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私の思うこと、感じること

人間の手による進化について。

作者: 黒井 陽斗

皆さんこんにちは黒井です。


いきなりですが、私は残念ながら今のエッセイジャンルで流行っている一連の批判ブームに飽きましたので、今日は全く毛色の違うお話をして、皆さんに新鮮な気持ちになっていただきたいと考えています。


今日のテーマは動物の進化、それも人の影響によって変化した生き物にまつわるお話を、少しだけ語ってみたいと思います。


皆さんが普段なろうで書いている、また読んでいるお話でも家禽や家畜が出てくるお話ってありませんか?私達も普段から沢山の家畜や家禽によって豊かな生活をしていますね、異世界だってきっと家畜や家禽がいっぱい居るのではないかと思います。


皆さんはまず家畜と言われ、ぱっと思いつくのは一体何でしょうか、可愛い猫?それとも賢い犬?それとも牛や鶏?少し変わった所でうさぎとか羊ですかね?あ、あと、豚は出荷よ~。


今挙げた私達の生活に密接な関係にある動物、家畜と言われる生き物は人間の手によって生態を変えられた生き物で、長い時間を掛けてゆっくりと変わって行ったと信じられて居る方は多いでしょう。


確かに、沢山乳を出すとか、都合の良い形とか、愛らしい姿というのは結構長い時間を掛けて作り上げていますが、意外なことに家畜化するだけなのであれば、そこまでの長い年月は実は必要なく、比較的早いスパンで変化を起こせることが分かっているんです。


例えば犬はオオカミを祖先に持ち、大昔に人間が拾った子供のオオカミから私達との付き合いが始まりました。


その後、長い時間を人間と共に過ごしていく内に沢山の犬種に変化したのは皆さんも御存知のとおりですが、その変化が一体どのようなものだったのかを調べようとした科学者達が居ました。


それは旧ソ連時代のとある研究チームです。


彼等は野生の動物であった狼が、どの程度で家畜である犬へと変化したのかを調べるために、同じイヌ目である野生のキツネを使った交配実験を行いました。


彼等の実験は、まず野生のキツネから生まれた子を人間の手で育て、人に懐きやすい個体を抽出して交配させていき、何代で先天的に人間に懐く資質を持ったキツネが生まれるのかを調べるという手法でした。


私はその実験の結果を初めて見た時、酷く驚いたのを覚えています。


交配された初代のキツネ達は間違いなく野生のキツネであり、人間に懐く様な行動はなかったのですが、4世代程度で犬のように人間にしっぽを振って喜びや親愛を伝えてくる者が現れたんですよ。


たった4世代、時間にしても僅か10年程度ですよ?それでこの変化は驚くに値するのではないかと思います。


更に世代を重ねると、もっと大きな変化が起こります、それは体毛の色の白色化に始まり、さらには耳や鼻の形と目元の印象の変化です。


野生の鋭さは鳴りを潜め、眼光鋭い目は丸くつぶらに、長く攻撃的な鼻も短く丸くなり、獲物やライバルを探す尖った耳も、愛嬌のある丸みを帯びた柔らかな形に変化して行くのです。


これを見た時、私は成る程と納得したのですよ、なぜかというと、彼等は人に親愛を示すために、人に愛される様にその姿を変化させたから。


彼らが持つ鋭い野生の姿は、人に警戒を与えると狐達は知って居たんですよ。


貴方だって目が鋭い怖そうな人に、自分から声を掛けるのは勇気が居るでしょう?仮にその人の隣に穏やかで明るい朗らかな性格の方が居るのなら、貴方はきっと話し易すそうな、穏やかな方に声を掛けるでしょう。


つまり彼の変化は、誰かに愛されようとする意思が自らの存在すらも変えてしまうという、ある意味で人間にも起こる事なのです。


ほら、恋する女性は美しいとか、誰かの為に頑張る男はかっこいいなんて言うでしょ?それと一緒なのだろうと思ったんですよ。


こうして人間にも言えることですから、彼等の変化はある意味で、狐達が人間社会に適応した結果といえるのです。


私たち人間が関係する変化は、実は世界中でそれも身近にも、多く起こっています。


例えばカラス、彼等は元々非常に賢い動物ですが、ビルの立ち並ぶ都会の複雑な交通事情をよく理解し、クルミなど固い表皮に覆われた物を食べる時に車を利用します。


なぜこの行動を例にしたのかというと、これは人間が都会に住むカラスたちに与えた影響によって、彼等の脳が交通状況や都会の複雑な地形を理解できるように進化した証拠で、実は田舎に住む同種のカラスには出来ない芸当だったりするからです。


