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第十三話  同盟締結

 初めての同盟国獲得です。

 サイズ共和国



 今、中立国であるこの国に、暁帝国 ビンルギー公国 ハーレンス王国 ジンマニー王国 の首脳陣が集まっていた。

 暁帝国以外の首脳陣は、顔面蒼白となっていた。

 強硬派の独断行動を許し、あまつさえ彼等は帝国に対して攻撃を行ってしまったのである。

 だが、暁帝国は巡視船と言う軍艦でさえ無いたった2隻の船により、70隻からなる艦隊を殲滅してしまった。

 鳳翔へ乗艦し、戦闘後の現場海域を直接見たイリスは、「世界中が団結しても勝てない」と語った。

 それ程の国に対して、これ程の失態。

 三ヶ国とも即刻滅ぼされるのではないかと、戦々恐々としているのである。

「ゴホンッ!」

 東郷は、わざとらしく咳き込む。

 三ヶ国の首脳陣は、ビクリと背筋を伸ばした。

「えー、今回の騒動により、要らざる犠牲が出てしまった事をとても残念に思います。各国には、断固たる措置を強く要請します」


 今回の騒動は、<スマレースト紛争>と命名された。

 この紛争に参加していた者達は、各国の主要な強硬派が大半を占めていた事が調査で判明した。

 更に、救助した生存者の証言により、この紛争に参加していなかった強硬派にはこの事を一切知らせず、囮として時間稼ぎの捨て駒にしようとしていた事も明らかとなった。

 この事を知らされた残りの強硬派は絶望し、強硬派からの離脱を宣言した上で現在の職を辞した。

 一方、紛争の生存者は無理矢理参加させられた一部の者を除き、反逆者として処刑される事が決定された。

 この一連の動きにより、各国の強硬派は事実上消滅する事となった。

 強硬派と繋がっている者達からの強い反発が予想されたが、これは意外な形で解決した。

 主のいなくなった屋敷へ家宅捜索を行ったところ、犯罪の証拠が次々と発見され、強硬派の親族や彼等と繋がっていた者達も犯罪行為に加担していた事が明らかとなったのである。

 結果、やっている事が凶悪であった事もあり、犯罪に加担している家は全て処刑されるか、爵位剥奪、財産没収のダブルコンボを食らい、再起不能となった。

 これ等の動きにより、和解を理想としていた国王を初めとする各国の主流派は、一切邪魔される事無くサイズ共和国へ集まる事が出来たのである。


「この度は、大変申し訳ありませんでした。要請された件ですが、既に実行している所であります。」

 各国は、詳細な内容を語る。

「分かりました。何か必要な事があれば、我々も協力しましょう。」

 首脳達は、東郷の言葉に驚いた。

 てっきり罵詈雑言を浴びせられた挙句、最悪宣戦布告までされると考えていたからである。

「あの、それだけでしょうか?」

 イリスが問う。

「?・・・何がですか?」

 東郷は、質問の意味を理解しかねた。

「我々は、犯してはならない失態を犯してしまいました。」

「ああ、そう言う事ですか。確かに再発防止はして貰わなければ困りますが、あなた方があの様な事を望んでいない事は分かっています。先にも申し上げた通り、我々は平和を望んでいます。そして、あなた方も平和を望んでいるでしょう。ならば、やる事は一つ。同盟締結です。」

「「「・・・・・・」」」

(これが、真の列強か・・・)

