青年であった。

『次に禁止事項についてだが、この世界を滅ぼす様な真似はするなよ?我々の依頼は、あくまでもこの世界を救う事だ 核兵器も召喚出来るが、用法用量を守って使ってくれ 上層部の神々によると、大陸一つ程度の滅亡までなら許容するそうだ』

「エゲツ無ぇ事をサラッと言うなぁ・・・」

 神と名乗る輩の容赦の無い言葉に、再度不信感が募る。

『次に各種兵器についてだが、自分で新しい装備の設計が可能だ 軍艦も、ミサイルも、砲弾も、軍服も、あらゆる物を自ら設計して召喚出来る』

「おおっ!」

 自分で作った物を使えるとはワクワクする。

『次に召喚される人間についてだが、お前に対して絶対の忠誠を誓う様にしてあるから、反乱を起こされる心配は無い』

「洗脳じゃぁないか?」

 有り難い事ではあるが、微妙な気分になる。

『次に言語の問題だ 言葉は問題無く通じる様になっている ただし、文字は現地で翻訳して貰わなければならんからそのつもりで』

「異世界物のお約束だな。」

 言葉と言う最も高い壁が最初から取り払われているのは非常に大きい。

『最後に報酬についてだが、これは依頼が済んでから直接お前の望みを聞く事になった つまり、「どんな願いでも一つだけ叶えてやろう」と言う事だ』

「マジか・・・!」

 予想外の大盤振る舞いに驚く。

『以上だ、頼んだぞ』

 メッセージが終わり、タブレットの画面が通常に戻った。


「さて・・・」

 まずは、タブレットの内容を確認しなければならない。

 まず目に入ったのは、地図である。

 確認すると、歪んだ楕円形の様な形をした巨大な島が映っていた。

 そして、その島の東西南北に各一つずつ小規模な諸島があった。

「思ったより大きいな。」

 そんな感想を呟き、次に召喚出来る兵器を確認する。

 地球国家のあらゆる兵器が表示されていた。

「ん?これって・・・」

 青年は、ある項目を目にして止まった。

「戦艦だ」

 そこに表示されていたのは、戦艦であった。

 アイオワ級 キングジョージⅤ世級 ビスマルク級 ヴィットリオ・ヴェネト級 リシュリュー級 ガングート級 大和級

「・・・キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!」

 戦艦を使えると分かり、テンション爆上がりした青年であった。

 次に確認したのは、設計画面である。

「思ったより複雑だな。」

 それを見ると、兵器に使う電子部品の基盤まで自分で設計しなければならない事が判った。

「技術者も召喚出来ると言ってたから、そいつ等の力を借りればいいか。」

 そう呟いて、次に移る。

 施設建設画面である。

 地図が表示され、その横に建設出来る施設が表示されている。

「なるほど。表示されてる施設で建設したいものにタップして、地図上の建設したい場所をタップすれば、そこに建設されるってワケか。それに、建設した後に施設の消去も出来るのか。」

 施設を確認すると、水道施設や発電施設まであった。

「これも、俺一人じゃぁ手に負えないな。」


 一通りの確認が終わると、いよいよ召喚である。

「緊張するな・・・」

 まずは、陸軍一個連隊を召喚する事にした。

「成功しますように・・・」

 そう呟いて、タブレットに表示されている召喚の文字に触れた。


 「「「「「ただ今着任致しました、総司令官!!」」」」」


「うわあ!」

 千人を超える人間が目の前に突然現れ、同時に大声で挨拶したので青年の耳が勢い良く揺さぶられ、声を上げてしまった。




 ・・・ ・・・ ・・・




「さて・・・」

 召喚された兵士達の前で、青年は語り出す。

「諸君は、俺の手助けをする為に召喚された。俺は、神を自称する者達の依頼で、近々この世界を襲うと言う脅威からこの世界を守らなければならない。諸君にこの仕事を手伝って貰いたい。」

「「「「「了解致しました、総司令官!」」」」」

 兵士達が一斉に返事をする。

(何とかなった・・・)

 普段使わない言葉使いでスピーチしたが、噛まずに言い切った事に密かに安堵する。

「総司令官、お聞きしたい事があります。」

 先頭にいた兵士が尋ねる。

「君は?」

(可愛い)

 誰がどう見てもまごう事無き美少女である。

「失礼しました。私は本連隊の隊長を務めます、藍原 唯 大佐 です。」

「ああ、よろしく。それで、何が聞きたいんだ?」

「総司令官殿のお名前を、お聞きかせ願えますでしょうか?」

「ああ、そうだったな。俺の名前は 東郷 武尊 だ。」

「有り難う御座います。これからよろしくお願いします、東郷総司令官。」

「ああ、よろしく。」

 こうして、東郷の異世界生活が始まった。



 我ながら酷いネーミングセンスだ(´・ω・`)

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