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自称凡人の異世界生活  作者: ナナシさん
一章 水の国オラン
4/81

4話 魔法について知る

  1人で教室に向かっていると、後ろから足音が聞こえた。


「ちょっと待って」


  振り返るとそこに居たのはシルエット姉妹だった。


「あぁ、エリーゼさん、グウェンさん、どうしました?」

「どうしました?じゃないわよ何よさっきの!」

「さっきの?」

「B級冒険者のパーティーを瞬殺したじゃないですか」

「あぁ、あれは相手が油断してたんじゃないでしょうか?」

「それにしてもよ!何よあの速さ!」

「少し速く動いただけですよ?」

「少しってスピードじゃないわよ!」

「しかもベスト着ていたじゃないですか!」

「あれは、そこまで重くないですよ」

「まぁ私達の時も10kgかそこらだったとはいえ・・・」


  10kgですか。


「そんなことより!グウェンさんお願いがありまして」

「そんなことって・・・それでなんですか?」

「魔法を教えて頂きたくて」

「え!?さっきの魔法使ってないんですか?」

「はい、正真正銘自分の力ですよ」


  まぁ正確にはちがいますが・・・そこはある意味弱点的な所ですから。


「うーん、まだ試験が終わるまで時間ありますから庭に行きましょうか」

「はい」


  そうして魔法を教えて貰うために中庭に移動した。


「それじゃあやりましょうか、音無さんの適正は?」

「適正?」

「あれ?試験の時にしらべませんでした?」

「あぁ、あの時壊れてしまいまして」

「壊れた?まぁ長いこと使っていたそうですし」

「じゃあ、これを」

 

