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スノウデビル事件について

北海道旭川市。

日本の北の大陸……北海道にある町の中で、2番目に大きな町である。ちなみに北海道で1番目の大きな都市は言わずも知れた、札幌である。

さて、2番目とはいえ旭川市には様々な有名なものがある。

1つ目は動物園ーーー旭山動物園と聞けば分かるだろうか。一時期は経営難だったのだが、今では全国から観光客が何万と訪れるようになった有名な動物園である。この動物園の特徴と言えば、動物たちの見せ方と言える。様々な動物たちにあった見せ方を考えて、のびのびとした動物たちを表現し、解放している様子に思える。機会があればぜひとも行ってほしいと思う。

2つ目はラーメンである。

良く、CMで「札幌・函館・旭川!」と言われるほど、有名である。札幌は味噌・旭川は醤油・函館は塩が有名である。旭川にはラーメン村と言うのがあり、有名なラーメン店が多くある場所である。これまた、ご飯時にはぜひ行ってみてほしいものだ。

こんな感じで良いところはまだまだあるのだが、悪い点というか旭川住民たちにとっては嫌いなのではないだろうかというものが存在するのをご存知であろうか。

それは冬に来る、白い悪魔……雪である。

一見にして、本州などの人から見れば雪など珍しいやいっぱい積もれなどと思う方が多いのではないだろうか。東北や北海道の人間からしてみれば、奴らは悪魔なのである。

まず、雪かきが面倒だし何より、事故が起こりやすくなるのもあるのだ。

特に旭川は雪の量が多い上に、極寒で時に-20度なんて言うのは全然あり得るので大変だ。

ちなみに雪による災害の事を何というか……それは白魔はくまと言うのだという。何ともまあ、白い悪魔と言うのを象徴している言葉である(昔の人たちもやっぱり、雪の事を白い悪魔って思っていたからそういう言葉が生まれたのかなと思う)。

しかしながら今年の冬は、白魔だけでは済まなかったーーー否、白魔だけで終わればよかった。

何故ならば、雪が降り積もった11月に入ってから、すでに8人の命が奪われる猟奇殺人事件が発生していたからである。


概要を説明するならば、この事件の始まりは11月11日の大雪の夜に、1人の女性が奇怪な死に方をしているのを発見されたことが始まりであった。その場所は、旭川にある名所:旭橋……その真下である。

雪でできた柱に、胸に穴のあいた死体が張り付けられ、心臓を貫いたであろう鉄パイプが側に落ちている。そして、柱の裏側には血文字で「-スノウデビル-」と書いてあったのだ。

このことから警察や報道関係者の間で、この殺人事件の事を【スノウデビル事件】と、呼ばれるようになった。

そしてスノウデビル事件は犯人が見つからないまま、2人目の犠牲者を出してしまう。

今度の犠牲者は、30代の男性会社員で、自然保護活動にも参加する真面目なサラリーマンであった。

死に方は、前回同様に胸に穴が空いてあって、鉄パイプが近くに落ちている。そして、死体が雪の柱に固定されているものであった。血文字も同様にあったため、スノウデビルによる第2の犯行であるという旨を警察は報道した。

そして4人目、5人目と殺人は行われていったのであった。6人目、7人目、8人目……いまだに犯人スノウデビルは捕まらない。

この事態を受けて、旭川市は市民に夜の外出制限を行うことにしたーーーそして、東京の警察本部より人員を増員し、犯人を追うのであった。

しかしながら、犯人の行方どころか存在自体皆目見当を付けることができなかったのだ。だが、事件から7日後、11月18日現在に至るまで確たる証拠をつかめずにいたのであった。

スノウデビルとは何者なのか……それは現段階では謎のままである。



「俺のいない間、お前は周辺で聞き込みしてこい!」

そう、先輩刑事から言われたのは、旭川警察署の山岡(さんおか)警部補であった。山岡は今年刑事になったばかりの新米である。

しかしながら、東京から来た捜査本部の人間より、この土地には詳しかったため、今回の事件捜査に参加している。なんせ、生まれも育ちも旭川市内であるからだ。

「さてとーーー」山岡は警察署から近い旭川駅にて聞き込みをすることに決め、車を走らせるのであった。


まさか、こんな事件が起こるなんてな……そう思いながら駅前を歩いていた。

「何故こんな奇怪な事件が起こるんだ……しかも、俺がまだ刑事になってまだ半年くらいだっていうのに……」

どん、と山岡は通行人にぶつかってしまった。山岡は元ラグビー部であったため、結構大柄な体格なので、ぶつかった女の子は”きゃっ”と言い後ろに倒れてしまった。この時期、積雪も酷いが、路面等も凍結していて、かなりの確率で多くの歩行者は転ぶことを経験する。だがまあ、今回は山岡がボーッと歩いていたことが一番悪いのだが。


「すみません!」と山岡は駆け寄る。すると、女の子はすっと立ち上がり。

「私こそよそ見していたもので、すみません」そういって、ぺこりと頭を下げた。

「こちらこそ申し訳ない。少し考え事をしてしまって……」と山岡はその女の子に言う。

「いいえ……こちらこそ、不注意でした」といい、にこりと笑う。

「そうですか……ああ、そうだ!」

と本来の目的を成し遂げようと山岡は警察手帳を取り出してその子にスノウデビルについて聞く。

「あのさ、この辺で怪しい奴とか見なかったかい?お兄さんは実は警察で、今犯人を追ってるんだけど・・」

と言うと、女の子は急に暗い顔になった。

「実は私も・・その犯人を追っているんです・・」

と言うのである。そして、山岡は優しく

「ダメだよお嬢ちゃん。危ないから・・痛て!」

山岡の足は彼女に踏まれていた。

「誰が、お嬢ちゃんよ。こう見えて私37歳よ。」

「37歳!?」

と山岡は驚く。だって、見た目が中学生くらいの女の子であるのだから。

「これは失礼しました。」

と山岡は深々と頭を下げて言う。

「分かればいいわ。じゃあね、刑事さん。」

そういって、走り去ろうとする彼女の手を俺はつかむ。

「待って。民間人は事件に首を突っ込んじゃ危ないですので、警察に任せてください。」

そういうと、彼女が真顔で山岡を睨めつけながら

「あんたたちが、犯人見つけられないから・・あんたたちが犯人見つけられないから自力で探すしかないでしょ!」

と怒鳴る。彼女は山岡の手を振りほどこうとしたが、山岡は彼女の手を強く握りしめている。

「何よ・・放しなさいよ!」

と彼女は言うが山岡は手を離さなかった。

「待ってくれ、そもそも君は何者なんだ?その辺の事から聞かせてくれ。君は今回の事件とどんな関係があるんだ?」

そういうと、彼女は山岡の方を向いてこう言うのであった。

「私の名前は、朝山由美あさやまゆみ。スノウデビル事件の6人目の被害者、朝山輝幸あさやまてるゆきの姉よ。」



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