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第百十三話  調査結果

 すごく引き延ばし続けていましたが、メイジャーに関して大半を明かします。

 ケミの大森林



 ハレル教圏が混乱を増し始めた頃、同じ大陸にありながらその様な喧騒とは無縁のこの森に、佐藤を筆頭とする暁帝国の調査団が来訪した。

 尚、艦隊司令官として再び阿部が同行している。



 タタタタタタタタタタ

 バァン バァァン



 森へ入って早々、10頭の熊の様な大型の猛獣と鉢合わせていた。

「メンドクサイなぁ・・・」

 佐藤はそう呟きながら、カールグスタフを手にする。



 シュボッ…ドォォォォォォォン



 銃撃でも倒れなかった残り4頭の猛獣は、常識を超える巨大な爆炎に吞まれて燃えてしまった。

「試作型だったけど、対生物用焼夷弾の効果は絶大だね。」

 佐藤は、満足げに呟く。

「呑気に評価を下してる場合じゃ無いでしょう!これ、どうするんですか!?」

 彼等の目の前では、焼夷弾の余波によって轟々と燃え上がる森の姿があった。

「何でこうなるんだよー!?脆い森だなー!」

「脆いも何も無いでしょう!森の中であれだけ派手に火を噴きあげれば、こうなるのは当然でしょう!」



 ドザァァァァァァァァ・・・・



 消火出来る物を何も持ち合わせておらず、あたふたするだけの彼等の目の前で、滝の様な水が降り注いだ。



 ジュァァァァァァァァ・・・・



 水の蒸発する音が鳴り響き、火は瞬く間に消し止められた。

「凄い魔力だな。此処までの規模は、見た事が無いぞ・・・」

 魔力を感知出来る機材を通していないにも関わらず、佐藤は今の水流が膨大な魔力を伴った魔術である事を看破した。

「全く、何のつもりだい!?あたし達を焼き殺すつもりかね!?」

 煙が晴れると、燃えた木々の先からヨウヒが現れた。

 周囲には、ユウを初めとする護衛も付いている。

「阿部少将、彼女が?」

「長老のヨウヒさんです。」

 佐藤は確認を取ると、ヨウヒへ近付く。

「フン、此処まで物怖じしない奴は初めて見るね。」

「それは光栄です。初めまして、調査団代表の佐藤と申します。先程は、お騒がせしました。」

 ヨウヒは、かつて無い程の厄介者の匂いを感じ取る

「さっきの騒ぎは、あんたが原因かい!?」

「これは異な事を。私は、降り掛かる火の粉を払ったに過ぎません。」

「火の粉を撒き散らした様にしか見えんかったがね!」

「火の粉を払う為に、爆風を使っただけですよ。それも、確実に払える為に試作した特製のヤツをです。」

 佐藤は、自慢する姿勢となっていた。

 ヨウヒは逃げの姿勢を取ったが、全てが遅かった。

「ペラペラペラペラペラペラペラペラペラ・・・・・・」

 佐藤の講義はいつまで経っても終わる気配が無く、その勢いの強さにヨウヒでさえ口を挟めない。

(さっさとこいつを黙らせんかい!)

 視線でSOSを出すが、護衛を含む全員が目を逸らす。

 最後に目が合った阿部は、黙って手を合わせた。

(裏切者がー!)


 3時間後、


「・・・と言う訳です。御静聴、有難う御座いました。」

 ヨウヒは、ぐったりしていた。

「と、とんでも無い奴を寄越してくれたね・・・」

「その内慣れます。」

 阿部の言葉に感じる物があったのか、ヨウヒはそれ以上の追及を止めた。

(スノウ氏を連れて来れば良かったかも知れないな。あの遺跡マニアぶりから見て、丁度良い捌け口になりそうだな。)