他にもお話すると巣作りだってそうです、彼等の鳥類の中には人間が捨てた煙草の吸殻を利用する種類だっています。


そんな奇妙な鳥達の行動は、メキシコの生物学者に発見されました。


彼等、イエスズメとメキシコマシコという小さな鳥達は、元々は蜘蛛の巣や小枝など天然にある資源を利用して巣作りをしていました。


そんな鳥達がなぜタバコの吸殻などを使うのか?皆さんはあの臭い煙草の吸殻に何の価値が有るのかと、首を傾げるかもしれません。


ですがタバコの吸い殻、正しくはフィルターに使われる合成樹脂アセチルセルロースには多くのニコチンが含まれており、このニコチンが彼らの生活を快適にしていると観察の結果わかりました。


それは寄生虫が巣で繁殖するのを予防する効果です、鳥達は元々、天然のハーブなどで予防を行っていましたが、鳥達に寄生するダニやノミ、シラミなど多くの寄生虫はニコチンを嫌い、より効果的だと学習していたのです。


忌避効果があることを彼等は経験から理解して、自らの巣により多くのニコチン成分を集め、巣にいる雛鳥が寄生虫の被害に遭わないよう積極的に活用していました。


そうした奇妙な行動を発見当初、学者達はこう考えたそうです、柔らかいフィルターが巣の材料に適しているから、彼等が好んで使っているのかもしれない。


そう考えて、彼等に新品のフィルターを与えて行動を観察し、同時に巣の内部の様子も調べてみました。


結果は新品のフィルターよりも、路上に捨てられた吸い殻を好み積極的に巣へ持ち帰るという結果が得られました。


そして新品を使った巣では、多くの寄生虫が繁殖し、吸い殻を使った方の巣では寄生虫の数は明らかに少ないというデータが実証されたのです。


ここから分かったことは、彼等がその効果をしっかりと理解しているという興味深い事実、新品のタバコのフィルターよりも吸い殻の方がより効果的であると理解した上で、吸い殻を積極的に活用しているということです。


これは紙巻タバコの存在が一般化してからの出来事でしょうから、そう昔というほどではない、割と最近出来た適応の例といえるでしょう。


他にも人間の生活に適応した動物は沢山居ます、こうした変化は10年程度の短いスパンで容易に起こるものであると、生物学者達は考えています。


このように動物と言うのは人間の与えた刺激に驚くほど早い変化を見せます、なので貴方の描く世界にも、こういった人間との生活で変化した動物というのを出してみるのも、物語としてはいいエッセンスになるかもしれません。


人と寄り添う動物たちとの愛と友情、はたまた人の起こした変化に対して生存をかけて繰り広げられる動物達の物語。


なろうの中で流行だけ追うのではなく、こんな少し変わった物語を読んでもいいかなと私は思ったりするのですが、これを読まれた貴方は如何でしょうか?良ければ教えて下さいね。


それではここまで読んで下さりありがとうございました、また違う作品でお会いできる事を楽しみにしています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんか動物の話しでほのぼのした 生存の為の進化とかの話だけど [一言] 4世代と言われると少し長く感じますが10年と言うと短く感じられますね 狼の家畜化も確認されているのはかなり昔からでず…
[一言] 助手「博士、これはいったい?」 オーキド「うむ、これはじゃな。適応進化というのじゃよ。人間を追い出したほうがポケモンが繁栄するためには都合が良いのだと自然界が気付いてしまったのじゃ」 助手「…
[良い点] 幼女作家「異世界ファンタジーのペットって、なぜかモフモフに焦点を当てられることが多いよね」 [一言] 異世界ファンタジーに一滴、リアルを落とすという考え方は確かにそのほうがいいに決まってま…
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