 全員が確信した。

 この先、暁帝国を中心として世界が回って行く事を。

 敵対した者は、例外無く敗北する事を。

「分かりました。それでは、同盟締結の為の話を進めたいと思います。」


 その後、以下の事が決まった。

 一  ビンルギー公国 ハーレンス王国 ジンマニー王国 サイズ共和国は、この度を以て和解し、四ヶ国同盟となる、<スマレースト大陸同盟>を結成する。

 二  スマレースト大陸同盟と暁帝国は、平等な同盟を結び、国交を樹立する。

 三  スマレースト大陸同盟と暁帝国は、相互防衛協定を締結し、軍を相互に駐留する事を認める。

 四  スマレースト大陸同盟は、暁帝国が発見した島を暁帝国が領有する事を認める。




 ・・・ ・・・ ・・・




 メイハレン沖



「やっっっっっと終わったああああぁぁ・・・!」

 帰りの船内で、東郷が声を上げる。

「お疲れさまでした。」

 控えていた兵士が労う。

「いやー、まさか一番理想的な形で終わるとは思ってなかったよ。トラブルもあったけど、結果的にいい方向に転がってくれたし。」

 解放感から、いつもの口調で捲し立てる。

「失礼します。総帥、帰還後の予定をお知らせに参りました。」

「え・・・」

 やって来たのは山口元帥である。

「・・・何ですか?」

「いーやーだー!帰ったら引き籠もりたーい!」

 先程までの一国のトップの空気は何処へやら、東郷は喚き始めた。




 ・・・ ・・・ ・・・




 ビンルギー公国  メイハレン



「まさか、此処へ帰って来れるとは・・・」

 街の景色を眺めながら、呆然とした様子でアクーラは呟いた。

 海戦の後、運良く海へ投げ出されたアクーラは救助され、その後の調査で無実である事が証明された。

 そして、グリンの家族と彼の娘は無事救助された。

 衰弱してはいたが、笑顔を見せてくれた娘の前でアクーラは大泣きしてしまう。

 その後、街の住民の要望もあり、アクーラが正式にメイハレン一帯の領主となる事が決定した。 

「やっと、同胞達に顔向けできる。」

 クーデターに協力して処刑されてしまった仲間達に対し、胸に手を当てて祈りを捧げた。




 ブランスルー  イサダ邸



「此処にもあるぜ。」

「こっちも見付けたぞ。」

 彼等は、イサダの犯罪の証拠を探して家宅捜索をしている者達である。

 強硬派の中でも群を抜いて酷い内容に吐き気を覚えつつも、証拠を押収して行く。

「!・・・オイッ、これ、コレを見ろ!」

 彼は、一枚の書類に目を止めた。

「ん?・・・!!こ、これは!?」

 そこには、国の存亡を左右しかねない内容が書かれていた。

「イサダめ、何処まで・・・!」

「すぐに公王陛下へ報告するぞ!」

 新たな火種が投入されるまで、猶予はあまり残されていなかった。




 ・・・ ・・・ ・・・




 クローネル帝国



 スマレースト大陸が大きく動いている頃、準列強国であるこの国では早くもスマレースト紛争に関する情報が入り始めていた。

「暁帝国?聞いた事が無いな・・・」

 部下の報告を聞き、玉座に座った男が首を傾げる。

「ハッ。何でも、スマレースト大陸の更に東の国だそうであります。」

「ホウ、あの最果てよりも更に東に国が・・・」

「入手した情報では、大陸の強硬派が連合した艦隊を一方的に駆逐したそうであります。」

 部下の報告は続く。

「その艦隊には我が軍が輸出致しました、魔導砲を搭載した艦もあったとの事であります。」

「何ッ!?」

 男は、思わず身を乗り出した。

「・・・クックック、辺境の蛮族にしては中々やるではないか。だが、我が国の魔導砲を乗せた艦を沈めたと言う事は、我が国に泥を塗った事と同義。何か、介入する口実があれば良いのだが・・・」

「陛下、それでしたらハンカン王国にやらせては如何でしょうか?」

「何故だ?」

 部下は、不敵な笑みを浮かべた。

「実は、スマレーストの各国は、魔導砲購入の際にハンカン王国へ多額の負債が発生しております。介入の口実とするには丁度良いかと。」

「なるほど、面白いな。早速実行するとしよう。ハンカン王国へ使いを出せ!」

 準列強国を束ねる男の野望は、留まる事を知らない。



 ようやくひと段落です。

 これまで投稿したものを手直ししていきたいので、次回以降の投稿は少し遅れるかも。


 

 架空兵器の愛称を募集したいと思います。

 特に、装甲車ファミリーに替わる愛称をお願いします。

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