 阿部は、今更ながら有効策を思い付く。

「と、とにかく、案内する。」

 ユウが引き継ぎ、集落へと案内する。




 ・・・ ・・・ ・・・




 暁帝国東側海域



「この辺り一帯が、丁度影の出現している海域です。」

「うーん・・・」

 星の裏側の調査にやって来た面々は、揃って唸るしか無かった。

 目視では何も見付けられず、魔力を観測してもあまりにも膨大な魔力によって、詳細な観測は困難となっていた。

 ただし、何も収穫が無かった訳では無い。

 魔力の詳細な分布が判明した事に加えて、更なる現象に遭遇していた。

「この辺りは、諸島の様になっていますね。」

「こっちは、本土より大きな地形だな。大陸と呼ぶには小さいがな。」

 何人もの研究員が、画面を眺めながら指を差す。

 付近でより詳細に魔力を観測した所、以前から見えていた大陸の様な影以外にも、多数の影が映り始めていたのである。

 連日、その画面との睨めっこを繰り返していると、ある事に気付く。

「なぁ、この魔力の分布なんだが、現れた陸地の影を丁度覆ってる形になって無いか?」

「何?」

「・・・言われてみれば、そう見えなくも無いな。」

 確証は無いが、詳細な魔力分布を確認すれば陸地の影が魔力の中心に位置していた。

「この魔力によって隠された秘密の大地だったりとか?」

「・・・」

「そんなまさか。」

「無い無い。魔力が霧の様に陸地を覆い隠してるとかだったらともかく、見ての通り何も無いんだぞ?」

 影のある海域を航行しても何の支障も無く、どの様な光学的手段を以てしても、やはり何の変哲も無い海でしか無い。

 冗談交じりに出された仮説は、一瞬で否定された。

 しかし、それ以外に何らかの仮説も出せず、結局は機材の故障の可能性が高いとしか言えなかった。

 調査団の成果は、詳細な魔力分布と新たな影の発見のみと言う、その規模に比してあまりにも頼り無い結果に終わった。




 ・・・ ・・・ ・・・




 旧ノーバリシアル神聖国



 制裁以降、世界に忘れられた存在となっているこの諸島では、良識派と懐古派の内戦が思わぬ人物の乱入によって新たな局面を迎えていた。

「情けない事だの、獣共に毒された腑抜けがこうも多いとはの・・・」

「嘆かわしい限りであります。態々、殿下にご足労戴いているにも関わらず、まさか殿下に逆らう愚か者がこうも多いとは・・・」

 殿下と呼ばれた彼女は、制裁以降行方不明扱いとなっていたクリスタルである。

 フェイとの戦闘に敗れ、崩れ行く王城で死を待つだけであった彼女だが、生来持ち合わせていた執念が死の運命を捻じ曲げた。

 どれ程勢い良く崩れようとも、瓦礫には必ず隙間が生じる。

 彼女は、執念でその隙間へ入り込んで崩壊をやり過ごし、元食糧庫に残っていた食料によって生き延びていたのである。

 そして、時間を掛けて底を尽いていた魔力や体力を回復させ、満を持して姿を現した。

 懐古派にとっては希望の象徴となり、良識派にとっては悪夢の再来となった。

 また、王族である事からその魔術的素養は非常に高い。

 単なる神輿としてだけでは無く、戦力としても懐古派は大幅な強化を実現した。

 この顛末に良識派は士気を大幅に低下させるも、過去の繰り返しだけは何としても避けたいが為に徹底抗戦を掲げた。

 だが、あらゆる面で見劣りする良識派に勝ち目は無く、懐古派による統一は目前に迫っていた。

「ところで、捕虜はどうしておるかの?」

「御命令通り、一箇所に集めております。処刑致しますか?」

 クリスタルの命令によって捕虜は生かされているが、彼女の元にいる懐古派は満場一致で良識派の処分を求めていた。

「ならぬ、処刑はするで無い。生かしておくのだ。」

「は?それはまた、どの様な理由で?」

「良いか、我等の真の敵は誰か?それは、外海に巣食う獣共だと言う事を忘れるで無い。」

「無論、忘れてはおりません。」

