ムイシキ
2話
高校2年生の夏。世のリア充共はやれ彼女と花火デートに行ったやら
⭕️⭕️メン最高〜など騒ぐ次期。
高校3年生になると受験で遊びどころではないこともあって、お前らは泳ぎ続けないと死ぬマグロかっと
ツッコミたくなる程遊びまわる。
だがしかし、俺こと後藤拓真にとってはその限りではない。
小学校の頃には容姿の醜さから虐められ、
中学では好きな子に告白したら
「ウケる(笑)」と言われ、
後日クラス中にその話が出回った。
この時からもう俺は軽く人間不信に陥っていたのかもしれない。
その時から俺はボッチで何が悪い。
ボッチこそ至高の存在だという考えに至った為、高校でも高校デビューなんて考えもせず、日々を一人で過ごしている。夏休みはそんなボッチにとっても至福の時間であり、あと1週間と少しで終わってしまうことを残念に思う。
いつものようにコンビニにポテチとコーラを買いに向かう。
「ちっ、赤かよ。」
途中、コンビニの目の前で赤に変わった信号に軽く舌打ちをうちつつ、
ふと周りを見た。
なにやら白い小型犬が尻尾振ってお座りしている
「いや、なんも持ってねぇから。あっち行け。しっしっ。」
実を言うと俺は犬が嫌いだ。
誰にでも媚びる姿勢が実に気に食わん。その点、猫は良い。特に黒猫なんかはーー
そう、心の中でくだらないことを
呟いていると、
「あっ!メイちゃん!いたぁ!」
信号の向こう側、コンビニから出てきた飼い主らしき女の子が名前をよぶ。
ん?って、今よんだら!?
俺の予想どうり、飼い主を見つけた犬は嬉しそうに飼い主の元に。
しかし、今信号は。。。赤である。
そのことに飼い主の女の子も気づいたのか、慌てて車道に飛び出す。そこへ、まるで照らし合わせたのかの如くトラックがやってくる。
「馬鹿野郎!!!」
別に見ず知らずの人がどうなろうと構わない。そう思っていた。はずだった。しかし、脳裏に"人の死"という言葉がちらついた瞬間、体が勝手に動いていた。
瞬間。
【ドゴォォォォォォンン】
人には火事場の馬鹿力が働くというが、残念ながら俺には働かなかったようだ。
結果から言うと、俺はトラックに
轢かれた。
意識はあるが、体が一切動かない。所謂植物状態というやつだ。
そういえば、あの女の子はどうなったのだろう。打ち所が悪ければ俺以上の重体かもしれない。
確か、財布にドナーカードを入れていたはずだから彼女は助かるかもしれない。
そう思うと、少し気持ちが軽くなった。生まれて初めて役に立った感覚。ああ。こんな俺でも。存在して良かったのかな。。。意識まで朦朧としてきた。だが、そんな中で確かに聞こえた。
〜助けて〜
ああ。俺のものでよければ。いくらでもくれてやる。
「それでは心臓移植手術を開始する。」
そして、俺は、丁度一週間後に、
・・・・
北条美咲として目覚めた。