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第一話 無一文の主人

 ブランク・ロデンシャ。

 古代語で『空白』を意味する『ブランク』と、『鼠』を意味する『ロデンシャ』。

 生まれた時からある知識の中に、この名前があった。

 『捨て子』とは、赤子に百科辞典を暗記させ、名前をつけたような存在。その膨大なページ数を誇る辞典には、この世界の常識について様々なことが書き記されている。しかし、この辞典は主観性に欠けていた。隅から隅まで調べても、自分がすべきことや、やりたいことは書かれていない。

 いつの間にか奴隷にされていた僕は主人の命令に従い、本を写す仕事をしていた。ろくにご飯も与えられず、馬小屋の隅で黙々と写し続けてきた。

 羽ペン、インク、文字、挿絵の四つが織りなす不思議な世界。閉鎖されたような空間にいた僕にとって、空想の物語は現実のように感じられる。

 冒険して、戦って、世界を救って、国を建てて、最後は幸せになる。そんな王道に、僕は憧れた。

 中には悲しい物語もあり、まるで自分のことのように泣いたりもした。それでも、その物語は美しかった。悲劇の先にある精神浄化カタルシスを体験した。

 辞典からは得られない高揚感。先の読めない展開。気づくと僕は、すっかり本のとりこになっていた。同じ本を何度も写本しても、その度に見えてくる世界が変わる。

 自分が置かれている環境は、一般人には耐え難いものだろう。でも、僕は満足どころか、これ以上の幸せはないと思っていた。僕は、物語の世界で生きていたから。

 ずっと続いて欲しかった時間。でも、覚めない夢がないのと同じで、いつか必ず現実を叩きつけられる。

『インクをこぼしたぁ⁉︎ このクソ金眼、納品が間に合わないじゃねぇか⁉︎ もういい、本も売れなくなってきたし、契約していた客の信頼も失っちまうだろう。お前は用済みだ、闘技場にでも放り込んでやる‼︎』

 確か主人はそう言って僕を馬小屋から蹴り出した。生まれた時から一度もそこを離れていない僕にとって、外の世界は衝撃的だった。

 朝日、道路、街並み、店、人々……そう、瞳に映る全て。どれも生き生きとしていて、今まで読んできた物語のような世界が現実にもあると知って心がときめいた。

 本能が『冒険しろ』と告げてくる。そう、これは僕が紡ぐ物語。冒険譚もいいし、建国記でもいい。主人公は僕で、僕を中心に世界が回るかのような錯覚にとらわれたい。


 ――でも、夢はいとも簡単に砕け散った。

 その闘技場は辞典に書かれていたものと同じだった。人間や魔物同士を死ぬまで戦わせて、観客を楽しませるというもの。別に残酷でもなんでもない。それが普通だから。

 僕はろくに使ったことさえない短剣を持たされ、舞台ステージに立たされた。振り返ると、鉄の柵がガシャン、と無慈悲に閉ざされる。

『ガルルルル』

 舞台ステージの反対側で唸り声が聞こえた。黒い三匹の飢えた狼が、あからさまな敵意を向けている。

 魔物、それは大地から生まれる多種多様な生物の総称。人のいないところで誕生し、人を見ると襲いかかってくることが多い。

 人もまた、肉や水晶を求めて魔物を狩る。それが冒険者という職業。

 確かに冒険はしたい。魔物とも戦ってみたい。でも、それは訓練をして、装備を整えて、仲間を作って、そして相手を倒す大義名分があってこそ実現するものだ。その全てが欠けている今の僕に、魔物になんか勝てっこない。

 僕は噛みつかれ、引っかかれ、吹き飛ばされた。その度に観客の嘲笑が四方から聞こえて来る。どこにも味方なんていない。

 捨て子はやはり、誰からも無条件で嫌われる存在。主人から嫌というほど教わった。

 でも、僕は誰も恨んだりしない。この世は不条理に満ちている。だからこそ、怒りのはけ口が必要なんだ。それを僕が担えば、その分だけ他人の負担が減る。

 こんな崇高な役目を与えてくれた神様に感謝したい。たとえ、捨てられたのだとしても。


 ガタン、ゴトン。

 あれから僕は、記憶がない。きっと、死んだのだろう。

 ガタン、ゴトン。

 冒険、したかったなぁ。せっかく馬小屋から出られたのに。

 ガタン、ゴトン。

 体が揺れる。ここは天国なのだろうか――。

「クレア、いつになったら到着しますの?」

「そうですね……。御者によると、昼頃には楽園の迷宮都市に着くとのことですが……」

「まだ暁なので、当分暇になりますわね。あら? この子の髪が黒色に戻りましたわ」

「そのようですね……」

 二つの声が左右から聞こえる。一つは、透き通った明るい声。もう一つは、落ち着いた静かな声。どちらも若い女性の声だ。

「僕は、一体……?」

 まぶたを開くと、ぼやけた景色が視界に入る。目を光に慣らすと、血塗れの奴隷服を着た僕が椅子に座っているのがわかった。木製の小屋に見えるが、ここはおそらく『馬車』の内部。辞典がそう告げている。