「その為に、妾は新たな策を用意した。だが、この策には膨大な魔力が必要での、全ての魔力を明け渡す生贄が必要になるのだ。」

 部下は、驚愕で目を見開く。

「何と、いつの間にそれ程の御業を身に着けておられたとは。では、その生贄に不届き者共を使おうと言う訳でありますな?」

「うむ。いくら妾を裏切ったとは言え、同族だからの。最後位は妾の役に立たせてやろうと思っての。」

「何と慈悲深い・・・!頑なな奴等も、その時には殿下のお心を理解されて大いに喜ばれるでしょう。」

 当然ながら誰も喜ぶ事は無く、むしろ怒りに体を震わせるのだが、彼等に抵抗する術は残されていなかった。

 ハイエルフの残党は、新たな火種を準備する。




 ・・・ ・・・ ・・・




 エイグロス帝国



 バルファントは、順調に執務をこなしていた。



 コンコン



「入れ」

「失礼します」

 入ったのは、バルファントと共に動いている工作員である。

「成果は?」

「上々です。もう暫くの間は、好景気を維持出来るでしょう。」

「バレてはいまいな?」

「大丈夫です。間にアウステルト大陸がある以上、感づかれたとしても此処まで辿る事は不可能です。」

 エイグロス帝国は、ガリスレーン大陸の政情不安に秘密裏に介入しているのである。

 その中心人物が、バルファントである。

 モアガル帝国と敵対してしまっている中小国は、元々は今現在行っている強硬策へ舵を切る事は考えてはいなかった。

 しかし、強硬な意見を持つ者も存在した事は確かである。

 暁帝国との繋がりを持てなかった各国はエイグロス帝国の情報網に引っ掛かり、有力な市場としての価値を見出された。

 しかし、準列強国弱の国力しか持たない最果ての国をまともに相手にする事はあり得ない。

 そこで、多数の工作員を通して各国の要人を唆し、強硬策へと誘引し始めたのである。

 工作は見事成功し、各国は言われるままに強引な手に打って出た。

 しかし、そこで問題となるのが戦力である。

 ノーバリシアル神聖国の攻撃によって弱体化した(と思い込んでいた)とは言え、根本的に技術力で負けている以上は大きな被害は免れない。

 何処かの強国へ支援を要請しようにも、この様な不用意な行動に協力する事は、センテル帝国の不興を買ってしまう。

 そこで、待ってましたとばかりにエイグロス帝国が(秘密裏に)名乗りを上げた。

 準列強国以上の国には後れるとは言え、エイグロス帝国も近世レベルの技術を持つ歴とした強国である。

 各国に対し、アウステルト大陸を経由して武器を中心とする支援を有償で開始した。

 尤も、各国が弱過ぎるのか上層部が無能なのか、当初想定していた以上に酷い戦況となっていた。

 それでも、何処も諦め切れなかった事で武器の発注は続いており、第二次産業を預かるバルファントはウハウハとなっていた。

「ところで、暁帝国とセンテル帝国に具体的な動きはあるか?」

「今の所は確認されていません。まぁ、この混乱を止める為に動いても、無駄に負担が増すだけですから無理もありませんが。」

「中小の馬鹿共を唆す為に使った口実だが、本当の事になりそうだな。」

 当初、各国が強硬策に対して足踏みしていた一番の要因は、暁帝国とセンテル帝国の直接介入を恐れていたからである。

 その力は圧倒的の一言であり、中小国からすれば雲の上の存在である。

 それに対する工作員は、「暁帝国は距離的に無理がある。センテル帝国は、ハイエルフとハレル教圏相手で手一杯になる。何も心配する事は無い。」と言い含めた。

 単なる出まかせに過ぎなかったのだが、意図せず嘘から出た真となっていた。

「何にしろ、我が国にとっては都合がいい。今の内に貯金を増やすぞ。」

 最果てにいながらも、エイグロス帝国は不安定化する世界情勢の荒波を乗りこなしていた。




 ・・・ ・・・ ・・・




 ケミの大森林



 初日に佐藤に酷い目に遭って以降、ヨウヒは佐藤を敬遠しているが、当の佐藤はヨウヒに構っている暇は無かった。

