ヘンカ
3話
まどろんだ意識が段々とはっきりしていく。ゆっくりとおもたい瞼をひらく。差し込む光に目を慣らしながらようやく目が完全に開いた。
最初に見えたのは真っ白な天井。
(ここは、、、?病、院?)
次に、ゆっくりと上体を起こす。
(!?!?!?!?〜〜〜〜〜〜!!)
身体中が痛い!?
そうか。俺はトラックに轢かれて。
って、あの怪我が治ったのか?
流石ボッチは並大抵の人間とは違うのだよ。フフフフなどと
ふざけた事を抜かしていると。
不意にコンコンとドアを叩く音が。
「ど、どうぞ」
とっさに声を出したせいか、思いの外声が高い。
「あら!目が覚めたのね!すぐにご家族の方々に連絡しますね。下の階にいらっしゃるので直ぐに来られますよ。ふふふ。」
やけにテンションの高くなったナースは、そう言うと小走りで出て行った。それにしても、あの親父が
俺のために待ってるなんて。奴はお袋が死ぬ時も仕事で来なかったようなやつだ。何故。。
などと考えているうちに、
廊下から足音が。
おいおい。本当に親父か?そんな急いでくるなんて。
「おい、親父ー」
そう言いかけた瞬間、入ってきたのは俺の思い描いていた人物ではなく、全く知らない夫婦だった。
2人とも目に涙を流して本当に嬉しそうだ。
「誰?」
思わず出た言葉に夫婦は困惑する。
「誰って。。先生。この子は記憶障害も起こしてるんですか?」
「いえ、おそらく目覚めたばかりで少し記憶が混乱してるだけです。もう少し安静にしてあげましょう。」
「そう。ですか。じ、じゃあ母さんと父さんは一度あなたの部屋を整理しに帰るから。もう少し安静にしときなさい。」
俺はもはや何がなんだか分からなかったが、とりあえず生返事だけしておいた。
「うん。」
返事を聞いて安心したのか、嬉しそうに病室を出て行く。
「じゃあね。美咲ちゃん。」
?????
誰だ?美咲って。俺の名前は後藤拓真。うん。それは間違いない。
じゃあ美咲って?
疑問を解消すべく、詳しい話を医者に聞きに行こうと立ち上がった瞬間、バランスを崩し、ベッドの下に盛大にこけてしまった。
「いってぇー。」
そう愚痴りながらなんとなく見た鏡で絶句する。
結論から言うと。俺は女の顔になっている。というより、性そのものが女になってた。
「な、なんだこれー!?」