  ちいさな袋からジャラジャラと石が出てきた。


「これは?」

「魔石ですね、手に持って魔力を流すとそれぞれ対応した魔石が光りますね」

「ふむ」

「魔力の種類は8種類ありまして、火は赤、水は青、風は緑、土が茶色、雷が黄色、光が透明色、闇が紫、治癒がピンク、無属性が白ですね」

「無属性?」

「はい、無属性は通称個人魔法で、詠唱が必要無く、似たり寄ったりの魔法がおおいですが、中にはとても強力な魔法もあります」

「へぇ、面白いですね」

「じゃあどれからにしましょうか」

「貸して下さい」


  袋から全ての魔石を取り出した。


「あ、音無さん!」

「どうすれば・・・」

『我が求めるは全ての属性』

「なるほど、『我が求めるは全ての属性』」


  そう言うと全ての魔石が光り、体に火、水、風、土、雷、光、闇、を纏い、足元には花が咲いた。


「これは・・・」

「全ての魔石が光ってる?」

「きれい・・・」


  そしてしばらくすると、身体から、全ての光が消えた。


「大丈夫ですか?」

「何とも」

「あれだけの魔力を使って何ともですか・・・」

「貴方何者なの?」

「旅する者ですよ」

「それより音無さん、説明がまだだったのですが」

「すみません」

「まぁいいです、それでですね、この世界には、魔術師と魔法師と魔導師がいるのです」

「はい」

「魔術師は魔方陣を描き、そこに魔力を通して魔術を発動させるのが魔術師です」

「はい」

「魔法師は、詠唱をして、魔法を打つのが魔法師です」

「ふむ」

「そして、その両方を兼ね備えるのが魔導師です」

「つまりグウェンは魔導師と」

「そうですが・・・誰からそれを?」

「ヴァルさんから」

「・・・まぁいいです、それで魔術がこうです」


  グウェンはそう言って空中に指で魔方陣を書き始めた。


「そしてここに魔力を通します」


  バチッと音がなり雷の槍が飛んだ。


「魔術は、魔方陣を書くのがデメリットですが、かなり細かく魔術を調整出来るのと、魔方陣を書いたら他の人が使える、適性が関係なく使えるのが強みです」

「ふむ」

「そして魔法が『我が求めるは雷の槍サンダージャベリン』」


  そう言うと魔方陣が現れて、雷の槍が飛んだ。


「魔法は手が塞がらないのが強みですねそして、魔法も魔術もそれぞれ詠唱と魔方陣を行えばどちらも同じ魔法をつかえます。魔法の場合適正は大前提ですが」

「なるほど」


  そう言って魔方陣をかく、雷の槍が飛んでいく。


「『我が求めるは雷の槍サンダージャベリン』」


  同じく雷の槍が飛んでいく。


「大魔道士さまは『二重詠唱(ダブルキャスト)』と言って魔法と魔術を同時に使うことが出来たらしいです」

「グウェンさんは?」

「出来ませんよ、無詠唱すらできないのに」

「まぁ理解したので難しくはないですね」

「え?」


  グウェンさんの魔法を見たのと、自分でやってみて分かった、魔法はいわゆる自己暗示だ、言葉でその魔方陣を表す。そして魔術はそれをいじることで現象を操る、つまり。


「魔方陣を思い描いて魔力を流せば」


  魔方陣が現れ雷の槍が飛ぶ。


「無詠唱魔法・・・?」

「うそ!?失われた技術があっさり!?」

「簡単なことですよ魔方陣を頭の中で描いて魔力を流すんです、そしてこれは理論上、相手の魔法を見てからでも発動が出来ますね。しかも魔方陣の改変も同じく」


  さっきより小さい魔方陣から何倍もの大きさの雷の槍が射出される。


「魔力量の減少と威力の増大が可能と・・・」

「音無さん、貴方はいったい?」

「ただの凡人ですよ?まぁこれは誰にでも使えるわけではありませんが、グウェンさんなら大丈夫ですよ」

「本当ですか!?」

「はい」


  完全に使いこなすのは、今のところ自分だけだろう、それから数分グウェンさんの練習に付き合った。


「頭に魔方陣を思い描いて」

「こうですね」


  目の前に魔法陣が現れる。


「そしてそれに魔力を流します」


  バチッっと音を立てて雷の槍が飛ぶ。


「出来ました!」

「そうです、その感覚を忘れないで下さい、そして普通に魔方陣を描き、魔力削減と威力の調整をするんです」

「難しいですね」

「回数をこなせば出来るようになります」

「それは、慣れですか?」

「はい、前に似たようなことをやったので自分はかなり効率よく出来ます」

「これで詠唱と魔方陣を書く必要が・・・」

「ありますね」


  グウェンさんの言葉を遮る。


「え?だって」

「確かに詠唱と魔方陣は手間がかかりますですけど、見せた方が早いですね」


  これが大魔道士がやったとされる二重詠唱(ダブルキャスト)、考えた貴方は凄いです、敬意と最大限の尊敬を持って貴方の技術を自分が引き継ぎます。


 頭に魔方陣を思い描く、そして両手で魔方陣を書く、何十いや、何百に重なった魔方陣に手を当て詠唱する。


『我が求めるは雷の槍サンダージャベリン』


  バリバリと手に持っている雷槍が空気を引き裂く、


「これが大魔道士が使っていたとされる二重詠唱ダブルキャスト改名して連続詠唱コンセクティブキャストです」

「凄い・・・」

「凄い音・・」

「解除」


  すぅ、と雷槍が消える。


「この技は危険を伴いますのでやっても二重ほどにしておくといいですよ」

「止めないんですね?」

「止めてもやりますよね?でも広めるのは無しです、魔力量と技術を持っているグウェンさんがそうなのに、他の人がやったら魔力が枯渇して死にます」

「肝に命じます」

「教えて頂きありがとうございました」

「そう言えば教えてたのよね」

「そうですね」

「それでは明日」

「はい音無さん頑張って下さいね」


  お別れを言ってシルエット姉妹と別れる、2人は明日卒業だったな。


「やっぱり、20分程度じゃまだ誰も居ませんか」


  Aクラスの教室を開けるが誰も居ない。


「予想では数人来るはず、とりあえず字を覚えないと」


  机に座り、今日の朝に買った英雄譚をみる。


  昔、魔王が世界を支配している時代、とある村に生まれた1人の少年がいた。

  名前は分からない、なぜならその少年は名前がなく勇者と呼ばれた。

  勇者は、10歳の時に湖にいる精霊から剣を譲り受けた、名前は、精霊剣エクシス、全てを切り、邪な心を持つものは、近づくことすることができない聖剣だ。

  勇者は、その剣を手に取り幼馴染の少女と旅にでる。この少女は後に、大魔道師と呼ばれる。

  勇者は、幼馴染と共に世界を回る、そして、竜、海、獣、鳥の王を契約で仲間となり魔王を倒すべく、魔王城に乗り込む、勇者は魔王と共に散り、大魔道師はこの話を後世に伝え、全ての王は、それぞれの住処に帰った。精霊剣エクシスの行方は不明である。と。


「ふぅ、何だか少し信憑性のある話ですね」


  そろそろ、30分になる。


「アル?」

「はい、マスター」

「そろそろマップ埋めましょうか?」

「はい!お願いします」

「分かりました、もうちょっと我が儘言ってもいいんですよ?」

「いえいえ、マスターには充分願いを叶えて貰ってますから」

「そうですか?自分なんてただの凡人ですから、心配ですよ」

「マスターは自分の事を凡人と言う理由は分かっていますが、もういいんじゃないですか?シルエットさんに教えたのもそうですよね?」

「それもありますけど、あんな人を見るのは久しぶりですから、それに凡人は自分への戒めですから」

「すいません、マスター」

「大丈夫です、そろそろ行きましょうか」


  ベストを脱ぎ、この街で1番高い冒険者学校の屋根に登る。


「街全体はわかりますか?」

「はい、裏路地はマスターが歩いてくれたので完全にカバー出来てます」

「言語も大丈夫ですか?」

「はい、マスターに貰ったこれがありますので大丈夫です」

「それはよかった。取り敢えずの目標は学校卒業ですね」

「はい、マスター!」


  そう言って教室に戻る。

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