「色々と分かって来たな。まさか、此処まで詳細な資料が現存してるとは思わなかった。」

「経年劣化は防げないにしても、不必要に内部を荒らさなかったお陰でしょうね。」

 発見した資料は、言い伝えの裏付けとなる物であった。

「少佐ぁーー!」

 考察に耽っていると、奥から別の調査員が駆け込んで来る。

「騒がしいな。もう少し落ち着いて欲しいもんだ。」

「そんな事はどうでもいいんです!」

 思わぬ豪胆ぶりを見せ付けた調査員は、新たな資料を広げる。

「何だ、地図か・・・・・・!!こ、これは!?」

 それは、世界地図であった。

 しかも、ある筈の無い陸地までもが存在していた。

「この形状、浮かび上がっていたあの影だ!」

 本来ならば何も無い筈の星の裏側にハッキリと陸地が描かれており、その形状は明らかに膨大な魔力の中に浮かび上がっていたあの影と同一であった。

 更に、大陸の周囲にはいくつもの島まである。

「少佐、これを!」

 そこへ、別の調査員が駆け込んで来る。

「何だ、筆跡が明らかに違うな・・・・・・ちょっと待て、そう言う事なのか!?」

「え、どう言う事ですか?」

「うるさい、すぐに報告書を纏めるぞ!本土との連絡準備を急げ!」

 佐藤はかつて無い程に血相を変え、大急ぎで資料作成に掛かる。




 ・・・ ・・・ ・・・




 暁帝国  東京



 佐藤からの報告が緊急電で齎された事から、東郷を筆頭とする主立った者達が集まっていた。

「それでは異例ではありますが、始めたいと思います。」

 進行役が口を開く。

「ケミの大森林へ派遣した佐藤少佐から、緊急での報告が上がりました。内容を精査しました所、先頃引き上げを開始しました、東部への調査隊の調査結果と重なる部分がある事が判明した為、まずはそちらから報告致します。」

 そう言うと、モニターに新たな影が浮かび上がった最新の地図が映る。

「御覧の通り、細かな島と思われる影が浮かび上がりました。しかし、直接現地に赴いても何も発見出来なかったとの事です。魔力の詳細な分布を確認した所、この影を中心に分布している事が判明しており、魔力によって隠された陸地があるのでは無いかとの仮説が立てられましたが、現実的ではありません。」

 進行役は、一息入れる。

「続きまして、佐藤少佐の報告です。まずは、此方をご覧下さい。」

 モニターに、発見された地図が表示される。

 途端に、場が大きく騒ついた。

「これは、現地の遺跡から発見された地図になります。御覧の通り、例の影と同一と思われる陸地が存在しています。」

 説明は更に続く。

「この他にも、現地の言い伝えを裏付ける資料が多数発見されています。」

 その資料によると、各種族の身体的に優れた者を人体改造実験に投入していた事が判明した。

 この資料から、以前から判明していた被征服民が、現在の人類の祖先である事が間違い無くなった。

 その目的は、軍事利用である。

 様々な資料から、メイジャーは技術的には他を圧倒して世界を支配下に置いたものの、その人口が極めて少ない事から負担があまりにも大きく、その負担を減らす為に被征服民の中から各種能力が優れた者を、一段階上の階級へ置いて直接的な統治を任せていた事も判明した。

 しかし、結局はその他の被征服民と大して変わらない事から、反乱を起こされた場合の混乱状態を最小限に治める方法を模索し始めた。

 その答えが、改造人間である。

 身体的に大して変わらない者同士で戦って泥沼化するならば、最初から圧倒的な力を持つ者を投入すれば良いとの結論であった。

 その結果、エルフ族が最も成功を収めた他、一部の竜人族と人間族も成功と言える結果を叩き出した。

「エルフ族に関しましては、言い伝えからもハイエルフ族がこれに該当すると判断して間違い無いでしょう。竜人族に関しましては、赤竜族と黄竜族が該当すると思われます。そして人間族ですが、勇者一行と関連のある可能性が大です。」

