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第九話  交渉

 遂に、此処まで来た。

 ビンルギー公国  港湾都市 メイハレン



 ビンルギー公国東岸にある貿易都市であるこの街は、他大陸との玄関口となっている。

 公国にとって戦略上重要でもある為、多くの兵力が集中する街でもある。


 街の沿岸では、今日も竜騎兵が哨戒飛行を行っていた。


 竜騎兵とは、飛竜を扱う部隊である。

 飛竜とは、所謂ワイバーンの事であり、人を乗せて160キロ/時前後の速度で飛行する。

 航続距離は、平均して500キロ程度である。

 飛竜の存在は、魔術と並んで重要な軍事力の要であり、どれ程の数を運用出来るかでおよその国力を把握出来る。


 今日もいつも通り何事も無く終わる。

 そう考えていると、水平線上に何かがいる事に気付いた。

 三騎の竜騎兵が、確認に向かう。

「あれは・・・何だ・・・?」

 近付くにつれ、大きくなるシルエット。

 まだかなり距離がある筈なのに、そのシルエットは非常に大きくなっていた。

「小隊長殿、いつからあんな所に島が出来たんですかね?」

「馬鹿者、あれは島じゃない!船だ!」

 部下の間抜けな発言に怒鳴り返しながらも、内心では無理も無いと思っていた。

 何しろ今見えている船は、全長が目測で300メートルを超えているのである。

「船ですか?しかし、あんな巨大な船は見た事がありませんよ。おまけに、帆もありませんし。」

 その通りであった。

 マストらしき物は見えるが、帆を張っていない。

 しかも近付いてみて分かったが、鉄で出来た船である。

 一体どうやって浮いているのか、見当も付かない。

 にも関わらず、巨大船は恐るべき速度で進んでいた。

「拙いな・・・」

 巨大船の進路は、明らかにメイハレンであった。

「小隊長、あそこを見て下さい!」

 もう一人の部下が叫び、指差す方向を見る。

「・・・な、何だと!?」

 そこには、同じ様な巨大船が複数いた。



 バタタタタタタタタタタ



 突然、上方から奇妙な音が聞こえ、つられて顔を上げる。

「な・・・に・・・?」

 鉄で出来た奇妙な物体が飛んでいた。

「一体、何処の国から来たんだ・・・?」

 隊長は、国旗らしき旗を見付けると、必死に目を凝らす。

 しかし、見た事の無い国旗であった。

「小隊長、これ以上は危険です!退避して至急司令部に連絡を!」

「あ、ああ、そうだな。退避するぞ!」

 その指示に従い、三騎の飛竜は来た道を引き返し始めた。

 そして、隊長は持っていた通信魔道具を使い、メイハレン防衛隊司令部へ通信を送った。

「至急、至急!メイハレン防衛隊司令部へ!此方、第二竜騎兵小隊!メイハレン沖南東約70海里地点で、国籍不明船団を発見!同船団は、メイハレン方面へ進行中!」

『此方、メイハレン防衛隊司令部。第二竜騎兵小隊へ、不明船団の詳細を知らせよ。』

 退屈そうな声が返って来た。

「不明船団の数は、およそ15隻!船の全長は、300メートル前後!帆が無く、全て鉄で出来ている!繰り返す、帆の無い鉄で出来た巨大船がおよそ15隻いる!」

 何を言ってるんだと自分で突っ込みを入れながらも答えた。

『しっかりしろ、そんなモノがいる訳が無い。もう一度聞く、不明船団の詳細を知らせよ。』

「本当だ!300メートル級の鉄で出来た巨大船が複数そっちへ向かっている!しかも、鉄で出来た飛行物体を見た!恐らく、飛竜と同等のスピードが出る!」

『落ち着け、きっと疲れてるんだ。そんなモノがいる訳無いだろう。』

 小隊長は、流石に焦り始める。

 あれ程の船団で押し掛けておいて、平和的な用件を伝えに来たなどと言う事は無いだろう。

「本当なんだ!このままだと取り返しの付かない事に・・・何だ?」

 小隊長は、上方から聞こえる奇妙な音に気付いた。

 見ると、先程とは違う飛行物体がメイハレンへ向けて恐るべき速度で飛んで行くのが見えた。