「やっと目を覚ましたようですわね」

「……ん?」

 右には橙色の空を背景に、地味な布の服を着た金髪の少女が微笑んでいた。吸い込まれるような碧眼にしばらく見とれていた僕は、やがてハッとする。

「あ、あの、ここは⁉︎」

「バシル王国の国境付近ですわ。今は世界の中心、最後の楽園に向かっていますの」

「バジル? ってことは、ここは天国じゃないのか……」

 昔、仕事で地図を何度も模写したことにより、地名や地形は大体把握している。バジルは僕が住んでいる、人間族の国だ。つまり、ここは地上界なのだろう。

「あははは! 聞きました、クレア? 天国ですって! あっははは!」

「お嬢様、下品ですよ、貴族としての威厳を……」

「いいじゃない、今のわたくしは没落貴族ですわよ?」

「お嬢様……」

 反対側で少女と話しているのは、執事服を着た茶髪の女性。彼女の胸は平均以上、と辞典が告げている。なになに、Eカップ? どういう意味だろう。

「バスト……胸のサイズのことかな」

「あら。クレアの胸を凝視して、どうなさいましたの?」

「あ、いや! ごごご、ごめん、なんでもないからっ!」

 Bカップの少女が天使のように無垢な顔で首をかしげるが、目に異様な迫力を感じる。

「そんなことは良いのです……。少年、あなたはここが天国と思っていたようですね……? どこまで覚えておいでですか……?」

 さして気にしていない様子で、クレアさんは会話を促す。そういえば、僕はどうしてたんだっけ。最後に見た光景を記憶から手繰り寄せると、目前まで迫った狼が網膜に浮かぶ。

「えっと、闘技場で狼に襲われて死んだところまで、かな」

「お嬢様、記憶喪失のようです……」

「あら、覚えていませんの? 瀕死になったら髪が真っ白になって、格上の黒狼ダークウルフを見事に三匹も――」

「ぼ、僕が⁉︎ いやいやいや、ありえないよ! 生まれてこの方、馬小屋から一度も出たことなかったのに!」

 そう返した僕に、なぜか悲痛な表情で哀れむような目を向ける二人。

「あなたも苦労しましたのね」

「いや、全然苦労なんてしてないよ。そういえば、僕の主人は? 戻らないと怒られちゃうから」

「あなた。闘技場に入れられたということは、売られたか捨てられたということですわよ」

「あ……そっか、そうなんだ」

 ミスをしたんだから、捨てられて当然。でも、もう本が読めなくなると思うと寂しい。

「そうか、君が僕を殺してくれるんだね? どうせ死ぬのなら、誰かの役に立つような死に方がしたいな」

「ず、ずいぶん悲観的ですわね。そんなことしませんわよ、全財産を犠牲にしてまで買い取った奴隷ですもの」

「へ? 買い……取った?」

 言葉を失いそうになった。ってことは、この子が僕の新しいご主人様……?

「ご、ご無礼をお許しください! え、ええと、こここっ、この度は僕を買っていただき、誠にありがひゅっ!」

「あはは、噛んでますわよ。そんなにかしこまらないでくださいませ」

「そ、そう言われましても! ご主人様、どんな命令も喜んで受け入れますので、見捨てないでください!」

 馬車の中で、なんとが土下座しようと試みる。辞典によると、こうすれば大体なんとかなるらしい。

「あはははは! クレア、この子を買って正解でしたわ! 目が輝いていますもの!」

「確かに奴隷、それも自然種ナチュラルとなると、酷い仕打ちを受けて目に光がありませんからね……」

 代わりに絶望や憎悪が瞳に宿っている、と呟くクレア。ちなみに自然種ナチュラルとは、『捨て子』の正式な名称のことだ。誰の手も借りず、自然に生まれたからそう呼ばれる。

「『捨て子』って、やっぱり疎まれてますよね。ご主人様は、どうしてそんな僕を?」

「確かに嫌悪感を示す人も多いけれど、少数派ですわ。このバシル王国が特殊なだけで、王国を離れれば普通の待遇を受けている自然種ナチュラルもいますの。むしろ役に立つ能力を持つことから、優遇されたりもしますわね」

