表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称凡人の異世界生活  作者: ナナシさん
二章 魔法王国ミストラル
12/81

11話 二人に、黒騎士、そして青の少女

  皆との確認を、して、数十分後。


「広いな」

「広いわね」

「ここが学園ですか・・・」


  目の前に広がる学園は小さな町くらいはあると思う。

  受付に行く。


「どの様な御用ですか?」


  受付の人が聞いてくる。


「入学試験を受けに来ました」

「書状の提示を」


  アレンさんから渡された書状を出す、これは魔法がかかっていて偽装が出来ないようにしているらしい。


「確認しました。入学試験は明日です」

「ありがとうございます」


  書状を返してもらった。


「宿は、仮説の寮がありますので」


  その言葉を聞き、外に出る。


「ここらで1番高い塔はっと、あれですか」

 

  街の中心であろう場所にある時計塔、あそこが1番高いだろう。


「二人はどうします?」

「買い物に行ってくるわ」

「それじゃ後で」

「音無さんも気をつけて」


  2人と別れる。


『サギあれやるのか?』

『うん』

『自分にやらせて貰っていいですか?しばらく動かないと』

『そうだな』


  最近はずっとサギとの意識を共有している。特に深い理由もない。


「『交代チェンジ』」


  ふっと意識が変わる。


『よし、手始めに登りますか』

『準備運動いる?』

『登るのが準備運動でしょう?』

『確かに』

『アル行きますよ』

「はい、元の速度は久しぶりです」


  その言葉を聞いて黒髪、青眼のサギは軽く地面を蹴る。

  トン、と遥か後ろから音が聞こえる、音を置き去りにしている。


『うーん、慣れんな』

『我慢して下さい、元の感覚でやられても困ります』

『登れば感覚を取り戻すだろ』


  いつの間にか、時計塔の真下に来ていたサギがそういう。


『2回だな』


  そう言って周りに被害が出ないように飛ぶ、トン、と塔に足をかけ更に飛ぶ。


『1回で行けたな』

『今の自分の身体能力にサギの身体能力が乗りますから、慣れないと』

「相変わらず凄いですね」


  そう言いつつ既にマッピングを終わらせているアル。


『風が気持ちいいな』

『はい、そうですね』

『お前と自分は元にもどれるのか』

『サギ、言いづらいなら口調は合わせなくていいですよ?』

『うーん、話せるようになったら、合わせないといけないだろ?』

『自分が補助するから大丈夫です』

『そうか、すまない、でどう思う?』

『可能性はゼロではないでしょう』

『魔法か?』

『それもあるかも知れません、けど普通に戻す手段もあると想います』

『一旦、別れる方法も?』

『分かってました?』

『まぁな』

『やってみます?』

『じゃあ頼む』

『コピー、解放リリース


  サギが心の中でそう唱えると、体がもう一つ出来るそして。


「できましたね」


  自分の向こうには黒髪、青眼の自分がいた。


『体が少しだるくなったな』

「自分が抜けたからだと思います」

『この感じだと、ナギサの力が抜けただけ』

「こっちは変わりません」

『魔力も』

「変わりません」

『戻るぞ、解除』


  魔法が解除される。


『代償はないな』

『そうですね』

『体をかえす、交代チェンジ


  意識が交代する。


「これは、多分一つの意識でやると代償がありますね」

『そうだな』


  すっと、時計塔から降りる。


『そういえば、武器はどうするんだ?』

『最終的にはアレを作りますけどそれまでは無手でもいいかなと』

『半端なものだと、振るだけで壊れるからな』

『元になる剣も探さないと』

『確かにな』


  そんな話をしていると。


「誰か助けて!」


  どこからか声が聞こえた。


「アル、マップ表示、サギは計算頼みます」

「表示しました」

『範囲はこうだ』


  直ぐに結果が帰ってくる。


「OK」


  一つの裏路地へ向かうとそこには、3人の男と一人の少女がいた。少女は顔がローブで隠れているが、10歳くらいだろう。


「嬢ちゃん、そんな声出しても誰も来ねぇよ」

「そうだぜ、大人しくついて来いよ」

「ついでに犯っちまおうぜ」

「ギャハハハ、いいなそれ」


  男達はそんな事を言っている。


『サギ、髪と目だけ貸してください』

『分かった久々にやるねぇ』

「『交換エクスチェンジ』」


  小声でそう呟き、置いてあった布を羽織る。そして男達に声をかける。


「お前達、何をしている」


  声音を変えて声をかける、変装の訓練はしていたから、それなりには出来る。


「助けて下さい!」

「んだ、てめぇは」

「何をしていると聞いたんです」

「あぁ、このお嬢ちゃんが悪いことをしたからな」

「私はそんな事・・・」

「嘘はいけねぇなお嬢ちゃん」


  多分あいつらは、今、自分の事を衛兵か何かだと思ってるだろう。


「はぁ、非番の時に出会うとは・・・」


  3人の顔が引き攣り、少女の顔が輝く。


「騎士様助けて下さい!」

「助けるさ」

「俺たちはこいつにお仕置きを!」


  一人の男がそういう、手っ取り早くいくか。


「すまない、お前達が悪いことは知ってるんだ」

「っ!何を根拠に」


  まだ食い下がるか、なら。


交換エクスチェンジ


  心の中でそう言い、片目を青くする。