「司令部、見た事の無い飛行物体がメイハレンに向かっている!もの凄いスピードだ!あと数分でそっちに着くぞ!」


 竜騎兵小隊からの報告を受けたメイハレン防衛隊は、てんやわんやの大騒ぎとなった。

「飛ばせる飛竜は全て飛ばせ!」

「非戦闘員はすぐに自宅へ戻れ!」

「総員戦闘配置!戦闘配置!」

「押すな押すな!」

「矢を持って来い!」

「急げ急げ急げ!さっさと配置に付けー!」


 メイハレンの一際大きな屋敷で、その様子を眺める者がいた。

 メイハレンを含む一帯の領主である イコセ である。

 傲慢で、領主としての手腕も無く、戦下手と最悪の領主である。

 加えて、イコセの周りには黒い噂が絶えない。

 イコセの親族も似たり寄ったりであり、ビンルギー公国のお荷物となっていた。



 コンコン



「失礼します。」

「遅いぞ!何をやっておった!?」

「申し訳ありません。」

 そう言って頭を下げた彼は、秘書である アクーラ である。

 領主の仕事を放っているイコセに代わり、領地の一切を事実上取り仕切っている。

「フン・・・それで、何があった?」

「先程、街の南東を哨戒していた第二竜騎兵小隊より緊急の連絡があり、南東70海里の海域で15隻程の鉄で出来た巨大船が向かっているとの事です。」

「バカな、船が鉄で出来ている筈が無い。貴様はそんな妄言を信じるのか?」

 自分の考えが絶対の常識であると信じて疑わないイコセである。

 目の前で見せたとしても信じないだろう。

「いえ、しかしその直後へこの街へ向けて飛行する謎の物体がいるとの報告が上がっています。報告によりますと、飛竜よりも圧倒的に速く飛ぶそうです。もう間も無く、上空に到達するのでは無いかと。」

「そんなまさか、あるワケが無いだろう。飛竜より速く飛行する物体など」



 ゴォォォォォォォ・・・・



 突如、聞き慣れない轟音が街を覆った。

「な、何だ!?」

 イコセは、完全に竦み上ってしまう。

「確認します!」

 アクーラは、駆け出した。


「何だあれは!?」

「油断するな、構えろ!」

「竜騎兵はまだ上がってないのか!?」

 街は、騒然となっていた。

 報告の通り、見た事も無い飛行物体が街の上空を旋回している。

 迎撃しようにも、到着があまりにも早過ぎたせいで準備が全く出来ていない。

「クソッ!」

 兵士達は、悔しそうに吐き捨てる。

 迎撃したくとも、何も出来ないのである。

 街の防衛を任されている立場として、これ程悔しい事は無いだろう。

 その後、飛行物体は南東へ消えた。




 ・・・ ・・・ ・・・




 メイハレン  イコセの屋敷



 此処には現在、街を取り仕切る主要なメンバーが集まって対策会議・・・の様な事をしていた。

「この無能共が!!」

 声の主は、イコセである。

 飛行物体の侵入をあっさり許した事により、イコセの面子は丸潰れとなっていた(潰れる面子があればの話だが)。

 一通り怒鳴り散らして満足したのか、話を進めた。

「それで、アレは一体何なのだ?」

「全力で調査中ですが、現状では不明としか言いようがありません。」

 アクーラが答える。

「全く・・・今度は防げるんだろうなぁ?」

 イコセは、防衛隊隊長である グリン を睨む。

「全力を尽くします。」

「そうか」

 上手く躱したグリンだが、何をどうすれば良いかは全く分からなかった。

「さて、最大の問題はあの小娘にどう報告するかだ。これ程の大事になってしまっては、隠そうにも隠し切れるものではない。」

(そうじゃないだろう!今、考えなければならないのは、どうやって奴等を退けるかだろう!)

 保身しか頭に無いイコセに、その場にいる全員が苛立つ。



 バァン



「し、失礼します!」

 突然、官僚が扉を乱暴に開けて入って来た。

「何事だ、会議中だぞ!」

「申し訳ありません、緊急事態です!」

「緊急事態?」

 官僚の只事では無い様子に、全員が聞き耳を立てる。

「先程、街の沿岸に300メートル級の鉄の船が出現しました!」

「「「「!!」」」」

(有り得ない・・・!)

