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ラーメン屋にて

作者: 北野とほ

 僕はカウンターに座ると、味噌ラーメンを一杯注文した。

ここは札幌味噌ラーメンの有名な老舗だ。一杯750円と値段も手頃だからか、いつも大勢の客で溢れている。でもこの日は昼時はとっくに過ぎていたから僕以外の客は二、三人しかいなかった。

 思えば今日はロクなことがなかった。早朝職場に呼び出されたと思えば、あらゆることが裏目にでてしまいこんな時間までかかってしまった。もう大分暗くなってきたしラーメンを食べて早く帰ろう。

僕は深いため息をついた。


 「はい、お待ち!」白髪の主人の威勢のいい声とともにカウンターに置かれたのは、アツアツの味噌ラーメンと平皿に盛られたライス(税込100円相当)だった。

「えっ!?(ライス頼んでませんけど…)」

僕の驚いた目を見て主人が穏やかな表情で言った。

「たくさん食べて元気だしな。」

僕はその時、この店が何十年も人に愛される理由がわかった気がした。そしてやっと今日いい事があったと、主人の優しさを思いながらラーメンとライスを味わった。


 「ご馳走様でした…。」

席を立ち代金を支払おうとした時、主人が言った。

「850円になりやす。」


(完)

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