「ほ、本当に? 世界は広いんだなぁ」

 確かに、生まれた時から知っている大量の情報と、養分を必要とせずに成長する特殊な体。生きていく上で、これらは大きなアドバンテージだ。

「ところであなた、名前は?」

「あ、はい。僕はブランク・ロデンシャです」

「ブランク……珍しい名前ですわね。ではブランク、これから苦労をかけると思うけれど、よろしくお願いしますわ」

 クスリと上品に笑う少女に、僕は慌ててお辞儀するが、

「お、恐れ多いです! こちらこそよろびぼっ!」

「きゃっ!」

 急に馬車が大きく揺れ、顔を柔らかい洗濯板ひんにゅううずめてしまう。辞典によると、人はこれを幸運助兵衛ラッキースケベと呼ぶらしい。ともあれ、僕は取り乱しながらも起き上がった。

「ぷはっ! す、すみませんでした‼︎」

「い、いえ、わたくしも不注意でもありますわ。あまり動かずに、じっと座っていらっしゃい」

「はい、返す言葉もございません……。にしても、人の胸を洗濯板と表現する辞典もどうかして――」

「ブランク、動かないでくださいませ。頰にドラゴンが止まっていますわ」

「へ? ――痛っ‼︎」

 僕がボソッと呟いた言葉に反応したのか、平手打ちを食らわされる。なんというか、本当にこの辞典を信頼していいのか心配になってきた。い、いや、主人を信じるんだ。本当にドラゴンが止まっていたかもしれないし、もしそうだったら申し訳ない。

「お嬢様、ブランク様の頰にドラゴンなど見当たりませんでしたが……」

「とても小さいのですわ。1mmくらいの小さなドラゴンでしたの」

 mmとは長さの指標であり、mという単位の千倍、そしてkmという単位の百万倍らしい。1mmは人の爪を二枚重ねた程度の厚さだ。辞典によると、一般的なドラゴンは2mを超えるそうだが。

「お言葉ですが、そんなドラゴンは存在しませんし、たとえ1mmでも私が見逃すはずありません……」

「し、新種ですの。そちらからは見えない位置に止まっていましたわ、あは、あはは、はは……」

 僕が主人に目を向けると、顔をそらされた。はぁ、僕は誰を信じればいいんだろう。

「あの、ご主人様、その、名前を聞いてもよろしいでしょうか?」

「あらあら、わたくしとしたことが。バシル王侯貴族、エトス男爵家当主のミカエル・エトスですわ。で、こちらがわたくしの執事、クレアですの」

 クレアさんが軽く会釈する。一見無表情だが、なんだか優しそうなオーラが見える。

「貴族だったんですか! ご主人様、クレアさん、改めてよろしくお願いします!」

「こちらの台詞ですわ。あなたを買って、無一文になりましたもの。全てはブランクにかかっていますのよ」

「ええ……。稼ぎ頭として、頑張ってもらわないといけませんね……」

「へ? え、いや、貴族ってお金持ちじゃ……?」

 そう聞くと、ご主人様は悲しそうな笑みを浮かべる。

「あ、ご、ごめんなさい」

「いえいえ、ブランクには知る権利がありますわ。わたくし、とある事情で莫大な借金を負いまして、没落貴族になりましたの。隠居した両親のところを訪ねても、お金を貸してくれなくて」

「それはお嬢様が全て賭博に――」

「な、何をおっしゃいますのクレア、投資と呼んでくださいませ!」

 賭博とは、物品やお金をかけて勝負をすることである。無論、決して褒められたものではない。

 主人は咳払いをして続ける。

「とにかく、我が家の財政がピンチなのですわ。なので、めぼしい奴隷を買って国を出て、迷宮で一山当てようというわけですの」

「……迷宮?」

「世界に十個存在する、未知の巨大な建造物ですの。今向かっているのは、現存する唯一未踏破の迷宮、『アルカディア』ですわ」

 知らないわけがない。辞典にも載っているけど、何より物語で読んだことがある。夢とロマンが『これでもか』というほど詰まってる場所だ。

「攻略すれば、その周囲に迷宮の名を冠する国を建てれるんですよね!」

「あら、知っていましたの? その通り、今まで九組の踏破者が現れて、巨大な国を建てておりますわ。そして、その中心に存在する、どの国にも属さない領地。それが最後の楽園ですわ!」

 高揚した感じで語るご主人様を見て、僕も夢が膨らんできた。しかし、クレアは乗り気でない様子を見せている。

「お嬢様、なぜアルカディアが最後まで残っているか、伝えてはいかがでしょう……」

「そ、そうですわね。もちろん、難易度が他の迷宮と段違いだからですわ。迷宮が現れて千年も経つけれど、九個目の迷宮が攻略されてユグドラシル帝国が建てられて以来、三百年も踏破者は現れていませんわ」