「私の魔眼の特性です、魔眼くらいは聞いたことがありますよね?」

「ちっ!騎士様だろうが、こっちは3人だ、かかれ!」

『ガイアロック』


  ガイアロックとは自分が間接的に触れている物を変形させ、相手を捕らえる、土魔法だ。3人の男は、隆起した地面に掴まれる。


「くそ!魔導師か!」

「逃げらんねぇ!」


  そう言っている3人を締め上げ気絶させる。


「終わりましたね」


  そう呟き、『交換エクスチェンジ』で眼を黒色にする。


「あ、ありがとうございます騎士様!」


  少女にお礼をいわれる。


「いえ、お気になさらず、でも、ついてきて下さいね?」

「はい!」


  男達を縛り上げ、衛兵の詰所にいく。


 ~???視点~


  目の前にいる騎士様は何処の騎士団の人なんだろう、やっぱり王国騎士団かな?、ミストラル騎士団にはこんな優しい人はいないし・・・、でも、王国騎士団にこんな人いたかなぁ。

  目の前の騎士様に連れられて路地を出る、その時風が吹く。


「きゃっ!」


  フードを抑えたせいで転びかける、でも騎士様に支えられる。


「転んだら怪我をしますよ、気を付けて下さいね?」

「ありがとうございます」


  その時また、風が吹いて騎士様のフードが取れる。


「あ・・・」


  騎士様のお顔は凄く整っていた、この辺りでは見かけない、黒髪に、黒眼の腰までのロングヘアだった。

  騎士様は慌ててフードを被りこちらを見る。


「見ましたか?」

「あ、はい、ごめんなさい」

「いえ、それはこちらの不注意でしたので」

「それは、私が転びそうになったから」

「それもです、しかし、怖く無いんですか?」


  騎士様にそういわれる。確かに黒髪は今もその色から邪悪の髪と呼んでいる人も少なくない、ジパンはそうでも無いらしいが、でもそれ以前に騎士様はとても綺麗だった、騎士様が女だと言っても分からないくらいに。


「怖いなんて、そんな事無いですよ」

「そうですか」

「騎士様は怖い色はあるのですか?」

「ありませんよ、それが青髪だとしても」

「っ!?」


  見られてしまった、多分風が吹いた時に少し見えたのだろう。また、襲われるそう思った。


「襲いませんよ、それでしたら私も同じですから」


  そうだった、この騎士様は、黒髪、に黒目と青目だった、二つの邪悪の色を持っている。


「貴方の黒色の魔眼?」

「いえ、どちらも魔眼です」

「どういうこと?」


  確かに二つの魔眼を持っている人は知っているが、それは片目の話だ。


「私は生まれた時に、右目が黒、左目が青の魔眼持ちでした、黒が人の考えを読み、青が人の心を読みました」


  生まれ持った魔眼は聞いたことがある、どちらも邪悪の色なんて。


「確かに、村の人達はそんな私に優しく接してくれました、邪悪な色を持ちながらも」


  考えを読まれた事に恐怖は覚えなかった、ただ騎士様の話を聞いていた。


「村を出てからはフードを外せませんでした、見つかったら、直ぐに石を投げられました」


  騎士様の話に共感する。


「だから、今はこんな風に目の色を変えていますね」


  騎士様の目の色は、言い表せない地味な色になっていた、パッと見では、何も言われないだろう、ましてや、フードを被っている。


「どのような御用で?」


  いつの間にか衛兵の詰所に着いていた、騎士様はトントン拍子で話を進めていく。


「騎士様の名前を聞いても?」


  そう聞くと彼は困ったような顔をする。


「名前ですか・・・生憎名乗る様な名前は持っては居ないんですよ」

「名前がないの?」

「はい」

「じゃあ、ナナシさんですね」

「ナナシさんですか・・・ありがとうございます、こちらも名前を聞いても?」


  そういわれる、どうしよう、そうだ!


「フリーダです」


  この人は此処に来て日が浅いから多分分からないはず!


「心の声と考えがダダ漏れですよ、詮索はしませんが」

「あっ!」


  そうだった、うっかりしてた。


「聞かなくていいのです?」

「聞いた方がいいですか?」

「気にならないのかなと思って」

「相手の心を読み過ぎるのは無礼ですから」


  優しいなナナシさんは。


「ありがとうございます」

「あっ、うー」


  心が読まれて顔が真っ赤になる。恥ずかしい。


「それではまた」

「また、会えますか?」

「そうですね・・・これを」


  渡されたのは、手のひらの半分位の紙の鳥の様なものだった。


「生きたい、死にたくない、誰かに話を聞いて欲しい、と思ったらその紙に魔力を流して下さい、きっとフリーダさんの力になります」


  私はその鳥の紙を大事にしまった。


「じゃあまた!」

「はい、次は気を付けて下さいね」


 ~ナギサ視点~


交換エクスチェンジ


  ふぅ、まぁいいかな。


『相変わらずだな』

「そうですね、凄い変装と技術です」

『それほどでも』

「いつ見ても全くの別人に見えますね」

『そう、訓練しましたからね』

『あの子にあげたの本当の意味でお守りだろ?』

『嘘はつきますけど、あんな子を陥れたりはしませんから』

『本当によく回る口だな』

『元の自分達なら、あの子のバックにある問題も解決出来たのですけど』

『頼り過ぎるのは良くないだろ?』

『あの子の力だけで解決出来なかったら力を貸しますよ』

「マスター達は本当に優しいですね」


  その言葉を聞きながら仮設寮に向かう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