 遺跡では、実験に関係の無い、明らかに被征服民側と思われる書き置きが発見されていた。

「その書き置きには署名もあり、レオン カレン スノウ フェイ シルフィー とありました。」

 多くの者が困惑するが、偶然にしては出来過ぎている。

 更に続く。

「書き置きによりますと、人間族で実験に耐えられたのはこの五人のみであり、とりわけ強力な力を得られたとあります。この実験に参加させられた者達は、揃ってメイジャーに対して強い反感を抱いたそうです。そして、五人を中心人物として反旗を翻し、インシエント大陸の更に東側へ駆逐したとありました。この功績から英雄と呼ばれていた様なので、各地で散見されている英雄と言う単語は、この五人を表すと見て間違い無いと思われます。書き置きの最後には、この出来事を引き継がせる為に子孫には自分と同じ名前を付けさせるとありました。」

 引き継がれたと思われる名前、突出して強力な力、勇者として名を馳せた実績・・・

 状況証拠が多過ぎる事もあり、この事実を否定も出来ない。

「他にも、一般的な被征服民の扱いについても書かれていました。」

 メイジャーの統治は、大陸毎に役割が大きく異なっている事が判明している。


 インシエント大陸=メイジャーの本拠地

 スマレースト大陸=予備の軍事拠点

 イウリシア大陸=食糧庫、一大畜産地

 セイキュリー大陸=実験場?

 ウォルデ大陸=畜産地、軍事拠点

 ガリスレーン大陸=畜産地、軍事拠点

 エイハリーク大陸=食糧庫、一大畜産地

 アウステルト大陸=各種実験場、軍事拠点

 注:生産拠点は軍事拠点に含まれる


 これまでに調査した遺跡には、星の裏側に関する記述は発見されておらず、一切がベールに包まれている。

「どうやら被征服民は、家畜扱いされていた様です。とは言え、牧場の様に本当の家畜の様な扱いであった訳では無い様ですが、いずれにしても人権は皆無であったと思われます。」

 全員が、気分を悪くする。

「ただ、家畜と言う割にはメイジャーが被征服民を食糧扱いしていた訳では無く、何らかの準備の為に人口を増やしていたとの事です。詳細は不明ですが、ハルーラと言う単語が出て来ています。」

 これに、東郷が反応する。

「メイジャーがハルーラを信仰していたのか、メイジャーとハルーラに何らかの関わりがあったのか?」

「不明です。」

 何にしても、メイジャーがハルーラへと繋がる手掛かりとなる事は間違い無い。

 現状、依頼に関する有力な標的はハルーラである。

「メイジャーに関するあらゆる情報を集めろ。どんな些細な事も見逃すな。」

「総帥、もう一つお伝えしたい事が。」

「何だ?」

「英雄が駆逐したメイジャーなのですが、東へ追い詰めた連中は東の果てへ、西に残存していた勢力も西の果てへ駆逐したとあります。そうなりますと、行き着く先は一つしかありません。」

 全員が、一つの結論へ辿り着く。

 星が球体である以上、逆の方角へ向かったペアは最後には反対側で落ち合う事となる。

 同じ様に、駆逐されたメイジャーが行き着く先は、どちらも星の裏側となる。

「じゃぁ、あの魔力の塊はメイジャーが・・・?」

「断定は出来ません。しかし、何も無い海へ逃げ延びては、遠からず自滅します。逃げる場所が無いのなら背水の陣を敷くしかありませんが、記述を信じるならばメイジャーはそれをしなかった事になります。逃げる場所、例の地図に存在する陸地が実在したとすれば・・・」

 優れた技術を持ち、英雄がいなければどうにも出来なかったであろう力を持つメイジャー。

 あの膨大な魔力の塊と無関係とは断言出来なかった。

「色々と分かったが、また謎が増えたな。」



 佐藤の持ち込んだ試作品ですが、同士討ちの危険から不採用となりました。

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