 一年は三百日なので、新年を告げる世界鐘ワールドベルが三百回鳴り、太陽が九万回も昇る計算になる。十七歳の僕にとって、想像もつかない年月だ。

「ええ、お嬢様……。それはつまり、アルカディアが危険だということです……」

「あーもう! わかってますわよ、それくらい!」

 ご主人様は頭をかきむしる。やがて真剣な表情で僕を見据え、口を開いた。

「ブランク、あなたには選択肢がありますわ。危険な迷宮に入ってお金を稼ぐか、それとも迷宮都市で安全な仕事を探して働くか。よく考えて選んでくださいな」

「ま、待ってください! 僕は奴隷だから、ご主人様に従わないとダメですよ!」

「ブランク、悲しいことを言わないでくださいませ。主人にもよるけれど、わたくしは奴隷を家族のように扱うのがポリシーですの」

「ご主人……様?」

 優しく頭を撫でられ、なぜか心が温まる。今まで向けられたことのなかった感情に戸惑ってしまうが、これが愛情というものなのだろうか。

「あ、あら、どうして泣いていますの?」

「すみません。こういうの……初めてなんです」

 そんな僕を、ご主人様はそっと抱きしめてくれた。赤い空に照らされた金髪が僕の頰に当たり、くすぐったくて、気持ち良かった。この温もりを、ずっと感じていたい。って、ご主人様……?

「わっ、ごごごご主人様⁉︎ 僕の体、汚れてますよ! くさいですよ!」

「お構いなく。わたくしも長い間、風呂に入っておりませんので」

「ブランク様、出発する前に私が井戸水で体を拭いておいたので、問題ありません……」

「そ、そういう問題じゃなくてですね! お、女の子と、その、ハグなんて、うう……!」

 考えるほど恥ずかしくなり、顔を赤くながら主人を押しのける。なぜこんな反応をしてしまうのか、自分でもよくわからない。

「あははは、ブランクったら恥ずかしがり屋ですわね」

「恋愛経験が少ないのでしょう……」

「わ、わたくしだって恋愛くらいしたことありませんわ!」

「お嬢様、それは威張って言えるようなことではないかと……」

 楽しそうに会話する様子は、母と娘の関係に通ずるものがある、と辞典が教えてくれる。

「あ、あの、僕はどうすれば……?」

「言ったでしょう、迷宮か他の仕事か、選んでくださいまし。あ、別に今答える必要はありませんのよ? じっくり考えてくださいな」

 ご主人様はそう言ったものの、初めから僕の答えは決まっていた。馬小屋の外にある世界を知って、冒険心がうずうずしている。いてもたってもいられない。

「昔の僕なら、命を優先したかもしれません。一生馬小屋で暮らすなら、少しでも長く本を読んでいたかったから。でも、僕が本当にしたいのは冒険です。好奇心が僕に『冒険しろ』と、うるさいくらい語りかけてくるんです」

 僕は息を吸い、迷いなく続ける。

「迷宮に行かせてください! お金を稼いで、いずれ迷宮を攻略して王になります。そして、誰もが幸せになれる世界を作りたいんです」

「奴隷の少年が、王になるまでの物語……素晴らしいですわ!」

「あっ! さ、差し出がましいことを言ってしまい、申し訳ございませんっ!」

 急いで頭を下げようとするが、ご主人様が僕の額を手で押さえる。

「【解き放て、リリース】」

「へっ?」

 ご主人様が何かを唱えた途端、おでこの上で何かが砕け散る音がした。辞典によると、『ガラスが割れるような音』らしい。

「お嬢様、よろしかったのですか……?」

「ええ、わたくしは信頼すると決めましたの」

 ……どうやら状況を飲み込めていないのは、僕だけのようだ。

「あの、今のは何ですか?」

「前髪に隠れていた刻印を解除しましたの。これでわたくしは、あなたを強制できなくなりましたわ」

「……えっ? ええええええ⁉︎」

 驚きのあまり仰け反ってしまい、背後の壁に頭をぶつける。いきなり解放されてしまうなんて、夢にも思わなかった。

「痛たたぁ……」

「ブランク、あなたは自由の身ですわ。それでも、わたくしを助けてくださる?」

 ご主人様は、こちらに笑顔を向けてきた。まるで、僕を心から信用しているような表情だ。自信と愛に満ち溢れている一方で、どこか儚くて、ちょっとしたことで崩れてしまいそうな少女。

(……裏切れるわけ、ないじゃないか)

 僕の心は決まっている。この人に、ありったけの恩返しをしたい。この笑顔を、守らせて欲しい。

 ――だから、僕はこう言った。

「ご主人様、ずっと僕のご主人様でいてください。右も左もわからなくて、命令されないと何もできないような奴隷ですが、全力を尽くします!」

「ブランク……」

 しばらくほうけたような顔をしていた主人は、急に手を広げて抱きついてきた。

「さすがわたくしのブランクですわ〜!」

「ご、ご主人様⁉︎ や、やめてくださいーっ!」

「仲が良さそうで何よりですね……」

 こうして僕は、新しい主人であるミカエル・エトスに仕えることとなる。

 戦う理由ができた今なら、魔物とだって向き合える気がした。

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