 アクーラは、竜騎兵小隊が行ったと言う報告を思い出していた。

「それで、その船の正体は何なんだ?」

「臨検を行った所、彼等は暁帝国から来たと証言しております。」

「「「暁帝国?」」」

 誰も聞いた事の無い国名に、全員が首を傾げる。

「彼等の証言によれば、スマレースト大陸の東から来たとの事です。」

「東だと!?」

 この世界の最東端は、スマレースト大陸だと長い間信じられて来ていた。

 それより東は、海が荒れやすい事もあり、探索が諦められていたのである。

「ハーッハッハッハッハッ!」

「「「!?」」」

 イコセは、突然笑い出した。

「そんな所に陸地があるとはのぅ・・・アクーラ」

「・・・何でしょう?」

「奴等と交渉して来い。」

「!・・・交渉ですか!?」

 全員が驚く。

「そうだ。暁帝国がどんな蛮国かは知らんが、儂等の知らん技術を持っているのは間違い無い様だ。ならば、奴等と交渉してその技術を獲得し、公国に貢献したとなれば儂の株も上がると言うものだ。」

(結局それか)

 呆れるしかない一同。

「しかし、上手く行くでしょうか?」

 アクーラは、当然の懸念を口にする。

「貴様が何とかすれば良いだろう。貴様が無能でないなら、どうにか出来る筈だ。出来ないと言うなら」

「・・・分かりました、何とかしましょう。」

 一体どうすれば良いか全く分からないが、アクーラはグリンと数名の護衛を連れて港へ向かった。



 桟橋



 現在、この街は厳戒体制にある。

 至る所に兵士が配置されており、空には出撃可能な竜騎兵を総動員して警戒に当たっていた。

 その原因は、スマレースト大陸の東から来たと言う船団である。


 アクーラは、港へ着くと固まってしまった。

「な、何なんだあれは・・・!?」

 港から見える景色は、驚愕の一言であった。

 いつもなら、遥か先まで海が見える筈である。

 だが、今日は違った。

 島の様に巨大な鉄の船が、何隻も停泊している。

「話に聞いていたより、ずっと大きく見えるな。」

 船体の上には巨大な構造物があり、まるで城の様であった。

「!・・・何か来ます!」

 護衛の声で我に返ったアクーラは、船の手前を走る小舟がある事に気付いた。

「何と言う速度だ・・・!」

 10名程度しか乗れない小舟が、オールも漕がずに素早く動ける事に驚愕する。

 桟橋に着くと、黒を基調とした地味な服装をした人間が数人降りて来た。




 ・・・ ・・・ ・・・




 少し前、



 メイハレン沖



「かぜがきもちいーなー。」

 東郷は現在、大和の艦橋にいる。

 大和は、スマレースト大陸に向かう船団の一つの旗艦を担当していた。

 その編成は、以下の通りである。


 暁帝国海軍

 第一艦隊

  第一戦隊

   CVN 鳳翔  CG 金剛  DDG 秋月  DD 朝潮  DD 大潮  DD 満潮

  第六戦隊

   CG 古鷹  CG 加古  DDG 新月  DD 荒潮  DD 黒潮  DD 親潮

 第一〇一艦隊

   BB 大和

 第一揚陸艦隊

   LHD 沖縄

 海上保安庁

  第四管区隊

   PLH しきしま  PL あかいし

  他、一隻


 となっている。  

 この船団は、<ビンルギー派遣船団>と名付けられ、ビンルギー公国へ向かっている。

 東郷の戦略を実行するには、ビンルギー公国との同盟締結は絶対に成功させなくてはならない。

 その為、東郷自身が派遣船団入りしていた。

 尚、アイラとアイナは同行した客船に乗船している。

「総帥、間も無くビンルギー公国の予想警戒海域に入ります。」

 話し掛けて来たのは、大和艦長である 有賀 康作 大佐 である。

「分かった。」

『艦長、レーダーに感あり。数、三。』

 CICから連絡が入る。

