疑問と告白
-数日後-
蒼希は決まって
17時に出掛けて12時帰ってくる。
智嫁はそれを
疑問に思いながらも
私生活に干渉するのは気か引けて
何も言わなかった。
智嫁が疑問に思いはじめて
少しの頃だった。
それは、智嫁が洗濯物を
クローゼットに入れてる時だった。
ベッドで仰向けになり
両手を枕代わりにしながらこう言った。
蒼希
「僕のことあまり聞かないんだね。
仕事も行かないかとも聞かないし。」
智嫁
「私生活には干渉しないのが
いいと思ってるから…。」
蒼希
「ふーん、智嫁はさぁ、
この部屋見て数日でしょ。
何か不思議な感じしてない?」
智嫁はベッドの手前まで歩み寄り
フローリングの床に敷いてある
薄い水色のカーペットの上に座って言った。
智嫁
「この部屋は家具も少なくて
生活に必要最低限で男性としては
ふつうだと思います。
…でも、」
智嫁は言ってもいいのか分からずに
そこで言葉を詰まらせた…
だが、蒼希は思うまま言うように言った。
智嫁
「蒼希の年齢から考えると
若いのにブランドのスーツや
高価なピアスとかの装飾品がある…
それは疑問に思います。」
蒼希はベッドから起き上がると
玄関に向かって歩いて行って
付いてきた智嫁の耳に囁いた。
蒼希
「その疑問に答えてあげる。
今日は1人を連れてくるよ。」
耳元で囁かれた
智嫁は耳を手で覆って
顔に少し熱を感じていた。
蒼希は「食事は要らないからね。」
ドアを開けながら言って
いつもの様に17時に出掛けて行った。
カーペットの上に座り
智嫁は少し前の会話を思い出していて
気が付いたことがあって呟いた。
「私…自然に蒼希って言ってた。
さんって付けないで言ってた。」
そんな智嫁の頭には
一緒に買い物した時、カーペット買った時や
ドライブに連れ出してくれた時
何気ない思い出を思い返していた。
------
PM0時05分
智嫁は悶々とした気持ちで
1人で夕食も家事も全てを済ませて
蒼希が帰るのを待った。
0時を過ぎた頃にドアノブを回す音で
座っていたベッドから立ち上がって
玄関に向かって歩いた。
智嫁
「お帰りなさい。」
蒼希
「遅くなってごめんね。
この人が萩原 智希さん。
2人で疑問を解決してあげるよ。」
蒼希は横にいる人を指で示してから
いきなり紹介された。
智希に智嫁は頭を下げると
相手も頭を下げる挨拶をした。
------
智嫁は3人分の飲み物を出してから
蒼希と智希に向かい合う様に座った。
智嫁がここに居る経緯を
蒼希が智希に事前に話していたから
いきなり本題から始まった。
蒼希
「俺、ホストなんだよね。」