「総員、対空戦闘配置。」

 有賀大佐は、落ち着いた様子で指示を出す。

「予定通り、鳳翔に戦闘機を発艦させてくれ。」

 東郷は、そう指示を出すと艦内へ入った。

「これで、今後の交渉が有利に進めばいいけど・・・」

 若干の不安の色を残した声で呟いた。



 アイラ視点



「これが船なの?」

 怪我が治ってすぐに、あたしとアイナはビンルギー公国に送られる事になった。

 正直、船旅はもうコリゴリだったけど、船でないと帰れないから我慢するしか無い。

「あなた方をお送りする前に、一つお願いがあります。」

 アイハラと名乗る女性軍人が話し始める。

「我が国は、スマレースト大陸の四ヶ国との国交を結ぶ事を望んでいます。そこであなた方には、ビンルギー公国との国交を結ぶ為の助力をして戴きたいのです。」

「えっ、本当なの!?」

「はい」

 確かに、これ程の技術を持った国と国交を結ぶ事は魅力的だ。

 けど、

「四ヶ国って事は、ジンマニー王国とも国交を結ぼうとしてるのよね?」

「その通りです。」

「分かってるの?今の大陸は」

「分かっています。しかし、我々は一番近い大陸の情勢が不安定化する事を望みません。」

 言いたい事は分かる。

 分かるんだけど、

「無理だと思うわ。公国との間を取り持つのは構わないけど、それ以上は何も出来ないわ。」

「分かっています。我々は、最低でも公国と国交を結べれば、ある程度情勢を安定化させる事が出来ると考えています。」

「どう言う事?」

 アイハラは、次善の策を話した。

「ふーん、随分大それた事を考えるのね。」

「お姉ちゃん、どうするの?」

「やるわ。助けて貰った恩を返すチャンスだしね。」

「分かった、私もやる。」

 アイナの同意も得られ、アイハラは礼を言って報告しに行った。


「そして、今に至ると。」

 乗せられた客船の中で、アイラはこれまでの話を振り返っていた。

「ホントに、船とは思えないわね。」

 鉄で出来ている事もそうだが、サイズが巨大な事、船速が早い事、船内が快適な事、あてがわれた部屋が広い事、船内が明るい事、何もかもが驚きだった。

「これが魔導船なのかな?」

 アイナは興味津々に船内を見て回っている。

「間も無く到着します。下船の準備をして下さい。」

 船員が、知らせに来てくれた。

「もう?早いわね・・・アイナー、準備するわよー。」

 そして、甲板に上がるとメイハレンの街が見えて来た。




 ・・・ ・・・ ・・・




 メイハレン



 メイハレンへ上陸した一団は、街の支配者と思しき一団を見付けた。

「貴方が、この街の責任者ですか?」

「いえ、私は責任者の秘書をしております、アクーラと申します。」

 得体の知れない相手である為、アクーラは下手に出る事にした。

「臨検をした者の話によると、あなた方は暁帝国と言う所からいらしたとか。」

「その通りです。連絡手段が何も無かった為、突然の訪問をお詫び致します。」

(思ったよりも礼儀正しいが・・・)

 軍事的恫喝をされると思っていたアクーラは、肩透かしを喰らった。

「失礼ながら、我々は貴国の事を全く存じませんが、どの様なご用件で我が国に?」

「我々は、貴国と国交を結びに伺いました。」

「国交を、ですか・・・?」

(これだけの圧力を掛けておいてどの口が言うか!?属国になれの間違いではないのか!?)

 実際、東郷達がやっている事は、黒船外交である。

 口にこそ出さなかったが、アクーラは内心憤慨した。

 同時に、奇妙な事に気付いた。

(?・・・どうなっているんだ?奴等からは、魔力が感じられない。)

 魔力は、空気中から自然に体内へと入る。

 魔術が使えなくとも、魔力は必ず体内に存在する筈である。

(間違い無い。だとすると、奴等は魔術を使えない可能性がある。)

 アクーラは、一つの希望を見出した。

 しかし、見る限り暁帝国と事を構えてもどうにもなりそうも無い為、会談の場を設ける必要があると結論した。

「分かりました、王都へ連絡致しましょう。」

「有難う御座います。それと、この場でもう一つお話しておきたい事があります。」

「何でしょうか?」

「実は、我が使節団には総帥が同行しております。」

「総帥とは、聞かない肩書ですね?」

「我が国の国家元首です。」

「つまり・・・国王!?」

「その様なものです。」

 既存の肩書ならば、国王が一番近いだろう。

「そ・・・それは、恐れ多い事です。」

 動揺しながら言うが、少し考えて影武者だろうと判断し、落ち着きを取り戻す。

「早速ですが、上陸許可を頂けますでしょうか?国家元首ともなりますと、相応の護衛の上陸も必要となりますので。」

「・・・分かりました、許可しましょう。」


 暫く後、


 複数の小舟が、やはりオールも無しに恐るべき速度で桟橋へと近付き、見た事も無い装備を持つ地味な服装をした兵員と思しき乗員が、高い練度を思わせる動きで整列して行く。

 その後を、更に一隻の小舟がやって来る。

 上陸した面々は、最初の一団と同じく黒を基調とした服装であった。

「受け入れて頂き、感謝します。」

 先頭の男が挨拶する。

「自分はアクーラと申します。貴方は?」

「失礼、暁帝国総帥の東郷と申します。」

 この言葉に、アクーラに限らずアクーラの部下も目を剥いた。

「あ、貴方が!?」

(こんな若者が国家元首で大丈夫なのか!?)

 当然の感想である。

「し、失礼致しました!」

 慌てて跪く。

「いえ、その様な事をされなくて結構ですよ。儀礼的な非礼は此方の方にあります。」

 礼儀に関して五月蠅くない相手である事に、一同は安堵した。

「それでは、此処の領主の屋敷へ御案内致します。グリン、案内を。私は、首都へ連絡する。」

「待って下さい、その前に一つお耳に入れておきたい事が。」

 東郷は、アクーラを呼び止める。

「何でしょう?」

「実は、貴国の国民を二名、此方で預かっています。」

「な、何故その様な事に!?」

 アクーラもグリンも、動揺を隠せない。

「嵐に巻き込まれて遭難した様です。その後、流されて我が国に漂着したのです。」

「そんな事が・・・それで、その二人はどちらに?」

「あの船に乗せて連れて来ました。既に、治療は終わっています。」

 そう言って、客船を指差す。

(と言う事は、我が国を訪問した理由はそれか。少しでも情報のある国の方が、与し易いのは子供でも分かる理屈だ。)

 アクーラは、警戒を一段厳しくする。

「あの、此処にお連れしましょうか?」

「え、ええ、お願いします。」

 暫くして、アイラとアイナが上陸した。

 久しぶりに故郷の土を踏めた事に、嬉しそうな表情をしていた。


 その後、グリンの案内でイコセの屋敷へ辿り着いた。

「此処が領主の屋敷か。」

 見ると、何か騒がしかった。

 早速グリンが確認を行う。

「何かありましたか?」

「申し訳ありませんが、領主様が丁度留守にしておりまして・・・部屋を御用意しますので、案内可能な者が到着するまで此処で御滞在下さい。」

 東郷達は、暫くメイハレンに留まる事となった。


 それぞれ用意された部屋へ入り、落ち着いた面々は再度集合し、今後の方針を練る。

「取り敢えず、交渉には入れそうだな。」

 門前払いされなかった事に、東郷達は安堵した。

「しかし、此処からが問題です。」

 そう語ったのは、山口元帥である。

「分かってるよ。それにしても疲れたなー・・・慣れない事はするもんじゃないな。」

 慣れない言葉遣いで話していた東郷は、自分で思っていたよりも疲れが溜まっている事に気が付いた。




 ・・・ ・・・ ・・・ 




「全く、あの蛮族共。」

「どうしますか、父上?」

「今はまだ動けん。だが、今後の展開次第で派手に動く事になるだろう。お前は艦隊の準備をしておけ。」

「分かりました。」

「儂がこの国でのし上がる為の踏み台になってもらおう。暁帝国よ・・・」



 国旗ですが、デザインは全く決まっていません。

 取り敢えず、軍旗は旭日旗にしようと思います。

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